ビートルズの隠れた名曲を紹介したいと思います。ビートルズは現役中に213曲もの楽曲を残してくれました。多いか少ないかでいうと、少ない気がしますね。
なんせ50年以上、聞きこまれているわけですから。
そんなわけでビートルズの曲ってどれもこれも有名なんですよね。だから、「隠れた」という表現がふさわしいのかどうか疑問ですが、今回は果敢に挑戦しようと思います。
ビートルズというくくりにしてしまうとあまりに壮大すぎますので、ここではビートルズ時代のポールマッカートニーの作品だけにしぼります。
しかも『Please Please Me』から『Help!』までのいわゆる初期の作品に限定、さらに独断と偏見、愛と勇気をもって3曲に厳選してお届けします。
1曲目の紹介の前に、「隠れた名曲」の基準についてのお話しです。
大前提はベストアルバムに収録されていないこと!
まずは何をもって「隠れた」とするかの問題です。ここでは、ベスト盤に収録されていないということを基準にしたいと思います。
なんだかんだ言ってもビートルズのベスト盤は世界中に流通していますからね。ベスト盤に収録されているということは「隠れていない」ということにいたします。
対象とするベスト盤は…
『The Beatles / 1967-1970』(通称:青盤)
『The Beatles 1』
やっぱり外せないI Saw Her Standing There
1曲目は1stアルバム『Please Please Me』からはI Saw Her Standing Thereです。いちおう時系列でのご紹介を試みており、まずは『Please Please Me』からだと思って、「どれがいいかなー、I Saw Her Standing Thereは有名すぎるしなー」、なんて考えていて、とうとう「P.S. I Love Youにするかなー」と思ったんですが、やっぱり自分に嘘はつけませんでした。
1曲目はI Saw Her Standing Thereです。
時代を切り開いた、あの1、2、3、4のカウントと若きビートルズの荒ぶる演奏を前に選ばざるを得ませんでした。
隠れてる?
いちおうシングルにもなっていないし、赤盤・青盤にも収録されていませんから…。立派に隠れています…、ということにしておいてください。
私的にはLove Me Doよりも圧倒的にキャッチーな曲なので、デビューシングルになってもおかしくないと思うのですが、その辺、いろいろと事情があったのかもしれません。こだわりの強いビートルズですからね。なお、私は『Please Please Me』のI Saw Her Standing Thereも好きですが、『1962 Live At Star Club in Hamburg』の演奏も好きです。なんてったってワイルドですから。
ということで1曲目は、うっすら疑惑を残しつつも、I Saw Her Standing Thereでした。ちなみにP.S. I Love Youも好きです。
2015年 武道館で聞いたAnother Girlが忘れられない!
2曲目は、Another Girlです。それまで圧倒的なジョンレノンの影に隠れていたポールマッカートニーがメキメキと頭角を現してきた1965年リリースのアルバム『Help!』に収録されている楽曲です。
正直に言いますと、あまり注目をしていなかった曲なのですが、2015年のポールの来日公演で演奏されて以来、私の心をわしづかみにしています。ポール様直々に「世界初披露」と説明してくださってからの、Another Girlです。しびれないわけがありませんね。
しかも場所は、あの聖地・武道館です!
余談ですが、ポールが武道館公演をした2015年当時、「ポールマッカートニーがロックの聖地で演奏!」的な記事がネットに踊っていました。非常に違和感を感じましたね。なんか、ニュアンス的にポールがようやく聖地に辿りついた感がぷんぷんと臭う記事でした。
記事を書いている人が知らなかっただけかもしれませんし、改めて言うことでもないのですが、武道館をロックの聖地にしたのはポールマッカートニーをメンバーに擁するビートルズですから!
と言うことで、2曲目は、Another Girlでした。この曲は十分に隠れてますよね。それにしてもアルバム『Help!』にはAnother Girlのほか、The Night Beforeなんかもあって、けっこう名曲があるんですよねー。
でも、あんまり目立っていないのはなぜだろう。たぶんですが、Yesterdayという恐ろしいほどの名曲が収録されているからじゃないかと私はにらんでいます。さて、続く3曲目も、そんなYesterdayの影に隠れてしまった名曲です。
文句なしの隠れた名曲 I've Just Seen A Face
続く3曲目もアルバム『Help!』からです。隠れた名曲と自信をもっておススメしたいのが、このI've Just Seen A Faceです。ポールの初期の作品の中でも、私のお気に入りの上位に位置する曲です。
「夢の人」という邦題が付けられているあたりを考えると、やっぱりそれなりに注目はされている曲なんだろうとは思いますが、それでもやっぱり、All My LovingだとかAnd I Love Herなんかに比べると知名度は低いと思います。
I've Just Seen A Faceレベルの楽曲の知名度が低いのは、なぜなんでしょうか。思い当たるのは、あっぱりYesterdayの存在です。
2曲ともアルバム『Help!』に収録されているのですが、この曲順が良くない。12曲目 I've Just Seen A Face、13曲目 Yesterdayとならんでしまっているのです。I've Just Seen A Faceを聞いて「おお!」となった後、すぐにもっと大きな「おおおお!」が押し寄せてくる構造になっているわけです。これでは、前の「おお!」の印象が薄れてしまいます。
興奮のあまり「おお!」で表現していますが、続けます。つまり「おお!」が「おおおお!」に飲み込まれ、「おお!」をなかったことにしてしまっているわけです。
と、まあよく分からんことを言ってしまいましたが、とにかくI've Just Seen A Faceは名曲なのです。でも、隠れているのです。だから隠れた名曲なのです。
すごいぜ!ポールマッカートニー
まとめです。初期ビートルズはどうしてもジョンレノンの楽曲を聞きがちになってしまうのですが、改めてポール様の楽曲を見てみると、やっぱりすごいぜ!ポールマッカートニーです。
I Want To Hold Your HandやShe Loves Youといったジョンとの共作に加え、Can’t Buy Me LoveやAll My Lovingといった名作を生み出しつつ、そしてここであげたワンダフルな曲も作ってくれています。もう音楽に愛されているとしか言いようがないですね。
それでは、ここであげた3曲のおさらいです。
- I Saw Her Standing There
- Another Girl
- I've Just Seen A Face
どの曲も名曲ですね。そして隠れていますね。隠れているがゆえに、オリジナルアルバムでしか聞くことができないのが、ちょっとこまったところですね。でも、聞いて損なしビートルズです。興味のある方はぜひ聞いてみてください。以上、おわり!
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もう少しビートルズを詳しく知りたい方は、歴史を押さえておきましょう。10分で分かるバージョンを用意しております。そして、忘れちゃいけない名曲ぞろいのシングルの歴史もあります。
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