良さが分からない!ビートルズの変な曲 4選(嫌い、でもなんか好き)

ジョンレノン

ビートルズの楽曲は、基本的にはポップでキャッチーです。中には、一度聞いただけではその良さを理解できない「難解な楽曲」もありますが、それでも人生経験を積んでるうちに好きになってしまっています。例えば、I Am The Walrus や A Day in the Life といった曲が私にとってはそうでした(詳しくはこちら)。

今回は、そんな「難解な楽曲」をもう一歩すすめ、私個人の理解が追い付いていない楽曲を4つ紹介いたします。名曲なのか、迷曲なのか、斜め上をいくビートルズの曲です。

YouTubeもやっていますので、見ていってください。

それではさっそく、この曲から。

革命を絵にした?Revolution 9

最初のミステリーナンバーは、ビートルズファンをやっていると必ず引っかかるこの曲。Revolution 9 です。作者はジョンレノン。オノヨーコとジョージハリスンのサポートを受け完成させた楽曲です。ミュージック・コンクレート?と言うのでしょうか。メロディらしきものはなく、全編サウンドがコラージュされている作品です。ビートルズ作品のなかでも異質なこの楽曲。この作品について、作者のジョンはどう説明しているのでしょうか。

「革命を絵にしたようなもの」らしいです。

え!? 音楽じゃなくて…、絵?

私なんかはまずここに引っかかりました。だって音楽ですからね。ジョンに絵だと言われると、なんとなくそんな感じがしないでもないですが、でもやっぱり音楽です。この点、いくら素直なファンでも、だまされませんよ。

それからこの曲、たぶんですが、ビートルズの作品の中で一番、「最後まで聞かれていない楽曲」だと思います。前衛的ってこともその理由のひとつですが、もうひとつ圧倒的な理由があります。それは…、

長い!

演奏時間が8分21秒もあるではありませんか。調べてみると、ビートルズの曲でいちばん長いようです。長尺で有名なHey Judeが7分6秒、あのI Want You(She's So Heavy)でも7分47秒です。Revolution 9はぶっちぎりの長さなんですね。そしてこの長さには理由があるようで、源流をたどると、Take 18 に辿りつきます。ジョンレノン的には完成テイクとしたかったのがこのTake 18なのですが、やっぱり…

長い!のです。

なんと10分29秒もあります。さすがにこのまま世に出すわけにはいかないとして、前半部分と後半部分で分断。前半部分がRevolution 1となり、そのテンポアップバージョンがシングルカット用のRevolution に変身を遂げています。そして後半の部分がここで紹介しているRevolution 9のベースになっています。

このRevolution 9について、個人的な感想としては、長くてよく分からん!!です。それから赤ちゃんの声が不気味!です。他の楽曲と比べ、圧倒的に聞く頻度は少ないのですが、6ヶ月に1回くらいのペースで聞きたくなるのが不思議です。これもレノンが我々にかけた魔法なのでしょうか。ちなみにこの曲の制作に関してポールマッカートニーがどのくらい関与しているのかというと…

一切かかわっておりません。

不思議なパロディ楽曲!? Wild Honey Pie

2曲目は、短い曲、Wild Honey Pie です。演奏時間は53秒。1分にも満たない作品です。作者はポールマッカートニー。二枚組超大作アルバム『The Beatles』の1枚目に収録されています。この1枚目に収録されているというのが今回のポイントなんですね。

その説明の前に、演奏時間53秒の中身はというと、基本的にHoney Pieの連呼です。そして最後にI Love You で締めくくられます。演奏はすべてポールによるものです。先のRevolution 9 といい、この曲といい、この時期のビートルズは実験精神にあふれていますね。ところで、曲中で連呼されるこのHoney Pieっていったいなんだと思いますか?

ずばりそのまま、ポールの作品、名曲Honey Pieです。

Wild Honey Pie が収録されている同じアルバム『The Beatles』に収録されているHoney Pieのことなんですね。Honey Pieは前衛的ではなく、立派に作品として成立している楽曲です。なので、Wild Honey PieはHoney Pieから生まれたパロディ作品なのかな?と思うのですが、いかがでしょうか。

もしそうだとすると、問題は収録の順番です。本家Honey Pieはアルバムの2枚目に収録されています。Wild Honey Pieは1枚目に収録されていますので…、

本家よりもパロディのほうが順番が先!

