ここ最近の50周年記念盤のリリースで、ビートルズ(The Beatles)のいろいろなアウトテイクが聞けるようになりました。嬉しい限りです。
今回は、公式アウトテイク集の『ビートルズ アンソロジー』の中から、おすすめアウトテイクを。正式リリース版と大きく違うな―ってな曲を紹介します。
これがボツになったの?
過去、プロデューサーのジョージマーティンも「判断を誤ったかもしれない」と語ったほど、ビートルズのボツテイクはすばらしいのです。
それでは『ビートルズ アンソロジー2』の中から3曲ほど。
これはもう別の曲なんじゃないでしょうか。Tomorrow Never Knows
正式リリース版はアルバム『リボルバー』に収録されています。正式版もぶっ飛んでいますが、アンソロジーバージョンも別の方向からぶっ飛んでいます。さすがジョンレノン(John Lennon)!
基本のリズムに乗せて淡々と歌詞が運ばれてくる感じです。正式版のようなサウンドエフェクトもなく、ひたすら淡々とすすんでいきます。
不思議なことに、その単調さゆえに陶酔感が得られます。正式版よりもお経に近いかもしれません。ここまで徹底して淡々…、ひたすら淡々…やられると、Tomorrow Never Knowsじゃないような気がしてきます。
歌詞を変えて別の曲としてリリースしても立派なビートルズの中期サイケデリックソングとして成立します。
「誰か少しお金もってない?」歌詞が刺激的すぎるTaxman
2曲目はジョージハリソン(George Harrison)作のTaxmanです。Take 11だそうですが、歌詞が刺激的です。もともとイギリスの税制にそれはもう強烈に皮肉っている作品ですが、アンソロジーバージョンはもっと面白い!
ジョンレノンとポールマッカートニーによるコーラス部分。
正式リリース版では、"Haha, Mr. Willson"と"Haha, Mr. Heath"と歌われているところです。この部分がアンソロジーバージョンだと、"Anybody got a bit of money?(だれかお金もってない?)"と連呼されます。しかもすごい早口で。
ちなみにMr. Willsonは当時のイギリスの首相。ビートルズにMBE勲章を授与することを発案した労働党の党首です。Mr. Heathは労働党のライバル保守党の党首のこと。
バリバリ実名で皮肉るバージョンを正式盤に持ってくるあたりがさすがです。
ギターのフレーズが新鮮な Hello, Goobye
最後はポールマッカートニー(Paul McCartney)の作品から。快作Hello, Goobyeです。思いのほか、ギターがフィーチャーされています。
ギターはジョージハリソンによるもの。軽快な感じが出したかったのでしょうか。正式リリース版では大幅カットされています。いいギターフレーズなのにね。
この点、ポールとジョージの不和の一端とされることもあるようです。が、私的には考えすぎじゃないかなと思います。
でもギターありなしでここまで大きく雰囲気が変わるんですね。アンソロージ―でこの曲を聞いたとき、へーーーーと、思ったのを記憶しています。
人間なかなか、へーーーーとは思わないものですが、してやられました。
ボツ作品と言ってはいけないんじゃないかというレベル
『ビートルズ アンソロジー』シリーズにはいろいろなテイクが収録されています。基本的には、制作過程のものが収録されていて、ここからブラッシュアップされ、正式版に繋がっています。
でも、ここで紹介した3曲のように、正式版と比べても遜色のないものも多数収められています。どちらのテイクにするのかは、制作者の気分次第?だったのかもしれません。
今聞けばこっちのほうがよかった…、と思うこともあったんじゃないかなと思います。だからプロデューサーのジョージマーティンも「判断を誤ったかもしれない」と述べたのでしょう。
結論、『ビートルズ アンソロジー』に収められている曲は新曲としてききましょう。
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