いきなりですが、ビートルズ(The Beatles)の未発表曲って興味ないですか?私はひじょーーに興味があります。ビートルズはわずか約8年の間に213曲もの楽曲を我々に与えてくれました。それはそれはとってもありがたいことなのですが、やっぱりもっともっと聞きたいですよね、ビートルズの曲。
どうにかして聞けないかと、伝手、コネ、人脈などの様々な手段を使って、最終的にはGoogleに頼って調べてみました。そうするとですね、見つかりました。なんと、どーんと17曲も。正確にいうと発表されているんだけど、「ビートルズとして」は発表されていない17曲を見つけました。
すべてレノン・マッカートニーによる作曲の楽曲です。
一部の曲は『The Beatles Anthology』や一連の50周年記念盤シリーズで「ビートルズの曲として」公表されましたが、発表されていないものもたくさんあって、どんな曲なんだろう…と興味をかきたてられます。ここではそんな発見した"ビートルズとして未発表"な17曲を一挙に紹介いたします。
▼ 動画もありますので是非ご覧ください。
なぜビートルズとして発表しなかったのか?
ここで紹介する17曲は、「なぜビートルズとして発表しなかったの?」そう思えるほどのクオリティの高い曲ばかりです。純粋に作曲を依頼されたりだとか、プロモーションの兼ね合いなんかがあったのだと思いますが、もしビートルズとして世にリリースしていたら、おそらくですが、もう1億2億枚くらいはレコード売上枚数を増やしていたんじゃないかと思える曲ばかりです。前置きが長くなりました。最初の一曲目はこちら!
One and One is Two
一曲目は、One and One is Twoです。1965年にマイク・シャノン&ストレンジャーズによって発表されたレノンマッカートニーソングなのですが、実質的にはポールマッカートニーによって書かれた曲のようです。(主にネットで)いろいろ調べましたが、あまり情報がありません。
ジョンレノン曰く「ポールの駄作のひとつ」とのことです。なかなか辛辣ですね。まあ、超名曲だとは言いませんが、それなりにいい曲じゃないかなと私は思います。
さて、ビートルズバージョンはあるのでしょうか?
ありました!でもブートです。『Acetate』という作品集に収録されていますので、興味のある方は探してみてください。続く2曲目はこの曲。
Bad to Me
1963年にビリー・J・クレイマー&ダコタスによって発表されたレノンマッカートニー作曲の楽曲です。作品自体はジョンレノンによるもの。全英で1位、全米で9位となかなかのヒット曲です。どういう経緯でビリーに提供したのかは知りませんが、惜しいことをしました。ちなみにビリーが歌うBad to MeのB面はI Call Your Nameです。
ビートルズバージョンは、『The Beatles Bootleg Recording』でデモバージョンを聞くことができました。なかなか渋くていい曲です。次は大ヒットしたこの曲です。
A World Without Love
1964年にピーター&ゴードン名義で発表された曲です。これはもう有名ですね。全英・全米ともに1位を獲得した大ヒット曲。作詞・作曲のクレジットはレノン・マッカートニーですが、実際はポールによって作曲されています。
1960年代当時、ポールが交際していたジェーン・アッシャーの兄がこのピーター&ゴードンのピーターのほうで、その縁で楽曲提供がなされたようです。その曲が大ヒットするんですから、オモシロイ縁ですね。ちなみにこの曲、日本では「愛なき世界」と名付けられています。次はシラ・ブラックに提供した曲です。
Love of the Loved
1963年に発売されたシラ・ブラックのデビュー曲。ジョンが作っています。このシラ・ブラックという女性シンガーは、もともとリバプールのキャバーンクラブでスタッフとして働いていたのですが、ひょんなことからビートルズの面々に気に入られ、このLove of the Lovedでデビューを果たします。なんという幸運でしょうか。やっぱりキャバーンクラブで働いておくもんですね。
I'll Keep You Satisfied
Bad to Meと同じくビリー・J・クレイマー&ダコタスに提供された曲です。Bad To Meはジョンによる楽曲でしたが、この曲はポールによるものです。1963年にリリースされ全英4位とヒット、アメリカでは30位とあまり振るいませんでした。
なんともメロディアスな実にポールっぽい曲です。ジョンとポールがハモリながら歌っているのが想像できる曲で、ぜひビートルズバージョンが聞きたい!と探したのですが、見つかりませんでした。本当にないのか、それとも探し方が悪いのか…。いずれにしてもビートルズバージョンがないのがくやしい名曲です。
That Means a Lot
1965年にP・Jプロビーの曲として発表された曲です。もともとビートルズ二作目の主演映画『Help!』用にポールが作った曲のようですが、正式リリースはされていません。なんででしょうね。気に入らなかったのかな。ただ、この曲は『The Beatles Anthology2』で聞くことができます。
I'll Be On My Way
この曲もビリー・J・クレイマー&ダコタスに提供された曲です。もうレノンマッカートニー専属シンガーみたいですね。デビュー曲Do You Want to Know a SecretのB面としてリリースされています。そうです。ビートルズのデビューアルバム『Please Please Me』収録のあのDo You Want to Know a Secretです。
曲のクオリティ的には、まったくもって個人的な意見ですが、超名作といはいかないまでも、なかなかいいね!的な曲です。初期ビートルズのアルバムに入っていても違和感なしです。
I don't Want to See You Again
この曲は、ビートルズのコーラスでぜひ聞きたい名曲のカテゴリーに入れても遜色ない名曲だと思います。ピーター&ゴードンの3枚めシングルで、1964年にリリースされました。作者は、もちろん、ピーターの妹さんの関係でポールです。
全米で16位とA World Without Loveに比べると、チャート的にもの足りませんが、とてもいい曲だと思います。なぜビートルズバージョンがないんだろうか??
