ビートルズの新しい歴史 新曲「Now And Then」が示す音楽の進化

ジョンレノン

2023年11月、ビートルズの最後の新曲「Now And Then」がリリースされました。この曲は、ジョンのデモテープを元に、AI技術を使って声を鮮明にすることで、これまで難しかったジョンの声とピアノの分離に成功しました。そこにポールとリンゴが新しい音を加え、故ジョージの演奏も取り入れて完成させています。賛否はあるようですが、私個人としては名曲だと思っています。聴くと、往年のビートルズの雰囲気を感じながらも、AI技術によって実現した新しい音の質感が際立っています。ミュージックビデオも良い出来で、ファンの心に響く歴史的な作品となっています。ビートルズの魅力と現代技術の融合を感じられる一曲。

これが本当に最後の曲ならば、最後の最後まで、ビートルズは私たちを泣かせてくれて、そして笑わせてくれもしました。しめっぽくなり過ぎず、少しの笑いもあり、それでいてビートルズファンにはジーンとくる名曲です。間違いなくビートルズの新しい歴史になる曲。ありがとう!

Now And Then のリリースの経緯


そんなNow And Then のリリースの経緯を少しお話しします。ご存知だとは思いますが、少しだけ書かせてください。この曲は、当たり前ですが、解散後に完成、そしてリリースされた曲です。

解散後に完成?そんな馬鹿な話があるかいな!?

そう、思われた方もいるかもしれません。それが、あるんですね、ビートルズには。古くは1990年代のアンソロジー・プロジェクトの際にもビートルズは、Free as a BirdやReal Loveといった曲を完成させ、リリースしています。「Now And Then」もこれらの曲と同様、生前のジョンレノンが残したデモテープを元に、ポールマッカートニーとリンゴスター、そしてジョージハリスンが音を足して、いい感じにして、完成させた楽曲です。テクノロジーってすごいですね。

ちょっと待って。ポールとリンゴはわかる。でもジョージは永眠してるじゃないの。音を足してって、どういうこと!?

実はこの曲、先のアンソロジー・プロジェクトの際にリリースが試みられた曲で、『The Beatles Anthology 3』収録される予定でした。だから途中まで制作がされていたんですね。その時のジョージの音、ギターやボーカルが使われているんです。

2020年代の今でもなお革新的なビートルズ

では、なぜ当時のアンソロジー・プロジェクトでリリースされなかったのかというと、デモテープのジョンの声がピアノに埋もれて聞き取りにくかったからです(ジョージが気に入ってなかったという理由もあるようです)。YouTubeでデモテープを聞いてみると、確かにジョンの声は、ピアノに混じってモゴモゴ、ゴニョゴニョ聞き取りにくいです。

それがどうでしょう。時代を経て、AI技術により、ジョンの声を鮮明にすることに成功!リリースになったわけですね。詳しいことはよくわかりませんが、「デミックス」とかいうAI技術が使われており、これは特定の音を分離・抽出することができる革新的な技術だそうです。

そして驚くことに、この技術が開発されたのは、2021年のドキュメンタリー映画『Get Back』の時だそうです。思えば1960年代、革新的なレコーディング技術を駆使してきたビートルズ。2020年代になっても変わりなく果敢に最新技術を取り入れています。2021年に開発されたこの技術は、その後『Revolver(スペシャル・エディション)』にも使われ、そして今回の「Now And Then」にも使われたのです。

ビートルズが新曲をリリースするという情報

あれは2023年の6月ごろだったでしょうか。ポールが最後の新曲をリリースすると発表しました。私個人としては複雑な感情でした。もちろん、新曲が聞けるのは嬉しい…。けど、どんな曲なんだろう、もうビートルズは完成しているから、晩節を汚すような曲じゃなければいいな、でも、早く聴きたいな。なんて気持ちが錯綜していました。

