ビートルズがクリスマスソングを歌ってる?ビートマスがすごい!

カバーアルバム

ビートルズのすべての楽曲を調べてみても、クリスマスソングらしきものが見当たらないのです。唯一、ファンクラブ向けに制作された「Christmas Time (Is Here Again)」くらいなものでしょうか。なぜなんでしょうね。

これがソロ作品になると存在するんです。ジョンレノンには「Happy Christmas(War Is Over)」がありますし、ポールマッカートニーは「Wonderful Christmastime」を作っています。ジョージハリスンはDing Dong, Ding Dong」で、リンゴスターにいたっては『I Wanna Be Santa Claus』というクリスマスアルバムをリリースしています(その中で、「Christmas Time (Is Here Again)」をカバーしています)。

こんなふうに、ソロ作品にはあるけれども。ビートルズには正式リリース、クリスマスソングがないわけです。でも、聞きたい!見つけました。いいアルバムを。『Xmas! The Beatmas』です。このアルバムは、ビートルズ風にアレンジされたクリスマスソングを集めたアルバムです。

もちろん、ビートルズ自身がこれらの曲をカバーしているわけではなく、各曲にはビートルズの音楽スタイルや特徴が反映されており、非常に面白い出来上がりになっています。今回は、このアルバムの収録曲の紹介です。各曲にどのビートルズの要素が見え隠れしているのでしょうか?

JINGLE BELL ROCK

完全に下敷きは「Please Please Me」です。ビートルズの初期を彷彿とさせる、パワフルでキャッチーなロックナンバー。シンプルなギターリフと、キャッチーなメロディが特徴で、聴く者を踊り出したくなる感じです。サビの掛け合いは、まさにビートルズらしいコーラスワークとなっています。初期の頃のビートルズが、クリスマスソングを歌っているかのような感じです。

SANTA CLAUS IS COMING TO TOWN

イントロを聴くとバシッとわかります。「Eight Days a Week」です。ビートルズの楽曲に見られる、ハーモニーを重視したアレンジが特徴的です。特に「Eight Days a Week」のようなリズムの変化と、軽快なコーラスが加わり、サンタがやってくるというテーマにぴったりの活気ある仕上がりとなっています。イントロのアプローチやバックコーラスの繰り返しは、ビートルズのポップで楽しいスタイルを見事に表現しています。

ROCKIN' AROUND THE CHRISTMAS TREE

「I Saw Her Standing There」を彷彿とさせるエネルギッシュなナンバー。イントロから響く力強いギターリフや、跳ねるようなベースラインが曲全体を支配し、クリスマスパーティーの活気と楽しさをそのまま音楽に凝縮しています。特に、曲の途中で展開されるアップテンポなリズムや軽快なギターソロが、初期ビートルズのロックンロールスピリットを忠実に再現しています。聴き手を踊り出させるようなダイナミックな仕上がりで、まさにダンスフロア向けの一曲と言えるでしょう。

LAST CHRISTMAS

「Please Mr. Postman」を下敷きにしたリズムとコーラスを重視したアレンジが特徴的。曲全体に漂う軽やかなビートと、切なくも印象的なメロディが、失恋のテーマに寄り添っています。特に、バックコーラスの繰り返しやポップなリズムが、すばらしいですね。曲のテンポ感がクリスマスらしい雰囲気を一層引き立てています。こうしたアプローチが、失恋の悲しみを軽快な音楽で包み込むような魅力を生み出しています。

FELIZ NAVIDAD

もう完全に「No Reply」なクリスマスソングです。スペイン語の歌詞とメロディラインが聴く者の心に響きます。曲全体の抑揚とコーラスの繊細なハーモニーで、途中ほとんど「No Reply」になります。ビートルズの多様な音楽性を引き継ぎつつ、クリスマスらしい温かさを感じさせる仕上がりとなっています。