Hello Little Girl
『The Beatles Anthology1』にも収録されている曲ですね。ジョンが16歳のころに作った曲だそうです。リリースは同郷リバプール出身のフォーモストのデビュー曲として1963年にリリースされています。全英9位となかなかのヒット曲です。
フォーモストバージョンは聞いたことがないのですが、私の大好きな映画『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』でも聞くことができます。印象的なシーンで歌われており、とてもいい仕上がりになっています。みなさんこの映画見たことありますか?
学生時代のジョンを描いた作品で、これがまた良い作品なんですよ。興味がある方はぜひ見てください。あー、リバプールに住みたい!
9曲を紹介したところで、ちょっとここで一休み。いかがでしょうか?ここで紹介した曲を聞きたくなりましたでしょうか。
聞く方法…?
実は、あるんです。でも、まだその前に残りの8曲を紹介いたします。
他のミュージシャンに提供している曲も大ヒット!!
さすがレノン・マッカートニーですね。当たり前だけど、他の追随を許さない超一流の作曲チームです。だからこそ、私のような盲目的ビートルズファンは、「なぜビートルズ名義で発表しなかったの?」という疑問を持ってしまいます。ジョンとポール、そしてジョージハリスンによるあの美しいハーモニーでこれらの曲を聞きたかった!ということで、後半です。あと8曲紹介します。
Goodbye
ようやく出ました。アップルの歌姫メリー・ポプキンの歌うGoodbyeです。ビートルズが設立したアップルレコードからデビューした彼女はポールマッカートニー様の支援により人気シンガーの仲間入りします。そんな彼女にレノンマッカートニーソングとしてポールが提供したのが、このGoodbyeです。全英で2位を記録するヒット曲となりました。ちなみにこの曲の全英1位を阻んだのがビートルズのGet Backでした。いわゆる"弟子"にも容赦をしないビートルズがまたGood!
ビートルズバージョンはブートながら存在していて、お天道様に隠れて聞くのが主流だったのですが、この度『The Beatles』の50周年エディションに収録され、陽を浴びながら聞くことができるようになりました。
Tip of My Tongue
これまたいい曲なんですよねー。ビートルバージョンをぜひ聞いてみたい曲です。探したんですけどねー、ないんですよね。うーん、残念。
気を取り直して…、アップテンポのこの曲はポールによって作られ、1963年にトミー・クイックリーという歌手に提供されています。かなりノリノリな曲なので、ライブ映えしそうです。『With The Beatles』に収録されていてもおかしくなさそうです。収録されていたら、きっと注目をあびた曲だと思います。
Nobody I Know
A World Without Loveに続く、ピーター&ゴードンの2枚目のシングルで、こちらもやっぱりピーターの妹さんの関連でポールによる作品です。全英9位、全米12位となかなかのヒットです。
曲の雰囲気はビートルズのIf I Fellっぽいような感じがします。ハモリ前提で作られている曲なのかな。聞いていて心地よい名曲です。そうなってくると、ますますジョンとポールのハモリで聞いてみたいという願望が…!でもビートルズバージョンはないようです。ないのかな。
From a Window
もう悔しいったらありゃしませんね。なぜ私が悔しがっているのか、よくわかりませんが、なぜこんな名曲をビートルズとして発表しなかったんだ!と、初めてビートルズに怒りを覚える今日この頃です。もっと突っ込んで言うと、名曲をホイホイと他人にあげすぎなんですよ。困ったもんです。こんな名曲の提供を受けた幸せ者は一体だれなんだい?
ビリー・J・クレイマー&ダコタス!