なんです。いろんなパロディ数あれど、本家よりも先に登場するパロディなんて見たことありません。これに気づいたとき、まあまあの驚きだったのですが、みなさんいかがでしょうか。

なぜか世に出なかった What's the New Mary Jane

3曲目はWhat's the New Mary Jane です。いわゆるお蔵入り作品で、ビートルズの活動期間中にリリースされることはありませんでした。今では、『The Beatles Anthology 3』とホワイトアルバムのスーパー・デラックス・エディションで聞くことができます。良い時代になったもんです。

作者はジョンレノンで、ホワイトアルバム制作時期に書かれています。曲の導入部分は、なんとなくメルヘンな感じがするのですが、この時期のジョンが作る曲が、そのままメルヘンで終わるわけがなく、途中からカオスな感じで崩壊していきます。コーラスはたぶんオノヨーコ。予想通りのぶっ飛び具合。もともとホワイトアルバムへの収録が予定されていたようですが、お見送りとなっています。理由は…

わかりません!

誰かの何かしらの決断があったようです。ビートルズの楽曲に世界一辛辣な批評を下すジョンがこの作品を嫌っていた可能性も考えられます。ただ、後にジョンはプラスティック・オノ・バンドのシングルB面としてリリースを計画していたようなので、その可能性は考えにくいかなと思います。

謎のなのは、この曲、プラスティック・オノ・バンドの楽曲としてもリリースが見送られます。イギリスでの発売日(1969年12月5日)まで決まっていたというのにです。なぞ多き曲ですね。ちなみに、この曲がB面でリリースが予定されていたプラスティック・オノ・バンドのシングルのA面は、ビートルズとしてリリースされたYou Know My Nameです。

いろいろ考えさせられるぜ You Know My Name

最後に紹介するのは、You Know My Name( Look Up The Number) です。いちおうジョンレノン作の作品でしょうか。ジョンが作って持ってきたのは、You know my name look up the numberの一行だけ。そこからポールと一緒に仕上げていった曲らしいです。この曲に関しては、制作の動機がオモシロイ。

電話帳が置いてあって、そこにYou Know My Name Look Up The Numberと書いてあった。

そうジョンが言うように、電話帳からインスピレーションを得ています。この時期のジョンはちょいちょいこういう感じで曲を作っています(詳しくはこちら)。そんな感じで作られたこの曲は完全にコメディナンバー。オモシロくて楽しい楽曲です。

1967年のセッションに取り上げられ、そのセッションにはローリングストーンズののブライアン・ジョーンズがサクソフォーン奏者として参加しています。以降、しばらく放置された後、1969年4月に再び着手され、そこでジョンとポールがボーカルトラックを制作しています。当初は20分を超える超大作だったようですが、編集に編集を重ね現在の4分21秒という長さに落ち着いています。

ポールもお気に入りだったこの曲は、ビートルズのシングル Let It Be のB面としてリリースされるのですが、当初の計画では、プラスティック・オノ・バンドのシングルA面としてリリースされる予定でした。B面はさきほどのWhat's the New Mary Jane です。リリースの中止の経緯は分からないのですが、もしリリースされていたら…、と思うと興奮しませんか?

一部だけど、ポールがボーカルをとっているところがある楽曲ですよ。

そうなると、ソングライティングのクレジットは、Lennon/McCartney のまま?だったのでしょうか。それともポールのボーカルの部分はカット?だったのでしょうか?もしかしたら、ポールのボーカルが理由でリリース中止、ビートルズ楽曲としてのリリースだったのでしょうか?いろいろと想像を巡らせられます。興奮してきましたね。


なんだか少しテーマと外れてきてしまった感じもしますが、まあいいじゃないですか。ということで、まとめです。

なぞの名曲はホワイトアルバム制作時期に集中している!

今回紹介してきた個人的に謎の名曲だと思う楽曲がこちら。

  • Revolution 9
  • Wild Honey Pie
  • What's the New Mary Jane
  • You Know My Name(Look Up The Number)

意図して選んだわけではないのですが、制作時期が1967年のホワイトアルバムのころのものばかりですね。この時期、ビートルズ、特にジョンレノンが前衛アート方面に寄っていたからでしょうか。私のようにアートに疎い者には少々理解が追い付けない作品ばかりです。

噂によるとビートルズのメンバーの中で最もアバンギャルドに興味を示していたのは、ポールらしいのですが、奇しくもここで紹介したのは、ほとんどがジョンのものでした。ポールの作品で前衛的な楽曲もあれば、ぜひ知りたいところですね。The Fireman の作品くらいでしょうか。

以上、「嫌い!でも、なんか好き!斜め上をいくビートルズの曲 4選」でした。おしまい。

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