ポールマッカートニーがリードギターとドラムを演奏 ビートルズの楽曲 4選

ビートルズの曲

ビートルズの各メンバーが担当する楽器は次の通りです。

  • ジョンレノン:リズムギター
  • ポールマッカートニー:ベース
  • ジョージハリスン:リードギター
  • リンゴスター:ドラム

基本的にはこの編成で、数多くの名曲を生み出しています。ここにハーモニカだとかピアノだとか、ときにはシタールだとかが加わりますが、基本的にはこのスタイルでした。

数はさほど多くないのですが、担当外の楽器を演奏している楽曲も存在します。例えば、リードギターがジョージじゃなかったり、ドラムがリンゴじゃなかったり…。何となくですが、代わりに弾いたり叩いたりしているのは、ポールが多いように感じるのは私だけでしょうか?

今回は、そんなポールマッカートニーに焦点をあてます。ポールがリードギターを弾き、ドラムを叩いている楽曲を厳選して4曲紹介します。

「ちょっと、ポール、やり過ぎじゃないの?」的な印象を受けてしまいますが、できるだけ担当変更の理由にまで踏み込んでいきたいと思います。間違っていたらすみません。ということでさっそく、この曲から。

YouTubeもやっています!ぜひ、見てください。

頭の中で完成していた? Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band

まず紹介したいのは、奇跡の名盤『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のタイトルナンバーです。「架空のバンドがコンサートを開く」というコンセプトを持つアルバムの中核をなす一曲。アルバムコンセプトの発案もポール、そしてこのタイトル曲の作曲もポールです。

イメージされたのは「架空のバンドが作りそうな曲」。

このアルバムの楽曲が、なんとなくビートルズっぽい感じがしないのはこのためでしょうか。ともあれ、ビートルズじゃないバンドが作る曲をイメージしてポールは作曲をしたらしいです。

スゴイのは、作曲した時点で既に完成イメージがあったこと。あのガンガンに鳴り響くギターも、そして野太い感じのベースもポールの頭の中に既にあったのだとか。ポール的にはそれを忠実に再現したかったのだと思います。

「どう弾けばいいのか、わかっているから俺が弾く」

当初リードギターを弾いていたジョージにそう申し出てリードギターを弾きはじめます。さらに、もともとジョンが弾いていたベースもポールが演奏。ここではベースをレコーディング機材に直接つなぎ、あの野太い音を出しています。

まさにポールの独壇場です。

この曲のヘビーなサウンドは、当時イギリスで人気になりつつあったジミヘンドリクスの影響でしょうか。1966年の8月末にコンサート活動を中止したビートルズは、レコーディングまでの3ヶ月間をバラバラに過ごしています。その期間中にポールはジミヘンドリクスのコンサートを見に行ったとか。サウンドがヘビーになるものうなずけますね。

アルバム『サージェント』がリリースされた3日後、ジミヘンドリクスがライブでこの曲をカバーしたことは、近年のコンサートでポールがよく語ってくれるエピソードです。

とにかく、この曲のガンガンのリードギターはポールマッカートニーによるもの。やっぱりポールは何でもできますね。ということで、Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band でした。

リンゴスターが激怒した!? Back in the U.S.S.R.

2曲目は『ホワイトアルバム』からBack in the U.S.S.R. です。タイトルはチャックベリーの Back In The U.S.A. をもじり、コーラスをビーチボーイズ風に仕上げた、ビートルズのパロディセンスがしたたり落ちている作品です。

作者はポールマッカートニー。この曲で、ポールはリンゴスターに代わってドラムを叩いています。リンゴがドラムを叩いていないのなんて、Love Me Do のアンディホワイト以来の事件です。なぜ、リンゴじゃなくポールなのでしょうか。

それは、リンゴが怒りのあまりレコーディングを放棄して飛び出していったため

『ホワイトアルバム』の制作時、そうでなくてもなんとなく嫌な雰囲気が漂う中、ポールがリンゴのドラミングにケチをつけたようです。DVDの『Anthology』を見ると、軽い口喧嘩のようなものだったと、ポールとジョージ、リンゴは語っていますが、実際のところどうだったんでしょうか。

ビートルズの潤滑油、あの温厚なイメージのあるリンゴが激怒したんです。かるーい口喧嘩なわけないような気がします。待ち時間のことでリンゴとプロデューサーとがトラブったという説もありますが、おおかたの論調はポールのドラム批判が原因としています。

I Am The Walrus 制作時、単調なリズムのドラミングに苦しむリンゴを見たポールが、ガイド的にタンバリンを使ったという、あの優しさはどこへやら。『ホワイトアルバム』の制作雰囲気がポールをスパルタにしたのかもしれませんね。

