【声も楽器!?】ビートルズが演奏に参加していない珠玉の5曲!?

ジョンレノン

わずか8年たらずの活動期間中にビートルズは様々な楽曲を残してくれました。中にはロックロールやロックの枠組みから飛び出してしまい、ワールドミュージックの先駆けになった曲もあったり、後のハウスやテクノに大きなインスピレーションを与えた曲もあったり…。

そんなバラエティに富んだビートルズの楽曲をつぶさに見ていくと、確かにビートルズの曲なんだけどビートルズが参加していない曲もあったりします。正確には、歌だけ歌っていて、楽器は演奏していないという曲です。歌すらない曲もありますが…。

今回は、そんなビートルズの曲を5曲紹介いたします。演奏なしといってもアカペラではありません。ここで紹介するのは、外部ミュージシャンにフルでアウトソースしている曲です。当時としては画期的なこの手法。どんな曲で用いられているのでしょうか。さっそく、この曲から!

YouTubeもやっています。ぜひ見てください!

Yesterdayの進化版 Eleanor Rigby

1曲目は、レコーディングで様々な実験が行われた名作『Revolver』からEleanor Rigbyです。この曲もまた、ビートルズの実験のひとつだったのでしょうか。ビートルズのメンバーは、いっさい楽器を演奏していません。オールストリングスで勝負しています。見事に、ポピュラーミュージックとクラッシックの融合がなされています。

クラッシックとの融合で思い出すのは、かの名曲Yesterdayです。この曲では弦楽四重奏だけではなく、ポールによるアコースティックギターの演奏がありました。ただ、Eleanor Rigbyは違います。フルストリングスです。しかもYesterdayの時の倍!弦楽八重奏です。ビートルズのメンバーによる楽器の演奏はありません。あるのは、ポールのボーカルとジョンとジョージのハーモニーボーカルだけ。リンゴは不参加です。

フルストリングスはプロデューサーのジョージマーティンの判断でしょうか。楽器をいっさい演奏しないことについてポールは反対したという記事をなにかで読んだことがある気がするのですが、真実はどうなんでしょう。いずれにしてもビートルズとしての判断でフルストリングスになっています。

結果、この曲の歌詞とバシッと合っています(個人の感想ですが)。

Eleanor Rigby は貧困な人々に焦点を当てた曲です。恋愛ものが中心だった当時のポピュラーミュージックの歌詞としてはかなり異質な歌詞です。登場するのは、エリナ―さんと神父のマッケンジーさんです(当初はマッカートニーという名前だったらしいです)。二人とも裕福ではなく、そして孤独です。エリナ―さんは教会で米を拾い、マッケンジーさんはその教会で誰も聞いてくれない説教を考えています。悲しいじゃないですか。その悲しい雰囲気に弦楽八重奏はピッタリ合っています。

ちなみにこの曲の歌詞についてジョンは「半分以上」作ったといっています。対するポールは「手伝ってもらったけど、8割は自分だ」とのこと。たぶんポールが作った説のほうが正しいと思うのですが、もしジョンが書いていたとしたら「誰も聞いてくれない説教を考えているマッカートニー」という一節が非常に皮肉に聞こえてきますね。考えすぎでしょうか。

ポールのボーカルもいいですねー。ポールはこの曲で、グラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ソロ・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞しています。と言うことで、まず1曲目はEleanor Rigbyでした。

意外と反抗的な曲 She's Leaving Home

2曲目は奇跡の名盤『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』からShe's Leaving Homeです。作者はポールマッカートニー。この曲もビートルズによる楽器の演奏はなく、ポールとジョンがボーカルとして参加しているだけ。ジョージとリンゴは不参加です。Yesterday、Eleanor Rigbyの系譜を継ぐビートルズのストリングス楽曲のひとつです。

この曲が他のストリングス楽曲と違うのは、ジョージマーティンがストリングスの編曲をしていないところ。いわゆるビートルズのいつものパターンが崩れているんですね。ジョージマーティンが担当しなかった理由は、忙しかったから。ビートルズと同じパロフォンのシラブラックのセッションが入っていた模様。

そんな状況下、待てばいいのに、レノンマッカートニー。なぜかレコーディングを急ぎます。The Ballad of John and Yoko でもそうなのですが、この二人だけで作業するとなぜか曲の完成を急ごうとします。それが理由でShe's Leaving Home ではストリングスの編曲をマイク・リーンダーに依頼。それでちょっとジョージマーティンが怒ったそうです。

注目点は歌詞です。甘い感じのこの曲のサビをジョンが作っていることも見逃せませんが、テーマが家出というのもいいですね。親の抑圧から飛び出す少女の話です。1960年代の若者文化にピッタリのテーマのような気がしませんか。ということでShe's Leaving Home でした。

インド三部作の最高傑作 The Inner Light

3曲目はインドでスパイシーなこの楽曲、The Inner Light です。作者はもちろんジョージハリスン。1966年のアルバム『Revolver』のころからインド音楽を取り入れてきたジョージですが、本作はその総仕上げ。ビートルズ時代の最後のインド楽曲です。この曲もビートルズの参加はボーカルのみ。ジョージがリードボーカルで、ジョンとポールがハーモニーを付けています。

ちなみに、インド1号のLove You To はジョージがギターを弾いており、リンゴがタンバリンです。2号のWithin You Without You はアコースティックギターをジョージが弾いています。3号にして最終号のThe Inner Light はビートルズによる楽器の演奏はありません。

