ジョンレノンがベースマン!ジョンがベースを奏でたビートルズの楽曲

ビートルズについて

ジョンレノンがベースを演奏!?

あんまりイメージができないですよね。ビートルズと言えば、ジョン・レノンがリズムギター、ジョージ・ハリスンがリードギター、ポール・マッカートニーがベース、リンゴ・スターがドラムスという役割分担が一般的です。

でも、あるんです。ジョンがベースを奏でている楽曲が。初期の頃には見当たらないのですが、ビートルズも後期になってくると、担当楽器のしばりは、ゆるゆるになっていて、「あれ、これジョンがベース弾いてるじゃん」みたいな曲があったりします。今回は、そんな感じでジョンがベースを弾いた意外な楽曲を紹介します。

ジョンのベースプレイの魅力に迫るだけでなく、あわよくば、レコーディング・セッション中の出来事やエピソードを交えて、お話したいと思います。それではさっそく、この曲から。

The Long and Winding Road (from『Let It Be』)

1970年発表のアルバム『Let It Be』に収録された「The Long and Winding Road」は、ビートルズ後期の代表的なバラードのひとつです。ポールが書いたこの曲は、切ないメロディと壮大なオーケストレーションが特徴的ですね。失われた愛や終わりゆく時代を象徴するような歌詞が切なくてたまりません。

この曲でベースを担当したのがジョンです。担当した理由は、アルバム『Let It Be』の制作コンセプトに起因しています。このアルバムでは、ビートルズとしての結束を強めるため、オーバーダビングを避け、昔のように一発録りのスタイルを重視しました。その制約がある中、ポールがピアノを担当していたため、ジョンがベースを弾くこととなったようです。

この曲のジョンのベースプレイには賛否両論があります。ジョンのベースラインは、至高のものとは言い難いようです。むしろ、演奏にはややラフな印象もあります。リズムが安定せず、繊細なメロディラインと調和しない部分もあるため、ちょいとばかり粗雑に感じられ、「あれれ…」と、疑問符がつくような内容になっています。もしかしたら、ポールも「あれれ…」と思ったかもしれませんね。それでも、ジョンがこの曲に参加したことで、バンドの最後の時期における彼の存在感を感じ取ることができるのではないでしょうか。

興味深いのは、この楽曲の制作背景です。当時、バンド内の緊張感は高まり、メンバー間のコミュニケーションもぎくしゃくしていました。その中で録音された「The Long and Winding Road」は、結果的にフィル・スペクターによるストリングスとコーラスのアレンジが施され、当初のコンセプトとは大きく外れる壮大なバラードとなってしまいました。この点について、ポールが激怒したことは有名ですね。

「The Long and Winding Road」は、ポールの素晴らしい作曲力が光る一曲であり、同時にビートルズの解散が迫っていた時期のメンバー間の複雑な関係も反映された曲です。そして、ジョンのベースラインもまた、この楽曲の特異性を象徴する要素と言えるかもしれません。

Dig It (from『Let It Be』)

『Let It Be』に収録された「Dig It」は、非常にユニークで短いジャムセッション的な曲です。アルバムの中でも特に異色な存在で、ポールがピアノを弾き、ジョンがベースを担当しています。この曲は、ビートルズが自由に即興で演奏した結果、音楽としては未完成でありながら、メンバー同士の軽快なやり取りを感じることができる一曲です。

「Dig It」は、実際には長いジャムセッションとして演奏されましたが、収録時に約50秒ほどに短縮されました。歌詞もほとんど即興で歌われたもので、アルバムの中でもユニークな位置を占める曲です。内容は特に深い意味があるわけではなく、リズムに合わせてメンバーが気ままに言葉を並べただけのものです。そのため、歌詞の内容はジョンが登場する一連のフレーズを含め、非常にカジュアルで、いわば「ジャム」そのものであることがわかります。

この曲でジョンが担当したベースは、シンプルながらもリズムをしっかりと支える役割を果たしています。ポールがピアノを弾き、リンゴがドラムを叩いている中で、ジョンはベースを使って音の土台を作り上げています。特に大きな展開もなく、リズムセクションが安定していることで、即興感が強調され、ビートルズの自然な演奏の雰囲気が伝わります。

面白いことに、この曲の制作時期には、メンバーたちが音楽的にも精神的にも自由を求めていた時期であり、その影響が色濃く反映されています。ビートルズの音楽はその後、さらに進化を遂げるものの、「Dig It」はその過渡期を象徴する曲とも言えるでしょう(言い過ぎかな?)。

この曲はアルバム全体における短いインタールードのような位置付けですが、ジョンがベースを担当したことで、彼が持つ音楽的な幅広さや、普段は見せない一面を感じることができます。即興的で自由なビートルズの演奏が凝縮された、まさに「ジャム」そのものであるこの一曲は、ビートルズの無邪気で遊び心に満ちた音楽性を感じさせます。

Helter Skelter (from『The Beatles』)

1968年に発表された『The Beatles』、通称「ホワイトアルバム」に収録された「Helter Skelter」は、ビートルズが挑戦的でヘヴィなサウンドに取り組んだ代表的な曲です。この曲は、特にビートルズの音楽の中でも攻撃的なエネルギーを感じさせ、ロックの歴史においても重要な位置を占める一曲です。

「Helter Skelter」の特徴的な点は、その荒々しいギターリフと、ポールの熱狂的なボーカルに加えて、ジョンが担当したベースラインにもあります。ジョンのベースプレイは、シンプルで力強く、リズムセクションとして曲全体の躍動感を支える役割を果たしています。特にその重いベースラインは、曲の暴力的で混沌としたエネルギーをさらに引き立て、ビートルズの音楽の新しい方向性を感じさせます。

