【おすすめ】ビートルズのデビューアルバム『Please Please Me』の評価と全曲紹介

1962年-1965年(初期)

偉大なるビートルズ(The Beatles)の記念すべきデビューアルバムは『Please Please Me(プリーズプリーズミー』ですね。

リリースされたのは1963年の3月22日。

もうビートルズのデビューアルバムってだけで凄いアルバムってことは分かるんですが、実際のところどうなんでしょうか。

  • デビューアルバムでしょ?
  • まだまだ素人っぽくて聞けたもんじゃないんじゃない?
  • ビートルズってだけで評価されてそう
  • 知ってるジョンレノンの顔とずいぶん違うね

こんな感じで思っている人も多いんじゃないでしょうか(特にジョンの顔)。でもね、そうじゃないんです。そこはやっぱりビートルズです。最初から凄いのです。

どこが凄いのか?

ということで、今回は記念すべきデビューアルバム『Please Please Me』の評価と全曲紹介です。少しだけお付き合いください。まずはアルバムの評価から。

イギリスの音楽シーンを塗り替えた作品

レコーディングに要した時間は約10時間。ほぼ一発録音のライブ感満載のアルバムです。イギリスでリリースされ30週連続1位という驚異的な記録を残しています。世界に刻印したビートルズの初期サウンドがたっぷりと聞ける名作。ちなみにこのアルバムから1位を奪ったのがビートルズの2ndアルバムです。

ビートルズに評価の低いアルバムは存在するのか?ご存知の通り、存在しないですね。そうです、『Please Please Me』も非常に評価が高いアルバムです。

ロックの専門誌『ローリング・ストーン』誌による全時代のベストアルバムの調査では、39位にランクイン。かなりの高評価を得ています(ランキングの詳細はこちら)。

個人的には初期の最高傑作とはいかないまでも、月一回くらいはフルで聞きとおしたくなる愛おしい作品です。ウォーキングの時に聞くのが好きです。

UKチャート30週連続1位を記録した伝説のアルバム

『ローリングストーン』誌の専門家による評価が高いだけでなく、私のような一般の人々からの評価も非常に高いのがこのアルバム。もう、それはまさにチャートに現れています。

なんと30週連続1位!!

オアシスとかね、ブラーとか、コールドプレイといった一時代を築いたミュージシャンであっても、UKのこの数字は破れませんでした。30週連続1位ですよ。多くを語らずともこのアルバムの評価は分かるってもんです。

30週連続を阻止した伝説のミュージシャンとは?

そんな無敵の『Please Please Me』ですが31週目に1位を奪われてしまいます。誰が奪ったのか?実力のあるミュージシャンじゃなきゃ納得できませんよね。

誰だ?

ビートルズでした。

2作目のアルバム『With The Beatles』が31週目に1位奪ったのです。ビートルズの記録をストップさせるのは、ビートルズ自身以外いない…。そんなUKの音楽シーンをデビューアルバムの『Please Please Me』で、どかん!と作ってしまったのです。

そんな『Please Please Me』にはどんな曲が収録されているのでしょうか。次は全曲紹介です。

10時間弱のレコーディング時間で完成した作品

世界でもっともコストパフォーマンスに優れた作品なんじゃないかと思います。すでにリリースされていたシングル Love Me Do/P.S. I Love You と Please Please Me/Ask Me Why の4曲を除く、10曲が10時間足らずで作られています。ライブ感ムンムンのアルバム。

I Saw Her Standing There

記念すべきデビューアルバムの1曲目を飾るのは、ポールマッカートニー作の I Saw Her Standing Thereです。冒頭のワン、ツー、スリー、フォーのカウントは、世界を変えたカウントとして非常に有名。このカウントからビートルズの物語は始まります。

曲調はいわゆるストレートなロックンロール。1950年代のアメリカのロックンロールとはちょっと違います。1960年代当時も明確に存在していた人種の壁をまったく感じさせません。そこがビートルズの凄いところですね。

エルヴィス・プレスリー先輩が解釈して表現したロックンロールとはひと味違います。I Saw Her Standing Thereはそんなビートルズ的ロックンロールの代表曲です。

Misery

2曲目はジョンレノンとポールマッカートニーの完全共作&ツインボーカルのMiseryです。アルバム2曲目にして、ビートルズの神髄たる共作の登場です。

ただ、当初『Please Please Me』に収録される予定はなく、イギリスの女性歌手ヘレン・シャピロという人に提供する曲だったそうです。それをシャピロが拒否(!)した結果、アルバム収録された曲です。

ヘレン・シャピロ…?ナマイキな。

と、一瞬どころかここ10年間くらい思っていましたが、よくよく考えると拒否してくれたからアルバムに収録されたわけで、そう考えると、まあ感謝です。

Anna (Go to Him)

3曲目は、カバー曲 Anna (Go to Him) です。歌っているのはジョンレノン。もともとはアーサー・アレキサンダーというアメリカの歌手が歌っていた曲です。

アメリカの歌手の曲を海を超えたイギリスの地の4人組がカバーするくらいだから、ヒットしていた曲だろうと思っていたのですが、たいしてヒットしていなかったようです。ビートルズがカバーした後に知られるようになったとか。

ビートルズってこの手のマニアックな曲をカバーしていることがあります。ネットのない時代、いったいどこで情報収集していたのでしょうね。ヒット曲以外でも好きな曲はカバーするというビートルズのこだわりが見えます。

Chains

4曲目もカバー曲です。歌っているのは、ジョージハリスン。元々の歌は、アメリカのクッキーズという方々が1962年にリリースして、ヒットさせていた曲です。1962年10月にリリース…?