シングル Lady Madonna のB面に収録された本作は、1968年にジョージが手掛けたサウンドトラック『不思議の壁』のセッション中に録音されています。ボーカルの録音はロンドンのスタジオですが、インストゥルメンタルのレコーディングがなされたのはインドのボンベイ。ミュージシャンもインドの人、使われている楽器もインドの楽器です。

非常に美しいメロディの曲で、またそのメロディがインドにマッチしておるのです。ジョンとポールからの評価も非常に高く、日頃、あまりジョージをほめないポールまでも「メロディが美しい!」と大絶賛しています。インド三部作の最後を飾るにふさわしい名曲です。ここにビートルズ流のワールドミュージックは完成。ということでThe Inner Light でした。

賛否両論うずまく Revolution 9

4曲目はビートルズ最大の問題作、Revolution 9 です。この曲は『ホワイトアルバム』に収録されています。賛否両論ある曲ですが、もしかしたら「否」のほうが割合が大きいんじゃないかと思う作品です。

いわゆるミュージックコンクレートというやつで、この曲にはメロディもなければ歌詞もなく、もちろんボーカルも入っていません。聞こえてくるのは、赤ちゃんの泣き声と謎のうめき声、繰り返される「ナンバーナイン、ナンバーナイン…」です。不気味な楽曲です。

作者はジョンレノン。多分にヨーコの影響を受けており、ほぼ一緒に作っていると思います。ジョージハリスンも参加しているとか。ジョン曰く「革命を絵にした音楽」とのこと。おそらく多くの人が引っかかるであろうこの発言。えっ!音楽じゃなくて、絵!?アートのことはよく分かりませんが、作者がそう言うんだから、そうなんだと思います。ここはファンとして強引に納得です。

ビートルズによる楽器の演奏はありません。この曲は、EMIスタジオにあった効果音を組み合わせて作られている、いわゆる前衛音楽です。ジョンがアヴァンギャルドの世界に足を踏み入れた最初の曲ですね。ここから『Two Virgins』だとか『Wedding Album』だとかのふかーい前衛アートの世界に迷い込んでいくわけです。

一説によると、この時期、アヴァンギャルド方面にアンテナを立てていたのは、ジョンよりむしろポールだったらしいのですが、ポールはこの作品に関わっていません。仕事でロサンゼルスにいたそうです。ビートルズ作品としてはあまりにぶっ飛んでいるこの作品。『ホワイトアルバム』に収録するかどうか、ジョンとひと悶着あったらしいのですが、結局収録され、今に至っています。

ビートルズ作品の中で一番の問題作であるがゆえに、おそらくですが、もっとも聞かれる頻度が低い作品だと思います。それでも『ホワイトアルバム』に収録されているので、堂々たるビートルズ作品。なので、言い方を変えれば、史上最も聞かれたであろう前衛音楽作品だとも言えます。今後、この曲の評価はどうなっていくのでしょうか。と言うことで、Revolution 9でした。

もっともとホッとする作品 Good Night

最後の5曲目は、リンゴスターの歌う Good Night です。超大作『ホワイトアルバム』のラスト飾る曲。アルバムの収録順だと、ジョンの問題作 Revolution 9の次に収録されている作品です。なので、聞くとホッとするんです。不気味な Revolution 9から一転、流れてくるのは子守唄の Good Night 。この緩急がたまりません。ビートルズの楽曲の中でもこんなにも聞く人をホッとさせる曲は、この曲と Here Comes The Sun くらいなもんです。

作者はジョンレノン。Revolution 9を作ったジョンが作っています。ギャップが激しすぎる…。歌っているのはリンゴスターです。ポールとジョージの参加はありません。ジョンによるギター、ポール&ジョージによるコーラスもレコーディングされてはいたらしいのですが、結局使われなかったようです。なので、リンゴのボーカルとストリングスで出来上がっています。

美しいメロディと優しいリンゴの声はかなりのヒーリング効果ありです。カオスな『ホワイトアルバム』で、なんだかんだ感情をかき乱されたけど、この曲を聞くことで「まあいいや、寝る!」となれる。超大作の締めくくりにピッタリな曲だと思います。私だけでしょうか。

ということで、最後はGood Night でした。ちなみにこの曲、ジョンの息子ジュリアンに向けて書かれた子守唄です。ならば父親のジョンが歌ったほうがいいのではと思うのですが、曲調がジョンのキャラクターに合わなかったのかな。

バラエティに富んだビートルズ作品を楽しむ!

今回、ビートルズが参加していないビートルズ作品を紹介してきました。紹介したのはこちら。

  • Eleanor Rigby
  • She's Leaving Home
  • The Inner Light
  • Revolution 9
  • Good Night

うーん、名曲ですね。ロックバンドの枠組みを余裕で飛び越えている曲ばかりです。ビートルズがジャンルにとらわれていないのがよく分かります。歌詞もサウンドもバラエティに富んでいますね。実に聞き甲斐があります。

ビートルズが演奏していない曲って他にもありますかね。JuliaやYesterday、Within You Without You みたいに、ジョン単独、ポール単独、ジョージ単独で何かしらの楽器を演奏している曲はたくさんありそうですが、演奏にビートルズのメンバーが絡んでいないのは、もしかしたらこの5曲だけ…?かもしれません。もし他にあったら教えてください!

以上、「ビートルズが参加していないビートルズの5曲!?」でした。おしまい。

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