また来たか。完全に八つ当たりですが、ビリーとダコタスが嫌いになってきました。でもまあ、もう過ぎたことなので怒っても仕方がないので次に進みます。
From a Windowはポールによって作られた作品で、ビリー・J・クレイマー&ダコタスによって1963年にリリースされています。全英・全米ともにあまりヒットしなかったようですが、私は他のミュージシャンに提供したレノンマッカートニーソングの中でも1位2位を争うクオリティの楽曲だと思っています。ビートルズとして発表してほしかったなー。ビリーめ~、&ダコタスめ~。
Step Inside Love
怒りを鎮めましょう。次はシラ・ブラックに提供したStep Inside Loveです。リリースは1968年。この曲は『The Beatles Anthology3』と2018年の『The Beatles』の50周年エディションにポールが歌っているバージョンが収録されていますね。小作品といった感じで、なんともGoodです。
Like Dreamers Do
この曲、好きなんですよねー。底抜けに明るくて、聞いてると気分が良くなってきます。そんなLike Dreamers Doはアップル・ジャックスによって1964年に発表されています。作者はポールで、デッカ・レコードのオーディションで演奏されているから、デビュー前に作られた曲だと思います。ビートルズバージョンは『The Beatles Anthology1』で聞けますね。楽しい曲です。ロックンロールの根本ってこういうことなんじゃないかなーと、再認識させてくれます。
It's For You
底抜けに明るいLike Dreamers Doとは対照的にIt’s For Youはしっとりとした楽曲です。作者はポールマッカートニー様で歌うのはシラ・ブラック。全英で8位としっかりヒットしていますが、アメリカでは振るわなかったようです。それにしてもキャバーンクラブで働いていたのが縁で、アメリカでレコードが出せるなんてすごいことですよね。キャバーンクラブで働いておくもんです。
I'm in Love
最後に紹介するのはI'm in Loveです。先ほどFrom a Windowは提供した曲の中で1位2位を争う曲だと言いましたが、争っているのはこの曲です。個人的にはこの曲のほうがクオリティは高いと思っています。なんてったって、すごくカッコいいんです。さて、そうなってくると言うことはひとつです。
なぜ、ビートルズとして発表しなかったんだ!!
これほどまでに名作なのですから、ジョンやポールがうっかり他のミュージシャンにあげようとしているのをジョージマーチンが止めるべきでした。ジョージマーチンの大きな失敗の1つだと思います。でも今さらそんなことを言っても仕方ないですね。
さて、この曲、I'm in Loveの作者はジョンレノンです。提供されたのは、フォーモストで、セカンドシングルとして1963年にリリースされています。ビリー・J・クレイマー&ダコタスではなかったようですが、いずれにしてもビートルズ名義じゃないのがくやしー。関係ないけど、ビリーめ~、&ダコタスめ~。
ビートルズバージョンは、デモながらも存在していて、『The Beatles Bootleg Recording』で聞くことができます。ピアノでのデモですが、曲のカッコよさは十分に伝わってきます。もう一度いいます。なぜビートルズで出さなかったんだ!
"ビートルズとして"未発表曲を聞く方法
いかがでしたでしょうか?"ビートルズとして"未発表の17曲を一気に紹介してきました。どれもこれもレノンマッカートニーブランドに見合った名曲ばかりでしたね。
これらの曲、聞く方法があるんです。もう、うすうす気づかれているかもしれませんが、ここで紹介した17曲はジョンとポールが提供した曲を「もしビートルズが演奏したら…」というコンセプトで制作された企画アルバム『愛なき世界~ノーザン・ソングス』に収録されています。興味のある方はぜひ、手に取って聞いてみてください(こちらからどうぞ)。聞いて損した気分にはならないと思います。
このアルバムの面白いところは、普通にカバーしているのではなく、「もしビートルズが演奏していたら…」というコンセプトで、1曲1曲をビートルズっぽくしている点です。具体的にはイントロ部分がTicket to Rideっぽかったり、エンディングがA Hard Day’s Nightっぽかったりします。分かる範囲で一覧にしてみましたので、ヒマつぶしにどうぞ。
- One and One is Two …チャックベリー風アレンジ
- Bad to Me …エンディングがShe Loves You風
- A World Without Love …なんとなくAnd I Love Her
- Love of the Loved …ハーモニカがビートルズっぽい
- I'll Keep You Satisfied …不明
- That Means a Lot …不明
- I'll Be On My Way …I Feel Fineっぽい気がする
- I don't Want to See You Again …コーラスがビートルズっぽい
- Hello Little Girl …A Hard Day’s Nightっぽい
- Goodbye …不明
- Tip of My Tongue …Run For Your Lifeかな
- Nobody I Know …I Follow the Sunだね
- From a Window …イントロがTicket to Ride風
- Step Inside Love …エンディングがI Want to Tell You風
- Like Dreamers Do …エンディングがPlease Please Me
- It's For You …ちょっとわかりません
- I'm in Love …エンディングがDay Tripperのイントロ
以上、【ビートルズ未発表曲】ビートルズとしてリリースしていない17曲を紹介!!でした。
おしまい。
全オリジナルアルバムの聞きどころを紹介。詳しいアルバムガイドです。購入に迷っている方は読んでください。 クリックして詳しく読む
もう少しビートルズを詳しく知りたい方は、歴史を押さえておきましょう。10分で分かるバージョンを用意しております。そして、忘れちゃいけない名曲ぞろいのシングルの歴史もあります。
手っ取り早くビートルズの最高傑作を知りたい方は、ロックの専門誌「ローリングストーン」誌が選出したオールタイムベストアルバムの記事を読んでください。ロックを含むポピュラー音楽史の中で評価の高いアルバムをランキング形式で紹介しています。
コメント
love of the lovdedは『コンプリートデッカテープス』に収録されていますね。
I’ll Be On My Wayは『Live at the BBC』で聴けますよ
情報、ありがとうございます!聞いてみます。