『Please Please Me』のリリースは1963年の3月だから、意外と最近の曲をカバーしていることになりますね。今だとなんか違和感ある感じがしますが、当時はこれが普通だったのでしょう。

楽曲制作と演奏が完全分業であった当時、曲そのものはミュージシャンのものというよりも作家のものだったのだと思います。だからこんなにリリースが近くても違和感はなかったのかもしれません。

ちなみに楽曲制作と演奏の分業を終了させたのは、何を隠そうビートルズです。「バンド/ミュージシャン=自作自演」が当たり前となったのは、彼らが自作の曲にこだわり続けた結果です。

Boys

5曲目のBoys もカバー曲です。リンゴスターが歌っています。もと歌は、シュレルズというグループがリリースしたWill You Love Me TomorrowのB面の曲です。ヒット曲 Will You Love Me TomorrowじゃなくそのB面をカバーしているあたりがこだわりですね。

それにしてもここまでの5曲のボーカルの並びは意図的でしょうか。1曲目でポール、2曲目でジョン&ポール、それからジョージ、リンゴと続きます。

全員ボーカルが取れるグループであることを宣言しているように見えませんか?プロデューサーのジョージマーチンの意図じゃないかなと思うのですが、どうでしょうか?いや、マネージャーのブライアン・エプスタインの剛腕?

Ask Me Why

6曲目はビートルズのオリジナルの楽曲 Ask Me Why です。レノンマッカートニー名義ですが、作ったのはジョンレノンで歌っているのもジョンレノンです。

ハードなロックンロールってわけじゃないんですけど、良い曲ですね。お気に入りだったのか、それともオリジナル曲なので思い入れがあったのか、デビュー前のハンブルグでも演奏されていました。私の手元にある『1962 Live At Star Club in Hamburg』にも収録されています。

ちなみにこの『1962 Live At Star Club in Hamburg』についてビートルズ側はリリースを望んでおらず差し止め訴訟を起こしていますが、「歴史的価値がある」として認められなかったという逸話があります(最終的にはビートルズ側が勝訴したのでが…)。

確かに『1962 Live At Star Club in Hamburg』のI Saw Her Standing There は最高です。

Please Please Me

7曲目、レコードだとA面最後の曲は、アルバムのタイトルにもなっているPlease Please Meです。作者はジョンレノン。歌うのもジョンレノンです。ビートルズ初の大ヒットシングルで、この曲のヒットがあったため急遽作られることになったのがこのアルバム『Please Please Me』です。

ロイオービソン風にジョンがつくっただとか、最初はテンポが遅かったけど早めることでヒットシングルになったとか、色々と逸話がある曲ですが、私はこの曲のハーモニカが大好きです。

こんなにロックンロールなハーモニカを奏でている曲は、この曲以外にないんじゃないでしょうか。とにかくハーモニカがドライブしまくっています。

やっぱりジョンレノンは最高なのです。

ちなみに、この曲はシングルとして全英2位という成績なので、1位シングルを集めたベスト盤『The Beatles 1』には収録されていません。

次はアルバムのB面の楽曲の紹介です。

ジョンレノンの声もガラガラ 初期のエネルギーが詰まった作品

ここからはアルバム『Please Please Me』の後半戦です。初期ビートルズの代表曲と言っても過言ではないあの曲も登場します。おおよそ10時間で録音されている作品だけあって、心なしかジョンの声がかすれて聞こえます。その点も頭の片隅に置いていただきながら、さっそく8曲目です。

Love Me Do

でました!Love Me DOです。16歳のポールマッカートニーが作った記念すべきビートルズのデビューシングルです。ブルージーなこの曲は、全英で最高位17位。まずまずの成績ですが、ヒットとはいいがたいですね。

かねてからの疑問なのですが、ビートルズはなぜこの曲をデビューシングルに選んだのでしょうか。プロデューサーのジョージマーチンが推していたHow Do You Do Itというカバー曲を、オリジナル作品にこだわって、断ったのは理解できます。

でも、ちょっとシングルにしては弱い感じがしませんか…?