I SAW MOMMY KISSING SANTA CLAUS

「All My Loving」のような、3連符を刻むギターリズムが曲全体を支配する、軽快で暖かみのある一曲。子供の視点から描かれるクリスマスの夜のユーモラスな一場面が、優しいメロディとともに描かれています。リズムギターのテンポ感やコーラスワークが「All My Loving」ふうですね。この曲には、ビートルズの初期のシンプルで魅力的なポップサウンドのエッセンスが詰まっており、聴いていると自然と笑顔になれるような仕上がりです。

JINGLE BELLS

「Love Me Do」が下敷き。シンプルでキャッチーなアレンジが光る一曲。誰もが知っている「Jingle Bells」のメロディが、軽快なビートルズ風リズムとともに生まれ変わっています。ハーモニカのイントロや、リズミカルなギターのストロークが、ビートルズ初期の魅力的なサウンドです。この曲は、シンプルながらも印象的なアレンジが、クリスマスの楽しさを引き立てています。

RUDOLPH THE RED-NOSED REINDEER

「Taxman」ですねー。鋭いギターリフとファンキーなリズムが印象的なアレンジ。軽快なベースラインとタイトなドラムが曲全体を引き締め、赤鼻のトナカイの個性をユーモアたっぷりに描き出しています。シンプルながらもインパクトのあるリズムセクションが、「Taxman」を彷彿とさせる要素となっており(というか、そのままTaxman)、ポップで親しみやすい原曲をスタイリッシュに仕上げています。これにより、クリスマスソングとしての魅力を損なうことなく、ビートルズっぽいのエッジの効いたサウンドが楽しめる一曲となっています。

MARY'S BOY CHILD

ちょっとわかりにくかったのですが「Nowhere Man」ですね。繊細で美しいハーモニーが際立つ一曲。ビートルズらしいコーラスワークが曲の中核となっており、楽曲全体に穏やかで親しみやすい空気感になっております。心温まるナンバーとして仕上がっています。

WHITE CHRISTMAS

聞きごたえある1曲です。「Ticket to Ride」が下敷き。力強いリズムと独特のメロディラインが際立つアレンジとなっており、シンプルながらも印象的なギターのリフと、タイトなドラムのビートが、原曲の雰囲気を伝えています。伝統的なクリスマスソングの「White Christmas」が、新鮮で斬新なサウンドに生まれ変わっています。また、ボーカルとハーモニーが、なんともビートルズっぽい仕上がりです。曲の最後は、替え歌みたいになっています。

SILENT NIGHT

超有名クリスマスソングがサイケデリックに仕上がっています。下敷きになっているのは「Lucy in the Sky with Diamonds」。幻想的なサウンドが曲を包み込んでいます。エレクトリックオルガンやエフェクトの効いたギターはまさにルーシーです。心地よい浮遊感が楽しめます。伝統的なクリスマスソングを斬新な解釈で再構築した、気合の入った一曲。このアルバムで一番驚いた一曲でした。

A BAIRN IS BORN IN BEATLEHOME

最後のこの曲はいろんなビートルズの曲が詰め込まれています。私が確認できたのは、「A Day In the Life」と「Yellow Submarine」、「I Am The Walrus」、「She Loves You」です。あと、フランスの国歌。原曲がなんだかわからない感じのアンサンブル的な楽曲となっております。アルバムのエンディングにふさわしい1曲ですね。

まとめ

『Xmas! The Beatmas』は、クリスマスソングの伝統的な魅力をビートルズ風に再構築し、オリジナリティと懐かしさを融合させたユニークなアルバムです。楽曲ごとに異なるビートルズ曲の影響が感じられるため、ビートルズファンにとっては「元ネタ探し」という楽しみも提供してくれます。

このアルバムは、クリスマスソングが持つ温かさとビートルズの革新性を組み合わせ、世代を超えて楽しめる作品です。ここで紹介したビートルズ楽曲以外も隠れていますので、ぜひ探してみてください。とても楽しめるアルバムですよ。ビートルズのクリスマスソングを聞きたい!そんな方にぴったりなアルバムです。

以上、「ビートルズがクリスマスソングを歌ってる?ビートマスがすごい!」でした。おしまい。

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