ちなみにこの曲のコーラスについて、ポールの弟マイクが「ビーチボーイズにつけてもらおう」と提案したらしいのですが、ポールは「ビートルズが真似するところに意味がある」と答えたというエピソードもあるようです。ということで、Back in the U.S.S.R. でした。

純粋なレノンマッカートニー作品!? The Ballad of John and Yoko

3曲目はビートルズの中でもちょっと異質な曲です。作者はジョンレノンで、オノヨーコとの結婚・新婚旅行について歌っています。今までビートルズの楽曲にはなかったジョンとヨーコの超個人的な内容の曲であることに加え、もうひとつ異質なのは、レコーディングにジョンとポールの二人しか参加していないことです。

二人だけでレコーディングした理由は、ジョンがリリースを急いでいたからです。

なぜ急いでいたのかは不明です。とにかく早くレコーディングしたかったけれど…、ちょうどそのときジョージはアメリカに旅行中で、リンゴは主演映画の『マジック・クリスチャン』の撮影中で体が空いていない状態。最終手段としてギターはジョン自身で何とかなるものの…、ドラムはちょいと難しい。そうなるともうこれは、何でもできるポールマッカートニーなわけです。そんな理由で、この曲でポールはドラムを叩いています。

ここからは想像ですが、ポールはこの曲のレコーディングを断ることもできたはずです。むしろ断ったほうが良かったかもしれません。というのは、前作のシングル Get Back がリリースされたばかり。シングルとして次作をリリースをするにはインターバルが短すぎます。Get Back の売上にも響く可能性はおおいにあるわけです。結局Get Backからわずか1か月半後にリリースされているのですが、ポールはなぜジョンの要求をうけたのでしょうか。

もしかしたら、禊(みそぎ)なのかもしれない。

ジョンに対する禊です。ポールは『ホワイトアルバム』の制作時にリンゴを怒らせ、その後の『Get Back』セッションで今度はジョージを怒らせています。良いものを作ろうとした結果とはいえ、そこはやっぱりバンドをゴチャゴチャっとしてしまった負い目もあるわけです。特にリーダーのジョンに対して、「悪いなー、申し訳ないなー」と思っていた可能性はあると思います。そこに、ジョンからの頼み事です。受けざるを得ませんわね。禊として。という想像でした。

ちなみに、この曲について一番謎なのは、なぜビートルズ名義にしたのかという点です。ということで、The Ballad of John and Yoko でした。

理由は不明だけどもインドっぽい Taxman

4曲目に紹介するのはTaxman。名作『Revolver』のオープニングを飾るジョージハリスンの名曲です。ジョージの作品なので、ジョージ中心に作られたのは間違いないと思うのですが、この曲でリードギターを弾いているのはポールマッカートニーなのです。

なぜなのでしょうか?

この曲に関しては、ここまで紹介してきた3曲とは違い明確な理由は見つけられませんでした。というか、明確な理由なんてないのかもしれません。ただただ、ポールの個性が Taxman という曲の雰囲気に合っていたからというバンドとしての判断なのかもしれません。

作者のジョージもポールがリードギターを弾いていることに対して肯定的で、「ポールの弾くインド風のフレーズが曲に合っている」的な発言もしています。ちなみに、この曲の印象的なベースもポールマッカートニーによるもの。サウンド面で非常にポールは貢献しています。

なお、この曲はビートルズ初の政治風刺ソングかもしれません。1960年代当時の税制度を強烈に皮肉っています。歌詞の制作にあたりジョンがサポートしているようですが、全体的に漂う皮肉っぽさは、まさしくジョージハリスンといった感じです。

Taxmanが収録された1966年リリースの『Revolver』あたりからジョージの作曲能力が頭角をあらわしてくるのですが、それはまた別の話ですね。ということで、Taxmanでした。

良いものを作ることを追求したポールマッカートニー

ポールがベース以外の楽器を担当した楽曲を厳選して紹介してきました。ここで紹介したのはこの4曲です。

  • Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
  • Back in the U.S.S.R.
  • The Ballad of John and Yoko
  • Taxman

探せば、まだまだあると思います。例えば、Another GirlやBeing for the Benefit of Mr. Kite!、 Strawberry Fields Forever のエンディング部分。これらの楽曲は、ポールがリードギターをかき鳴らしています。Dear Prudenceのドラムもポールです。

ポールに限らず、こうした楽器の入れ替えは、ビートルズ側としては日常茶飯事のことだったんじゃないかと思います。バンドとして良いものを作ることを追求した結果、たまたま役割じゃない楽器を演奏していたというのが正しくて、そこにあまり理由はないのかもしれません。でも、ファンはやっぱり気になりますよね。だから調べてみました。

以上、「ポールマッカートニーがリードギターとドラムを演奏するビートルズの楽曲 4選」でした。おしまい。

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