「ビートルズ(The Beatles)への貢献度が高いのはジョンレノン(John Lennon)?ポールマッカートニー(Paul McCartney)?」ファンにとっては「永遠の問い」です。この問いに対して、単純にリードボーカル数を数えることで回答を試みました。(動画もあります!こちらからどうぞ)
結果はポール70曲に対してジョン83曲。ジョンレノンの圧勝です。
以前に作曲数をジョンとポールで比べた際にも、僅差でしたがジョンの勝利でした。うーん、これはつまりジョンの貢献度のほうが高いということか。
でもやっぱりポールにもビートルズのボーカリストというイメージがあります。数字の上ではジョンに圧倒されていますが、”ボーカリスト・ポール”を推す世論があるのもまた事実。本当にポールはボーカルの面でジョンに後塵を拝しているのか?
その検証ため、少し詳しくビートルズのリードボーカル事情を調べてみました。まずは前期と後期の比較から。主導権を握った後期にボーカル数でジョンを圧倒し、その印象からボーカリストのイメージを得たという可能性もあります。
『リボルバー』までのビートルズを歌っているのは圧倒的にジョン!
右の円グラフを見れば明らかです。『リボルバー』までの楽曲に、パストマスターズの前期までの曲(Vol.2のRainまで)を入れて集計した結果です。
ポール31曲に対してジョン50曲!何と19曲の差でジョンが圧勝しています。
『リボルバー』に差し掛かるとポールに並ばれますが、それまでの貯金の差でジョンが圧倒。まさにリーダージョンレノンの面目躍如の結果となっています。
続けて後期のビートルズも見ていきます。
後期ビートルズはポールの勝利ではあるものの…
左の円グラフの通り、ジョン33曲に対してポール39曲です。確かに後期はポールが制したものの…、その差はわずかに6曲。圧倒的とはいいがたい結果です。話としては…
「ビートルズへの情熱を失ったジョンに圧倒的な物量をもって勝利を収めたポールマッカートニーは、かくして後期ビートルズの主導権を握り、世界にポールの名を轟かせた。さらには、Hey JudeやLet It Beといった名曲を武器に一気に「ビートルズ=ポールマッカートニー」との印象を世界に広く植え付けることに成功したのである。」
といった流れ、「後期に圧倒して強烈な印象を残した説」にしたかったけど、そうもいかないようです。ここで視点を変えて二人はそれぞれどんな曲を歌っているのかを追加で調査しました。
カバー曲をほとんど歌っていないポールマッカートニー
ビートルズは基本的に自作の曲は自分でボーカルをとるスタイルです。以前ジョンとポールの作曲数を調べてみると単独作としては4曲差でジョンに軍配があがりました。なので普通に計算するとボーカルも4曲程度の差になるのですが、なぜか13曲も差がでています。
この差はいったい何なのか?
答えはカバー曲の差でした。ジョンはカバー曲を猛烈に歌っています。カバー曲全25曲中のうち12曲をジョンが歌い上げています。対するポールはわずかに4曲。これはジョージハリソンとリンゴスターと同じ数です。決してカバー曲がダメだというわけではありませんが、オリジナル曲を優先してしますのがファンの本音。
二人のボーカル数からカバー曲を差し引くと、ジョン71曲に対してポール66曲。その差は5曲です。ずいぶんと縮まりました。この程度の差だと圧倒的にジョン!とはいいがたくなります。
オリジナルの曲だけに限定すると、実は二人のボーカル数に大きな差はないのです。作曲数も4曲差でした。そうです。ポールは負けていないのです。
ビートルズへの貢献度が高いのはジョン?ポール?
この「永遠の問い」はリードボーカルの観点からも成り立ちます。どの観点からも二人は良きライバルなのです。というオチで終わりたいと思います。
それにしもポールがカバー曲を4曲しか歌ってないという事実は結構衝撃でした。
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