ジョンレノンが嫌ったビートルズのポールマッカートニー作の名曲 7選

ビートルズの曲

世界中でいろんな評価をされているビートルズの楽曲。基本的には、高く評価されている楽曲が多いのですが、中には低い評価を付けられている楽曲も存在ます。

私のような盲目的なファンは「ぜんぶ、いい!」なんて思うのですが、世の中には辛口評論家もいらっしゃり、辛辣な評価を下しています。そして、私の知る限り、ビートルズの楽曲に対してもっとも激辛な評論家は、ジョンレノンです

ジョンは自分が作った曲にも厳しいけど、相方ポールマッカートニーが作った楽曲にもとにかく厳しい。舌がヒリヒリするほどの激辛評価をしています。

今回は、そんなジョンが嫌ったポールの作品を7曲ほど紹介します。できるだけジョンが残したコメントを紹介しつつ進めていきたいと思います。嫌いなのか、そうでもないのか、グレーな作品も含まれますが、気楽に見ていってください。それではさっそく!

YouTubeもやっています。こちらもぜひ見てください。

ポールが作ったおばあちゃんの歌 Ob-La-Di, Ob-La-Da

1曲目は、『ホワイトアルバム』収録の Ob-La-Di, Ob-La-Da です。歌詞、メロディともに、ほがらかとして楽しい"わんぱくキッズ"向けの作品ですね。個人的には Yellow SubmarineやAll Together Nowとともに三大キッズ向けソングだと思っています。ビートルズの最高傑作とは言いませんが、なかなかいい曲じゃないですか?

辛口レノンは Ob-La-Di, Ob-La-Da を嫌っています。

どこに嫌われる要素があるのでしょうか。ジョンレノンは「More of Paul's 'granny music shit'(ポールのおばあちゃんの歌、ゴミ)」このように言い放っています。"granny music (おばあちゃんの歌)" という表現はどういう意図が込められているのか図りかねるのですが、おそらく刺激のない歌ってことでしょう。童謡や子守唄的な。

そんなジョンレノンは、この曲 Ob-La-Di, Ob-La-Da でピアノを担当。あの見事なイントロのピアノを演奏しています。これ、ジョンの不満が爆発した結果、うまれたイントロなんです。

作者のポールに何度も演奏のしなおしを要求されたジョンが怒りを爆発。なかばヤケクソになって弾いたイントロがポールのお眼鏡にかない、採用されています。ポールはこのことについて「あれで曲の雰囲気ががらりと変わった。スタジオで良い時間を過ごしたのを覚えている」と回想しています。いいですねー。なかなかのポジティブ変換です。

ジョンが批判するだけでなく、世の中的にもOb-La-Di, Ob-La-Da には、賛否があるようです。インターネット投票でワーストソングに選ばれたかと思えば、ドイツの研究所の2019年の調査結果では「史上最も完璧なポップソング」に選ばれています。

佳曲なのか駄曲なのか、どっちなんだい!ちなみにジョージハリスン作のSavoy Truffleの歌詞にもこの曲は登場します。どういう意図で登場させたのか不明ですが、ひとつ言えるのは、ジョージもこの曲を嫌っていたようです。ということでOb-La-Di, Ob-La-Da でした。

無理矢理でっち上げた曲!? Birthday

2曲目も『ホワイトアルバム』からです。ストレートなロックンロールナンバーで、イントロのギターリフがなんとも印象的です。歌詞の一部をジョンが手伝っているらしいです。手伝っているにも関わらずジョンはこの曲を批判しています。

「I think Paul wanted to write a song like 'Happy Birthday Baby', the old fifties hit(ポールは1950年代のヒット曲 Happy Birthday Baby みたいなのを書きたかったんだと思う).」 ジョンはそう語り、さらに「It was a piece of garbage(ゴミのひとつさ).」と続けています。

そう語っている以上、Birthday を好んでいるとは言い難いのですが、なんとなく、嫌い度合いのトーンは低い感じがします。「ゴミのひとつさ」と語ったのが1980年の『プレイボーイ』誌のインタビューなので、嫌い熱もずいぶんと冷めていたのかもしれませんが、少なくともOb-La-Di, Ob-La-Daの時のような怒りは感じません。完全に私の推測ですが、たいして思い入れのない曲のだったのではないかと思います。

この曲、『ホワイトアルバム』収録の楽曲には珍しくビートルズ全員参加でレコーディングしています。途中に聞こえる女性コーラス部隊の正体は、オノヨーコと当時のジョージの妻パティです。ビートルズの曲で女性コーラスが入ったのは、Across The Universe に続く2曲目でしょうか。Across The Universeの時はたまたま外にいたファンをコーラスに採用するという大胆な行動にでていますが、Birthday では恋人と妻に参加してもらっています。