I Saw Her Standing There のほうがシングル向きのような気がするのは私だけ?まあ、いろいろとあったのでしょう。そのあたり想像するのも楽しいですね。

P.S.I Love You

9曲目もオリジナルの楽曲です。P.S.I Love You はポールの作品で、歌っているのもポールです。デビュー前のハンブルグで書かれた曲で、タイトルからも分かるように手紙を題材にしたラブソングです。普通に良い曲ですね。

曲の終盤に、ポールがYou know I want you to rememberと歌う(叫ぶ)部分があり、長年どっかで聞いたことがあるなーと思っていたのですが、最近分かったんです。サザンオールスターズの曲に桑田さんがYou know I want you to rememberと叫んでいる曲があったんです。

「君だけに夢をもう一度」という曲です。

1992年、この曲を聞いていたころは、まだビートルズにハマっていなかったんですが、こういうカタチで刷り込まれていたんです。

Baby It's You

さて10曲目です。どんどんいきましょう。Baby It's You はカバー曲です。歌うはジョンレノン。もとの曲は、シュレルズという方々の1961年のヒット曲だそうです。そういえばリンゴの歌うBoysもシュレルズの曲でしたね。

それにしてヒット曲だったとはいえ、渋い選曲です。ジョンレノンがしっとりと歌い上げています。大人な雰囲気のこの曲を歌っているジョンは当時22歳。やっぱりジョンも歌が上手いんですね。ジョンの歌の上手さが再確認できる曲です。

Do You Want To Know A Secret

11曲目はビートルズのオリジナルの楽曲です。作ったのはジョンレノンです。他のオリジナルの曲とちょっと違うのは、歌っているのがジョージハリスンという点。そうです。ジョンがジョージにプレゼントした曲なんです。

ビートルズの中期、後期になるとジョージは作曲家として花を咲かせるようになるのですが、初期のころはまだ自分で曲を作ることに苦労していたようで、その点、兄貴分のジョンが面倒をみていたようです。美しい関係ですね。

ちなみにこの曲は、ジョンが幼いころ母に歌ってもらったディズニーの曲から着想を得て作った曲だそうです。ビートルズ人気が大爆発した1964年にアメリカでシングル化されビルボード2位を記録するヒット曲になっています。

ジョージハリスンが歌う初のヒット曲がこのDo You Want To Know A Secretなのです。

A Taste Of Honey

12曲目はポールマッカートニーが歌う"貴重な"カバー曲 A Taste Of Honey です。もともとブロードウェイミュージカル用に作られた曲なので、ロックンロールではないのですが、そういう曲もカバーしてどーんと聞かせてくれるのがビートルズです。

ジョンはこの曲が嫌いだったそうです。理由は、ロックンロールじゃないから。分かりやすいですね。

ちなみに、ポールの"貴重な"カバー曲と表現した理由は、ポールってあんまりカバー曲を歌っていないからです。私的には結構衝撃の事実で、ジョンレノンのライバルとしてバンドをグイグイ引っ張る存在のポールが!!!という感じです。

There's a Place

13曲目はオリジナル作品。ジョンレノンによるThere's a Placeです。私はこの曲が大好きです。1分50秒くらいの短い曲なのですが、その完成度は凄いです。初期ビートルズっぽい疾走感抜群の曲なんです。

でも、歌詞に目をうつすとちょっぴり哲学的。

このころからすでに詞作面でのジョンの才能の片鱗がうかがえます。惚れたはれたのラブソングじゃなく、そういう意味でこのアルバムの中でも異彩を放っています。

この曲は、名曲なのですが、ベストアルバムなどに収録されていません。そうです。この曲が聞けるのは、アルバム『Please Please Me』だけなんです。この曲が聞けるだけでもこのアルバムは価値がる作品だと言えます。

Twist And Shout

デビュ―アルバムのラストを飾るのはTwist And Shoutです。もう超有名曲ですね。カバー曲なのですが、ビートルズバージョンがあまりに有名なもんだから、ビートルズのオリジナル曲と思われていることもあるようです。

カバー曲なんだけど、初期ビートルズを代表する曲と言っても過言ではないと思います。

ボーカルはリーダーのジョンレノン。ポールとジョージはコーラスを付けています。あー、あー、あーの掛け合いコーラスが有名。注目するポイントはジョンレノンの声です。

しゃがれています。セクシーです。

10時間におよぶレコーディング、一日中歌い続けていたジョンの喉は限界寸前。最後の力振り絞って歌った一発録音。テイク2も試みられたようですが、ジョンの声が出ず、あえなくボツ。でも、まちがいなく1回目のこのテイクが最高です。

超有名曲で、最高のパフォーマンスの曲なのですが、カバー曲なので、この曲もまたベストアルバムには未収録です。

そうです。

この曲が聞けるのは、『Please Please Me』だけです。

以上、ビートルズの記念すべきデビューアルバム『Please Please Me』の評価と全曲紹介でした。音楽なので文字だけでは伝わらない部分も多くあります。ぜひ、手に取って聞いてみて、ビートルズを体験してみてください。

冒頭の曲 I Saw Her Standing There の4カウント後、新しい世界がそこにあると思います。

レコーディングに要した時間は約10時間。ほぼ一発録音のライブ感満載のアルバムです。イギリスでリリースされ30週連続1位という驚異的な記録を残しています。世界に刻印したビートルズの初期サウンドがたっぷりと聞ける名作。ちなみにこのアルバムから1位を奪ったのがビートルズの2ndアルバムです。

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