Let It Be や Hey Jude、ビートルズのピアニストと言えば、ジョンレノンよりもポールマッカートニーを思い浮かべるかもしれません。でも、ジョンだってピアノを弾いているんです。名演も残しています。今回は、そんなジョンレノンがピアノを弾いているビートルズの楽曲を紹介します。
- イントロが印象的な名作編
- ライブでのしびれる名演編
- サイケデリック・ピアノ編
- この曲も聞いときたい!番外編
これらの4つのカテゴリーにわけて7曲紹介します。間違っていたらすみません。それではさっそく!YouTubeもやっています。ぜひ見てください!
イントロが印象的な名作!編
インパクトが大きいイントロの曲が多いビートルズ。そのこだわりぬいたイントロにジョンが弾くピアノが使われている楽曲があります。ここでは2曲紹介します。イントロを聞けばすぐに「あ、この曲だ!」と分かる曲ばかりです。まずはこの曲から。
不遇の名作 Hey Bulldog
アルバム『Yellow Submarine』に収録されているジョンの名作です。『Yellow Submarine』というアルバムに収録されているためか、知名度がやや低めなこの作品ですが、かなりの名作。これぞ隠れた名作と言った感じです。
何といってもイントロのピアノです。
ここを聞いただけでもう名曲確定ですよね。このピアノはおそらくジョンレノンが弾いているんじゃないかと思います。デモの段階で、完成形に近いイントロが聞けるので、ジョンだと思っています。決定的な映像などが残っていないので、あくまで私の推理による結論なので、間違っていたら教えてください。
1曲目から早速あやふやな感じですが、ピアノがしびれるほどに名演であることは間違いないと思います。ここにポールのベースが重なり、なんとも重厚なロックンロールに仕上がっています。ジョンもこの曲のサウンドは気に入っていたようで、
It’s a good sounding record that means nothing.(サウンドは良いが、意味はない)
と、独特な感じで評価しています。個人的に最高の曲だと思っており、あまりビートルズ談義に登場しないことに不満を持っています。まさに不遇の名曲だと思います。
ちなみに、ビートルズがインドに旅立つ前に作られた最後の曲らしく、一説によるとメンバー4人が楽しんでレコーディングした最後の曲とも言われています。ということで Hey Bulldog でした。
なかばヤケクソに鍵盤をたたいた!? Ob-La-Di, Ob-La-Da
続いては超大作アルバム『The Beatles』に収録されているポールマッカートニー作のこの曲です。この曲もイントロのピアノを聞いただけで、「オブラディオブラダだね」となりますね。ジョンが弾くこのピアノが、この曲の楽し気な雰囲気を一発で作り上げています。
ただ、このイントロに至るまでに七難八苦あったようで、ジョンはこの曲を嫌っています。「More of Paul's granny music shit(ポールのおばあちゃんの歌、ゴミ)」と言っており、あまり好印象を持っていないようです。原因は、あのイントロ部分をポールに何度も演奏させられたこと。
あまりにポールが演奏のし直しを要求したため、ジョンの怒りが爆発。ヤケクソになって鍵盤をたたいたのが、今のあのイントロだそうです。ポールはこの件について、「あれで曲の雰囲気ががらりと変わった。スタジオで良い時間を過ごしたのを覚えている」と回想。なんともポジティブ。さすがポールです。
ジョージハリスン作のSavoy Truffle にも登場する Ob-La-Di, Ob-La-Da。ジョンだけでなくジョージも嫌いだったとか。ビートルズのメンバーだけでなく世の中的にも賛否ある模様です。ただ、ひとつ言えるのは、イントロのピアノは最高だ!ということ。Ob-La-Di, Ob-La-Da でした。
ライブでのしびれる名演!編
人類史上はじめて5万人以上の人を集めた音楽グループのビートルズ。コンサートに5万人以上が集まるにはそれなりの理由があります。当時、演奏はお粗末と言われていたビートルズですが、それは音響機器がしょぼかったから。今聞けば激しくしびれるコンサートをやってくれています。そんなコンサートで演奏されたピアノがしびれる名曲です。
