リバプールに住みたい!ごきげんいかがでしょうか。
今回は、ビートルズのラブソングをご紹介します。ビートルズの曲もポピュラー音楽の宿命なのか、男女の惚れたはれたをテーマにしている曲が多くあります。初期のころなんて特にそうです。
- I Want to Hold Your Hand
- And I Love Her
- Yesterday
- No Reply
などなど、さがせばザクザクでてきます。そんな彼らですが、アルバム『ラバーソウル』の時期、いわゆる中期にさしかかると、ラブソングをあまり歌わなくなります。特にジョンレノンです。今回は、そのジョンレノンが少ないながらも中期に歌ったラブソングをご紹介します。
ビートルズ中期のジョンレノンのラブソングは『ラバーソウル』にしか収録されていない!?
中期のジョンレノンのラブソングを探してみました。範囲はアルバム『ラバーソウル』から『マジカルミステリーツアー』までです。意外とすぐに見つかりました。でも少ない…。
- Day Tripper
- Norwegian Wood(ノルウェイの森)
- Girl
- In My Life
ざっと確認したところ、このくらいかなと思います。お気づきでしょうか、すべて『ラバーソウル』からの曲です。『リボルバー』、『サージェントペッパーズロンリーハーツクラブバンド』、『マジカルミステリーツアー』まで、ジョンによるラブソングがないんです。
Day Tripperも『ラバーソウル』セッションのときに制作されたよ。
それでは1曲ずつ簡単に紹介していきます。
Day Tripper 単発Loveな内容 ギリギリラブソング?
歌詞をみるとそれはもう一夜限りのラブソングです。かつてのように「愛してほしい」だとか「手を握りたい!」だとかピュアな感じはありません。大人の恋です。
このDay Tripperがリリースされた1965年12月ころになると普通のラブソングを歌うことに飽きていたのだと思います。
娼婦を歌った曲とも解釈されることもありますが、それでも何となく、女性に未練を抱いている点にラブソングな感じがでています。ギリギリですが。
Norwegian Wood(ノルウェイの森) 洗練された大人のラブソング
美しいメロディと歌詞を合わせ持つジョンレノンの名作です。男女のたわいもない会話に心の機微がうかがえる実に洗練されたラブソングだと思います。
初期のころのラブソングのようにストレートに愛を叫ぶものではなく、このNorwegian Woodは男女の関係をしっとりと詩的に表現しています。恋人同士のラブソングというよりは、Day Tripperと同じく、単発Loveな関係を歌ったものです。
ジョンレノンは当時既婚者です。シンシアという妻がいました。もしかしたら、このころのジョンのラブソングは彼の心の裡を歌っているのかもしれませんね。歌詞がとっても素晴らしい曲です。
Girl 恋人への恨み節がにじみ出ているラブソング
ようやく単発Loveものじゃないラブソングです。でも、ハッピーなラブソングではありません。どちらかというと元恋人への恨み節がにじみ出ています。なんか苦労してます。
Was she told when she was young that pain would lead to pleasure Did she understand it when they said that a man must break his back to earn his day of leisure? Will she still believe it when he's dead
この部分の歌詞、私の英語力のなさをあいまって、非常に訳しにくく意味がとりづらいのですが、強引に解釈します。
彼女は”苦労の果てに喜びがある”と誰かから教わっています。だから男は喜びを得るために苦労をしなければならないと思っているのですが、でも喜びを享受する前に苦労しすぎて死んだらどうするんだ!…ということなのでしょうか?
"苦労の果てに喜びがある"という教えへの皮肉なのかな。難しいです。とにもかくにも女性の扱いに苦労をしているジョンレノンの姿がそこに見えます。
In My Life ノスタルジックなラブソング
名曲In My Lifeです。作者についてジョンとポールで意見が分かれていますが、歌っているのがジョンであることを考えるとジョンの曲なのかなと思います。また2018年に、ハーバード大学の統計学の准教授とダルハウジー大学の数学教授の共同研究によって、「In My Lifeはジョンの作品!」と結論づけられたようです。
In My Lifeも通常のラブソングとは少し違います。歌詞の前半はリバプールノスタルジーを描き、後半からラブソングになります。「思い出も大切だけど、君が一番だよ」と歌います。全編好きだ!愛している!という歌詞よりも心に響きませんか?やはり歌詞は初期のころよりも洗練されています。
間奏のピアノが秀逸な曲だよ。
中期のジョンレノンのラブソングは少ないけれども洗練されている
中期のジョンレノンのラブソングをあらため聞いてみると、歌詞がとてもいいことを再確認できました。かつてのようにストレートな思いをぶつけるタイプの歌詞ではなく、どちらかというと落ち着いた詩的なものになっています。
対象となる女性像も変化しています。初期のころは、いわゆる一般的な女性が対象でした。中期になると、少し大人な女性が対象になります。具体な対象がいたのかどうかわかりませんが、初期よりも具体的な女性がイメージされているように思います。そして後期になると対象はオノヨーコに限定されるようになります。
アルバム『ラバーソウル』からのビートルズは、レコーディング技術を駆使してサウンド面で飛躍的に成長するのですが、歌詞の面でも大きな変化がでてきています。それが顕著にでているのが今回ご紹介したジョンのラブソングでした。
それにしても『リボルバー』から『マジカルミステリーツアー』までの期間、ラブソングを作っていないというのもすごいですね。いったい何をテーマにしてたのだろう?
抜け漏れあるかもしれません。
中期のジョンのラブソングを見つけたらご一報ください。
今回、ご紹介した曲が収録されているのは『ラバーソウル』です。※Day Tripperは未収録です。
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