そしてリリースされる楽曲について。6月の時点では曲のタイトルには触れられていませんでしたが、なんとなく、「Now And Then」だろうなというのは感じていました。でも、もしかしたら、Grow Old With Meなんじゃないか、なんてことも思っていました。そして、「Now And Then」のデモテープの音の悪さから、Grow Old With Meのほうがいいな、なんてこともうっすら考えていました。そんな私は悪いやつです。

でも、やっぱり、リリースされるのは「Now And Then」でした。

ビートルズは、まだまだ驚かせてくれる

2023年11月に「Now And Then」はリリースされました。聞いてびっくりです。鮮明なジョンレノンの声、驚くべき音質!そして何よりもメロディが美しい。これほどの曲になるとは思ってもいませんでした。さすが、ビートルズ!

やっぱり「Now And Then」か…。

なんて思っていた自分をぶん殴ってやりたい。晩節を汚す曲じゃなければいいな、なんて思っていた自分が恥ずかしい。ビートルズ民度が低いと言わざるを得ません。

ビートルズの音源が散りばめられた曲

調べてみると往年のビートルズの名曲が随所に散りばめられているようですね。Here, There and EverywhereとEleanor Rigby、そしてBecauseです。間奏部分に使われているBecauseは早い段階で「お!Becauseだね」と気づきましたが、Here, There and EverywhereとEleanor Rigbyはわかりませんでした。私もまだまだです。

ビートルズのいろんな曲をミックスして仕上げているのは、シルク・ドゥ・ソレイユのショウのサントラ『Love』の制作で使われた手法ですね。ありったけの技術を詰め込んで、決して古くならない。ビートルズはまだまだ新しいのです。

ポールマッカートニーがいたから生まれた名曲

こうした新しさもさることながら、あのデモテープからここまでの曲に昇華させた点も見逃せません。やはりポールマッカートニーの存在が大きいのかなと思います。何がすごいって、あの伝説のミュージシャン、ジョンレノンの作品に躊躇することなく手をいれていること。これはもうポール以外にはできない仕事です。そして改悪することなく、見事にLennon/McCartney風の作品に仕上げているのはさすがとしか言いようがないです。

ジョンのデモにあったヴァースのカットしたことに関する批判もあるようですが、ここに対して私は肯定的に捉えています。理由なんかありません。リリースされたビートルズバージョンの「Now And Then」がとてもいい曲だからです。

最後の最後まで茶化されていた!?

「Now And Then」のミュージックビデオも秀逸ですね。現在のポールとリンゴが歌って演奏する場面に加え、ビートルズ時代のHello Goodbyeの映像を合成させて作られています。過去と現在の二人の姿が交錯したり、若きジョンレノンと現在のポールに絡んだりと、なんともホロリときそうな映像です。

それでいて、完全にお涙ちょうだい映像になっていないのがまたいい。曲の雰囲気や歌詞から、切ない感じのものになると思いきやです。映像の中のジョンレノンがふざけまくっている。

  • 感傷的になりかけると茶化しにかかる
  • 本気だけど本気でない
  • 真面目に不真面目
よくわかりませんが、これぞビートルズって感じです。1960年代の喧騒の中心にいながら、傍観しているビートルズです。当時の映像をみたりメンバーの発言を聞いたりすると、ファンは、なんとなく手のひらの上で踊らされているなと感じていました。
まあ、そんなに本気になるな。
そんな声が、「Now And Then」のミュージックビデオからも聞こえてきそうです。このミュージックビデオはその点がうまく表現されており(主にジョンの動きですが)、ファンの胸にグサッと刺さるものになっています。ビートルズ史にとって、間違いなく価値ある映像になっていると思います。
そんな「Now And Then」、聞くなら『青盤』がおすすめ。中後期のビートルズの名曲が盛りだくさん。ビートルズの名曲を一通り知っている人でも、2023年エディションを聞けば新しい発見がありますよ!
といったところで以上、60年代から2023年へ ビートルズの新しい歴史「Now And Then」が示す音楽の進化でした。おしまい。
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