ワイルドすぎる演奏 I’m Down
ビートルズ10作目のシングル Help!のB面に収録された楽曲。ロックンロールのレジェンド、リトルリチャードの Long Tall Sally を意識して作られたポールの作品です。この曲、レコードやCDで聞くよりもライブで聞くほうが数100倍盛り上がります。むちゃくちゃライブ映えする作品です。
人類史上初めて5万人以上の観客を集めた音楽コンサート、伝説のシェア・スタジアム・ライブでも演奏されています。ここでの演奏がまあスゴイ!ビートルズってハードロックだったの?と勘違いさせるほど。
とりわけジョンの演奏は狂気を伴っていて、間奏のピアノソロ(正確には電子オルガンですが…)の部分では肘で演奏しています。それを見て爆笑するポール。この光景についてリンゴスターは「おかしくなっていた」と回想しています。
圧巻としか言いようのないパフォーマンスです。誰が言ったか、「ビートルズ ライブ演奏お粗末説」。物事は正確に把握するように努めてほしいところですね。あの映像が公式で販売されていないのが不思議です。ということで I’m Down でした。
サイケデリック・ピアノ!編
続いては中期ビートルズの楽曲から2曲です。何となくですが、この時期のジョンはギターというよりもピアノというイメージがあります。まったくもって思い込みかもしれませんが、ジョンはピアノなんです。ということで個人的にジョンのピアノが光っていると思う2曲です。まずはこの曲から。
偶然の産物!?Being for the Benefit of Mr. Kite!
奇跡の名盤『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』からミスター・カイトです。サーカス感あふれるこの曲はジョンの作品。A Day In The Life もそうですが、ジョンは少ないながらも『サージェント』を象徴する名曲を多く作っていますね。
さて、ミスター・カイトです。ジョンが「おがくずのにおいのするサウンド」を目指したのは有名な話。「おがくずのにおいのするサウンドって何?」と思うところですが、チーム・ビートルズはカタチにしてしまうんだからスゴイ!
そのおがくずはエンディングの部分で感じられます。ここで演奏されている楽しい感じのオルガンはジョンレノンの演奏によるもの(ジョージマーティンも弾いているらしい)。ビートルズの楽曲にあって珍しい感じのエンディングですよね。こだわりを感じます。
ジョンの演奏だけでも「おがくず感」はあるのですが、満足できなかったのか、おがくずをマシマシにする工夫を凝らしています。そこで取られた方法が画期的。パイプオルガンの演奏を録音したテープをハサミでバラバラに裁断、それを放り上げて拾ったものをデタラメにつなぎ合わせて今の音を完成させるというもの。まさに音のハプニングを狙っています。
少々ピアノとは関係なくなってしまいましたが、Being for the Benefit of Mr. Kite! でした。
サイレンの音!? I Am The Walrus
『Magical Mystery Tour』収録の大名作 I Am The Walrus です。サイケデリック時代のジョンの代表曲といっていいかもしれませんね。とにかく不思議な魅力を持つ曲です。曲の途中で入るセイウチの鳴き声らしきGoo goo g’joob には、聞き始めこそ違和感を覚えましたが、今では Goo goo g’joobじゃなきゃダメ状態になっています。
ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』から着想を得て作られたこの作品。難解な歌詞…というか意味のない言葉遊びの羅列で構成されていて、そこがまたサウンドと相まって摩訶不思議な感じに仕上がっています。これぞジョンレノン!という名作です。
歌詞がけっこう注目される曲なのですが、ジョンによると「意味はない」らしく、当時ビートルズの歌詞を分析している人々を混乱させようとしていたという説があります。