実際、「Helter Skelter」は、当時のロックにおける「音の爆発」を象徴するような曲で、後のハードロックの先駆けとも言われています。曲の中で、ビートルズのメンバーは、より過激で粗野な音を追求しました。そのため、ジョンのベースラインも、決して洗練されたものではなく、むしろその粗野さが曲の力強さを増しています。

ポールは、「Helter Skelter」の制作にあたり、あるレコードレビューで「エコーがかけられ、絶叫が響くようなワイルドな音」と表現されたバンドに触発されたと語っています。しかし、実際にそのレコードを聴いてみると、サウンドは洗練されており、粗さや過激さは見受けられなかったため、ポールはビートルズが先駆けてそのような激しいサウンドを作り出すべきだと考え、この曲に挑戦することになったのです。

この曲のジョンのベースプレイは、シンプルでありながらもその迫力を最大限に引き出しており、楽曲の暴力的で狂気じみた雰囲気を作り上げるのに欠かせない要素となっています。ポールが担当する他の曲のベースラインとは一線を画す、この荒々しいベースの響きこそが、「Helter Skelter」の本質を象徴していると言えるでしょう。

Back in the U.S.S.R. (from『The Beatles』)

「Helter Skelter」と同じく「ホワイトアルバム」に収録された「Back in the U.S.S.R.」は、ビートルズの音楽的冒険心が詰まった陽気でエネルギッシュなロックンロールナンバーです。この曲は、チャック・ベリーの「Back in the U.S.A.」とビーチボーイズの「California Girls」をパロディにした内容で、ソビエト連邦への帰国をテーマにしたユーモラスな歌詞が特徴です。

曲全体に流れるのは、陽気なロックンロールのリズムと、ポールのパワフルなボーカルです。ビートルズらしい自由で楽しい雰囲気があり、まさにロックンロールの黄金時代を感じさせます。歌詞は、ソビエト連邦に戻る喜びを表現しつつ、その背後に自由な西側社会との対比を暗示するような皮肉も込められています。冷戦時代の政治的背景を反映させた内容でありながらも、その楽しげなメロディからは深刻さを感じさせません。

この曲でジョンが担当したベースは、力強い存在感を放っています。特に、サビ部分でリズムセクションを支えるベースラインが曲全体を支える役割を果たし、ビートルズのグルーヴ感を強調しています。ジョンのベースプレイは、他のメンバーと同様にこの曲のエネルギーに溶け込み、力強い演奏を繰り広げています。

「Back in the U.S.S.R.」では、リンゴが一時的にバンドを離れていたため、ポールがドラムを担当している点も注目すべきです。この代役ドラマーとしてのポールの演奏は、曲に加わったさらに強いエネルギーを感じさせます。リンゴの一時的な離脱の理由はメンバー間の関係に起因していましたが、このような状況でもビートルズは創造的に曲を仕上げました。

「Back in the U.S.S.R.」は、ビートルズのユーモアと政治的なメッセージが見事に融合した一曲であり、ジョンのベースプレイもその魅力を引き立てています。

番外編 Let It Be (from『Let It Be』)

1970年に発表された『Let It Be』に収録されたタイトル曲「Let It Be」は、ビートルズの音楽の中でも特に感動的で深いメッセージを持ったバラードです。ポールが作詞・作曲を手掛け、アルバムの中でも最も象徴的な曲のひとつとされています。その歌詞は、困難な状況に直面したときに「Let it be(なすがまま)」という心の平穏を求めるメッセージを込めたものです。

ここで注目すべきは、ジョンが演奏したベースが存在したことです。一体どんな演奏だったのでしょうか?最終的には、プロデューサーのジョージ・マーチンの指示により、ポールが演奏したものに差し替えられたようですが、なんとも気になります。

「Let It Be」におけるジョンのベースは、実際には録音の初期段階での一時的な役割にとどまりましたが、もしかしたら、ポールによる最終的なベースプレイの方向性を示唆したかもしれませんね。ジョンのベースが、曲の初期段階でどのように貢献したのかを知ることは、ビートルズの制作過程をより深く理解する手がかりとなると思います。ジョンレノンバージョンって聴けるのかな?

「Let It Be」は、ビートルズの最後のスタジオアルバムにおける感動的な名曲として、多くのリスナーに愛されています。ジョンのベースをベースにした(?)ポールのベースが織りなす繊細なサウンドは、ビートルズの音楽的成長を象徴するものとなっています。

ジョンレノンのベースプレイ:ビートルズ音楽における隠れた役割

ジョンのベースプレイは、ビートルズの音楽において目立たない存在でありながら、重要な役割を果たしています。「The Long and Winding Road」では、ある意味存在感を存分に発揮していて、ポールが作った美しすぎるメロディを引き立てています。「Dig It」では、即興的な演奏の中でリズムを支える役割を果たし、軽快で自由な雰囲気を演出しています。また、「Helter Skelter」や「Back in the U.S.S.R.」では、その力強く荒々しいベースラインが曲のエネルギーを増幅し、ビートルズの音楽的懐の深さを示しています。

ジョンのベースは、楽曲ごとに異なる役割を果たし、そのシンプルさの中に深いインパクトを持っていることがわかります。ジョンのベースは、少ないながらも確実にビートルズの音楽に爪痕を残していて、独自の存在感を放っているのです。以上、「ジョンレノンがベースマン!ジョンがベースを奏でたビートルズの楽曲」でした。おしまい。

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