話がそれましたが、ジョンは「ゴミ」と語るこの曲ですが、作者のポールはお気に入りの作品だそうです。お気に入りの理由は、『ホワイトアルバム』のライナーノーツに書かれていますが、読んでもよくわかりませんでした。ということでBirthday でした。

おばあちゃんの歌 その2 Maxwell's Silver Hammer

3曲目は名盤『Abbey Road』からこの曲です。この曲もOb-La-Di, Ob-La-Da と同様、ほがらかな感じのする曲です。ただし歌詞はぜんぜん能天気ではありません。うららかどころか、不気味さと恐怖を感じる内容になっています。

ジョンはこの曲についても辛辣です。一言「嫌いな曲」と述べています。また、More of Paul's granny music (ポールのおばあちゃんの歌)とも。Ob-La-Di, Ob-La-Da 第二弾と言ったところでしょうか。

この曲は、1969年9月8日に行われた『Abbey Road』の次回作会議のときにも取り上げられています。会議の場でジョンは「バンドの誰一人として良い曲だと思っていない」とポールに直接言ってしまいます。対するポールは「お気に入りだ」と一点張り。というのも、ポールはこの曲をビートルズのシングルにしようとしていたそうです。

だから力の入れようが違ったわけです。ポールの熱意はセッションを長引かせ、それが原因で、ジョンだけでなくジョージやリンゴもこの曲を嫌っています。

"The worst session ever was 'Maxwell's Silver Hammer.' It was the worst track we ever had to record. It went on for fucking weeks. I thought it was mad."(最悪のセッションだった。今までで最悪の曲。何週間も延々と続いて、頭が変になるかと思った)

あの温厚なリンゴでさえこう語っています。ポール主導によるこの曲のセッションはかなりハードだったのでしょう。何度も何度も演奏させられることが、ジョンも我慢ならなかったのだと思います。

それにしてもジョンの言う「Granny music (ポールのおばあちゃんの歌)」という表現は、この曲にそぐわないような気がします。確かにサウンド面はほんわかしていますが、歌詞はかなりダークだからです。歌詞をかいつまんで言うと…、マックスウェルなる人物がハンマーで次々に人をぶん殴っていくという、なんとも物騒な内容。

まず、犠牲になるのは女性友達らしきジョーン。マックスウェルと映画に行く準備をしている最中にぶん殴られます。続いての犠牲者は、大学の先生です。マックスウェルの授業妨害行為をとがめたことが原因で、ぶん殴られます。とうとう逮捕され裁判にかけられるマックスウェル。そこでの判決が不服だったのか、今度は裁判官をぶん殴ります。

ポールが目指したシングル化の意図が知りたいところです。ということで、Maxwell's Silver Hammer でした。

二人ともあんまり覚えていないという… Hold Me Tight

4曲目からは少々グレーな楽曲たちです。好きではなさそうだけど、さほど嫌ってもなさそう。でもどちらかと言うと嫌いに傾いてそうな曲たちです。まずは、『With The Beatles』収録の Hold Me Tight です。デビュー前には出来上がっていたというこの曲へのジョンの評価は…、

That was Paul's ... It was a pretty poor song and I was never really interested in it.(あの曲はポールのだ。つまらない曲で興味がなかった。)

この発言を見る限り、嫌いというよりも興味がないという印象です。ポールも次のように述べています。「a failed attempt at a single which then became an acceptable album filler(シングル化に失敗してアルバムの数合わせになった曲)」。つまり二人にすればこの曲は「アルバムの数合わせになった曲」なんですね。

『With The Beatles』の制作のころになると、ビートルズ人気に火が付いており、かなり忙しかったのでしょう。それでアルバムへの収録曲数を稼ぐため、前作の『Please Please Me』に収録されなかった曲を、引っ張り出してきてレコーディングしたのかもしれませんね。

嫌い!というよりも嫉妬!? Hello, Goodbye

続く楽曲はビートルズの大ヒットシングルです。楽しいメロディと単純だけどなんだか奥深そうな歌詞を持つポールの代表作のひとつと言っても良い曲。この曲へジョンが下した評価がこちら。

'Hello, Goodbye' beat out 'I Am the Walrus' ... Can you believe that? I began to submerge.(Hello, GoodbyeはI Am the Walrusを打ち負かした。こんなの信じられるか?やる気なくした。)

「Hello, GoodbyeはI Am the Walrusを打ち負かした。」と嘆いているのは、自作のI Am the Walrusを差し置いてHello, GoodbyeがシングルA面になったことを指しています。ジョンはI Am the WalrusをA面にすることを主張していたらしく、それが通らなかったことを悔しがっています。別のところでは「別に名曲じゃねぇし…」とも言っています。

なんとなくですが、この曲に対するジョンの批判は、嫉妬なんじゃないかと思ってしまいますが、いかがでしょうか。それにしてもシングルA面がHello, GoodbyeでB面がI Am the Walrus なんて普通のバンドじゃ考えられない豪華シングルです。

褒めたりけなしたり、どっちなんだい!? Lady Madonna

続く楽曲もビートルズのシングルからです。リリースは1968年の3月。それまでのサイケデリック路線から脱してロックンロール路線に戻ってきた作品です。労働者階級の女性の日常を歌ったこの楽曲。さて、ジョンの評価はどのようなものでしょうか?