サウンド面はオーケストラやサウンドエフェクトもりもり。イントロのエレクトリック・ピアノはジョンレノンによるもの。パトカーのサイレンをイメージしているのだとか。単調な感じの音が、より一層、曲の不気味さを増していますね。サイケデリック・ピアノというよりも印象的なイントロカテゴリーかもしれませんが、I Am The Walrus でした。
この曲も聞いときたい!番外編
最後は番外編です。公式リリース楽曲では聞けないのですが、アウトテイク作品で聞けるピアノとビートルズ解散以降のソロ作品の2曲を紹介します。まずはこの作品。ジョージハリスンの名曲から。もしかするとジョンの演奏じゃないかもしれませんが、勢いで紹介します。
レノンのピアノが消された! Something
やっぱり最高傑作『Abbey Road』に収録されたジョージハリスンのウルトラ級の名曲ですね。曲としてのクオリティがあまりに高いため、ジョージの作品ではなく、レノンマッカートニー作品に間違えられたという逸話を持つ作品。後期ビートルズの代表曲といっても過言ではないと思います。
そんな Something ですが演奏面ではポールマッカートニーのベースが何かと話題になります。私のような音楽素人が聞いても、スタンディングオベーションしてしまうレベルのあのベースの名演です。でも、ここではピアノを取り上げます。
ピアノ?聞こえねぇじゃん!
そうなんです。『Abbey Road』収録のSomething にはピアノの音がないんです。でも、レコーディングはしていたそう。その点、いろんな書籍に記載があります。消された理由は何なのか?他の楽器とのバランスを考慮してとのことだと思うのですが、どうなんでしょうか。
ジョンが弾くピアノをそのまま残していたらどんな感じだったんでしょうね。『Abbey Road』の50周年記念盤のSomething[Demo] を聞くとしっかりとピアノが聞けるのですが、これはジョージの演奏でしょうか。いや、ジョン?どっち?
もしかしたらジョンかもしれないという思いもありますが、あの時期、ジョンのピアノ伴奏でジョージがデモを歌うでしょうか。またジョンはこの曲について「アビーロードで一番いい曲」とする一方で、「自分は何も関わっていない」とも発言しています。やっぱりこのピアノ、ジョージかなー。知っている人がいたら教えてください!
ピアニスト・ジョンを確立 Imagine
最後はジョンのソロ作品です。ジョンレノンの曲の中で一番有名な曲かもしれませんね。Imagine です。ビートルズ時代に嫌というほどヒット曲を作ってきたジョン。ソロになっても、こんな偉大な曲を作っているんだから、やっぱりすごいですね。
今やもう、平和の象徴曲として扱われるこの曲。戦争や紛争が起こるたびに放送禁止になったり、応援歌として歌われたりしています。それだけ影響力が大きいということでしょうか。これほどまでに影響力が大きい楽曲は Imagine 以外に私は知りません。あのイントロを聞いただけで、平和について考えてしまいそうです。
ピアノを弾きながら Imagine を歌うジョンレノン。何度も見たこの姿は、ピアニスト・ジョンを鮮明にイメージさせませんか?ビートルズ時代のギターマン・ジョンもいいけど、ピアニスト・ジョンもまた、いとおかしです。
ライブなんかではギターで演奏することもあったようですが、やっぱりImagine はピアノですね。正式リリース版もいいんですが、個人的には、ジョンレノン・アンソロジーに収録されているImagine(Take1)も秀逸なできだと思っています。ぜひ、一度聞いてみてください。そして平和について考えてみてください。
ということで、以上、【名演】ジョンレノンがピアノを弾いているビートルズの名曲 7選でした。一部、ジョンの演奏かどうか確証が持てない作品も勢い余って紹介していますが、お許しください。ご愛嬌ということで。おしまい!
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もう少しビートルズを詳しく知りたい方は、歴史を押さえておきましょう。10分で分かるバージョンを用意しております。そして、忘れちゃいけない名曲ぞろいのシングルの歴史もあります。
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