映画『ボヘミアンラプソディ』見ましたか?せつなくて、おもしろかったですね。そんなあなたは今、ビートルズ関連の映画を探してるんじゃないですか?いいのありますよ。
映画『アクロスザユニバース』です。
- アカデミー賞の衣装デザイン賞
- ゴールデングローブ賞の作品賞
- グラミー賞のサウンドトラック賞
といった賞にノミネートされていたので、すでにご存知かもしれませんが、この記事ではビートルズファンなら見ておくべき映画、『アクロスザユニバース』(2007年制作)の魅力をご紹介します。
ビートルズの曲が33曲も使われている映画『アクロスザユニバース』
ビートルズの曲がふんだんに使われているミュージカル映画です。ベトナム戦争中のアメリカを舞台にした恋愛映画で、ビートルズの名曲とともに物語は進みます。
リバプール出身の青年ジュードがアメリカにわたり、 そこで友人となった大学生マックスの妹ルーシーと恋に落ちます。 ジュードはアメリカで気の合う友人たちと共同生活を始めるのですが、 マックスの徴兵・ベトナム行きを機にルーシーは反戦デモに傾倒していき、 そこから二人の関係もギクシャクするようになり・・・
という直球ストレートど真ん中の青春ラブストーリーなのですが、この映画はただ薄っぺらいラブストーリーに終わりません。ベトナム戦争、反戦デモ、学生運動、ヒッピームーブメントなどがすぐ近くにあった、1960年代の若者の苦悩が秀逸に描かれています。
しかもビートルズの曲にのせて。
YESとNOだけで世界はできていない
徴兵されベトナム戦争に行くマックス、兄の徴兵を機に反戦デモに傾倒する妹ルーシー。その時、主人公のジュードは何をしていたかというと、絵を描いています。「戦争に行く若者」でもなく「戦争に反対する若者」でもありません。ジュードはその「どちらでもない若者」として描かれています。やがてジュードは戦争・反戦についての立場を問われます。その場面で歌われるストロベリーフィールズフォーエバーが非常に印象的です。
I think, er, no, I mean, er, yes But it's all wrong That is I think I disagree
戦争・反戦への立場について、どっちもでもない!と言っているのです。ジュードの立場は、どっちらでもないのです。無関心なようにも思えますが、ジュードにはやることがあった。それが絵を描くことだったのです。
このあたり、信じられていた「古い価値観」が崩れ始めた1960年代の雰囲気と共に若者像を見事に描いていると思いませんか?私のストロベリーフィールズフォーエバーの解釈とは雲泥の差です。
ビートルズは、新しい価値観を世界中に示す存在だった
映画『アクロスザユニバース』はジュードの歌うAll You Need is Loveで幕を閉じます。古い価値観が崩れつつあった時代の中で、"LOVE"こそが新しい価値なんだと表明しているように感じます。1960年代、ビートルズが圧倒的な人気を得たのは、一貫して”LOVE"という新しい価値を提示したからで、解散後なお人気が衰えない理由も、今なお世界中の人々が”LOVE"を求めているからではないかと、柄にもなくまじめにそう思ってしまいます。
とにもかくにも…この映画『アクロスザユニバース』は、ビートルズをひも解くヒントを与えてくれる映画です。おすすめです。ぜひ!
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