1965年の10月26日にビートルズ(The Beatles)はエリザベス2世から大英帝国勲章(M.B.E)を授与されました。何がすごいって、ロックンローラー初!ってところです。
1960年代のロックンロールは今ほどに社会的地位がありませんでした。むしろ、不良少年の反抗を表現する音楽だったので、その社会的地位は低く、少なくとも「良い大人」が聞く良質の音楽という認識は社会にありませんでした。
そんなロックンロールを奏でるビートルズが勲章を叙勲したのです。
話題にならないわけがありませんね。当のビートルズも名誉なことだと喜んだろうに…と、予想するのですが、実はそうではなかったようです。
私のような一般人には、「こんなん、なんぼあってもいいですから…」という感覚なのですが、ビートルズはそうじゃなかった。
じゃあ、どう思っていたのか?
今回は、大英帝国勲章叙勲の裏側をご紹介いたします。
政治に利用されたビートルズ
ビートルズを含む、叙勲者の名簿を作成したのは、当時の英国首相ハロルド・ウィルソンです。彼の狙いは明確で、ビートルズの名を名簿に加えたのは「外貨獲得の功労と若者受け」をねらった政治的な戦略からでした。
ビートルズ側もその政治的戦略に気づいていないわけがありません。我らがジョンレノン(John Lennon)は、その点に強烈な皮肉を言っています。
「勲章がもらえたのは外貨を多く稼いだからだろ?そんなので勲章がもらえるのならローリングストーンズあたりがお似合いだ。」
ローリングストーンズがうっかり巻き込まれていますが、なんとも痛快です。
ジョンだけじゃありません。ポールマッカートニー(Paul McCartney)も「勲章なんかより別荘がほしい」と発言したとか。発言の時期は不明ですが「古道具屋にもっていけば売れるだろうかね」とリンゴスターも言っちゃってます。
ビートルズのメンバーは、叙勲に対してちょっとなんだか否定的なんです。
じゃあ、なんでもらったの?
勲章をもらったのはビートルズ流の権威崩しだった!
勲章なんてもらうつもりは毛頭なかったんじゃないでしょうか。あの永遠の反逆児ジョンレノンをリーダーとするビートルズですよ。素直に喜ぶわけがない。
一説によると、
バカげている、もらうのをやめよう
と、いったんは結論付けたようです。でも、ここから一転。もらう方向に舵を切るのがビートルズのオモシロいところ。
ビートルズ叙勲が報じられると、誇り高き歴代の叙勲者の中には「わけのわからん音楽グループと一緒にされてはかなわない!」と、勲章を返上する者が続出。その数はなんと863人にものぼったそうです。
ビートルズはそういった連中を、
もっと怒らせてやろう
と、勲章をもらうことに決めます。ジョン曰く「勲章の権威を信じてやまない連中への当てつけ」が勲章をもらった理由のようです。カッコいいですねー。
そしてジョンは、勲章を返上した"連中"に向けて強烈な発言をします。
「奴らは戦争で人を殺して勲章をもらったんだろ。俺たちは人を楽しませて勲章をもらえることになったんだから、俺たちのほうがもらう資格はある。」
以上、ビートルズ叙勲騒動の舞台裏でした。
それにしてもジョンレノン。
カッコイイ。
彼にとっては王室の権威なんてものは関係ないのです。
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コメント
「勲章がもらえたのは外貨を多く稼いだからだろ?そんなので勲章がもらえるのならローリングストーンズあたりがお似合いだ。」この発言の出処または原文(英語)を以前からネットで探していました。私の記憶では、「レコードの売上枚数で勲章がもらえるならビートルズはもっと上のGBEとかじゃないか。MBEはローリングストーンズくらいが適当だ」だったと思いますが。1972年にラジオでBBC制作のTHE BEATLES STORY で聞きましたがそれ以来見聞きしていません。差し支えなければどこで見た(聞いた)か教えてください。