Good piano lick, but the song never really went anywhere.(ピアノが良いね。でも曲自体は意味がない。)

「ピアノが良いね」と褒めている一方で、意味のない曲とも言っています。。歌詞に意味がないのか、それともバンドのキャリアにとって意味がないのか…。真相はどこにあるのでしょうか。この曲も嫌っているというよりも興味がないといったほうがしっくりくるかもしれません。続けてジョンはこう言い放ちます。

Maybe I helped him on some of the lyrics, but I'm not proud of them either way.(歌詞の一部を手伝ったが、どちにしろ、誇りに思っていない。)

最後の一言、いる?

ジョンレノン節全開! Yesterday

最後に紹介するのは、ご存知 Yesterday です。あまりに有名曲であるがゆえに「甘すぎるメロディ…」などのやっかみ批判や「Yesterday評価しない俺カッコイイ」などの意識高い系批判が一定数あるのは事実ですが、ジョンはどのように語っているのでしょうか。

Although the lyrics don't resolve into any sense, they're good lines. They certainly work ... but if you read the whole song, it doesn't say anything.(完璧ではないけど良い歌詞だ。堅実ではあるが、全体を通して読むと何も言っていない。)

褒めえているのか、どうなのか。歌詞に厳しいジョンレノンですね。ただ、曲全体に関しては評価しているのも事実です。ジョンのソロ作品 How Do You Sleep の歌詞ではポールの成功した曲として引き合いに出されています。そしてラストインタビューでもこのように言っています。

Beautiful – and I never wished I'd written it.(ビューティフル。でも作っときゃよかったとは思ったことはないね。)

美しいと認めながらも、少々の憎まれ口。これがジョンレノンっぽいと言えばぽいですね。嫌いなのか好きなのか、よくわかりませんが、これぞジョンレノンってな感じです。それにしても…

最後の一言、いる?

ジョンが音楽業界にした最大の貢献とは…?

以上、ジョンレノンが嫌ったポールの作品を7曲紹介してきました。

  • Ob-La-Di, Ob-La-Da
  • Birthday
  • Maxwell's Silver Hammer
  • Hold Me Tight
  • Hello, Goodbye
  • Lady Madonna
  • Yesterday

こうしてみると、いわゆる名曲に部類に入る曲が多い感じがしますね。それだけジョンが厳しいということでしょうか。何となくですが、歌詞に厳しい感じがしますね。逆に褒めているポールの楽曲もたくさんあるのですが、そこでも歌詞をほめています。

ジョンレノン、いろいろとポールの楽曲について批判的な発言をしていますが、実は一番のポールマッカートニーの大ファンである可能性もあります。嫌いな曲もあるけれど、何だかんだ認めていますからね。後年、ジョンは音楽業界にした最大の貢献について問われた時、こう答えています。

ポールマッカートニーを発見したことだ。

以上、「ジョンレノンが嫌ったポールマッカートニーの7曲」でした。おしまい。

\ オリジナルアルバムの紹介記事を読む  /

全オリジナルアルバムの聞きどころを紹介。詳しいアルバムガイドです。購入に迷っている方は読んでください クリックして詳しく読む

もう少しビートルズを詳しく知りたい方は、歴史を押さえておきましょう。10分で分かるバージョンを用意しております。そして、忘れちゃいけない名曲ぞろいのシングルの歴史もあります。

 さくっと【10分で分かる歴史】をクリックして詳しく読む

 シングル曲の歴史をクリックして読む

手っ取り早くビートルズの最高傑作を知りたい方は、ロックの専門誌「ローリングストーン」誌が選出したオールタイムベストアルバムの記事を読んでください。ロックを含むポピュラー音楽史の中で評価の高いアルバムをランキング形式で紹介しています。

歴史上最も評価の高いアルバムランキングを紹介!ビートルズの作品は何位?

\ ビートルズのグッズを買うならこの店しかない!  /


世界で一番歴史の長いビートルズ専門店「GET BACK」

コメント

タイトルとURLをコピーしました