1960年代、我らがビートルズ(The Beatles)とライバル関係にあったと言われているローリングストーンズ(The Rolling Stones)。お互いのシングル曲やアルバムのリリース時期がかぶらないように話し合いがもたれていたという噂があるほどです。
実際のところ両バンドの関係はどうだったのでしょうか。
結論から言うと、関係はいたって良好でした。メディアで報じられているほど、バチバチの関係ではなかったんですね。まあ、当然と言えば当然でしょうか。
そもそもストーンズのデビューははジョージハリスンの口利きが切っ掛けであったり、初のトップテンシングルはレノンマッカートニー作なわけですから。関係が悪いわけがないんですね。悪いどころか、お互いの楽曲に参加しあっている仲だったわけです。
ということで、今回はローリングストーンズのメンバーが参加しているビートルズの楽曲を5曲ほど紹介いたします。それではさっそく!
YouTube もやっていますので、こちらもぜひ観ていってください!
一流の判断が下された A Day In The Life
1曲目は、ポピュラー音楽のあり方を変えてしまったアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のフィナーレを飾る曲、A Day In The Life です。ジョンレノンとポールマッカートニーの共同作品であるこの曲は、ビートルズの最高傑作だと私は思っています。
ビートルズを聞きはじめて間もないころは、オーケストラの存在に疑問を持っていました。「これ、いる?」なんて思ってました。ナマイキですよね。でも、今となってはあのオーケストラあってのこの曲だと思っています。私も成長したもんです。
ストーンズのメンバーが参加しているのは、このオーケストラのレコーディングです。ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ブライアン・ジョーンズが参加しています(豪華!!)。この場面、ばっちり映像に残っていて、今でも A Day In The Life のミュージックビデオで見ることができます。当たり前ですが、みんな若い!
この日のオーケストラは、ポールの指揮のもとレコーディングされたようですが、このメンツがオーケストラに参加しているわけではありません。じゃあ、何に参加しているのかと言うと、それはハミングです。
A Day In The Life の印象的なエンディングは、当初この豪華メンバーによるハミングが予定されていたそうです。それが何かしらの理由で現在のピアノに変更。残念ながらハミングはボツに扱いとなったそうです。何といいましょうか、スゴイ判断です。
なにがスゴイって、ストーンズの面々が参加したことって絶好のプロモーションの材料じゃないですか。それをいとも簡単にバッサリいっちゃっています。凡なる私なんてモッタイナイとしか思えません。やっぱり一流は違いますね。ということで A Day In The Life でした。
イギリス・オールスターズによる All You Need Is Love
2曲目はジョンレノンの作品から。1967年リリースの All You Need Is Love です。世界で初めて衛星通信を使った24ヵ国同時放送番組に、ビートルズはイギリス代表として出演。その時に演奏したのがこの曲です。放送と同時にレコーディングもされていたようで、ここにミック・ジャガーとキース・リチャーズも参加しています。
他にも参加したのは、まあ豪華なメンバーで、ストーンズの2人の他、エリック・クラプトンやキース・ムーンなんかも参加しているようです。このイギリス・オールスターズは、エンディングのバッキング・コーラスを担当。これにて超豪華シングルが完成しております。
All You Need Is Love の直後にリリースされたストーンズのシングルが We Love You です。このシングルのコーラスにジョンとポールが参加したという「噂」があるのですが、これはミックとキースが All You Need Is Love のレコーディングに参加したことへのお礼だと言われています。
レノンとマッカートニーによるストーンズの楽曲へのはあくまで「噂」。と言うのも、ストーンズ楽曲への参加は、ビートルズ所属のEMIとの契約違反となるため、公にはできない事情があったようです。なので、二人の参加はあくまで「噂」として流れたようです。やはりマーケティングはストーンズのほうが一枚上手のようですね。ということで All You Need Is Love でした。
いちおう共作? Yellow Submarine
続いてはキッズ向けビートルズ楽曲、Yellow Submarine です。名作アルバム『Revolver』に収録されている名作で、作者問題を含めていろんな意味で疑惑があると私が勝手に思っている作品です。作者は、いちおう共作としておきます(詳しくはこちらを見てください)。
この曲に参加しているストーンズのメンバーは、ブライアン・ジョーンズです。1966年当時のジョージハリスンの妻、パティ・ボイドらとエンディングのコーラスを歌っています。さくっと行きます。続いては…
謎の名曲 You Know My Name (Look Up The Number)
次は、ビートルズの楽曲の中でも群を抜く謎の曲、You Know My Name です。いちおう、ジョンレノン作だと言われているのですが、ジョンが作ってきたのは You know my name look up the number の部分だけだったそうです。それでもビートルズが集まれば、ご機嫌なナンバーになるんだからスゴイ!
この曲に参加しているストーンズのメンバーは、ブライアン・ジョーンズです。サクソフォーンを担当しています。いろんな楽器が演奏できるという彼の卓越した能力がビートルズの楽曲でも発揮されていますね。
ブライアンが参加してのレコーディングは1967年にされていますが、完成品としてリリースされたのは1970年、Let It Be のB面としてです。ブライアンは1969年に没していますので、リリースされたころにはもうこの世にいなかったということになります。27クラブとよく言われますが、偶然にせよ、こうした傾向があるのは、悲しいですね。ということで、ブライアン・ジョーンズ関連の楽曲でした。
スーパーバンドが演奏する Yer Blues
最後は、ジョンレノンの名作 Yer Blues です。『ホワイトアルバム』収録のこの曲は、レコーディングの現場にストーンズのメンバーが参加しているというわけではありませんが、興味深いので取り上げたいと思います。
この曲 Yer Blues は、1968年にローリングストーンズにより制作された映像作品『ロックンロールサーカス』にて演奏されています。演奏したのはビートルズではなく、ゲストとして招かれたジョンレノンが結成した一回限りのスーパーバンド「ザ・ダーティー・マック」によって演奏されています。この「ザ・ダーティー・マック」のメンバーがスゴイ!
- ジョンレノン/ボーカル&リズムギター(ビートルズ)
- エリッククラプトン/リードギター(クリーム)
- ミッチ・ミッチェル /ドラム(ジミヘンドリックス・エクスペリエンス)
- キース・リチャーズ /ベース (ローリングストーンズ)
なんとも豪華なメンバーですね。このメンバーで Yer Blues です。たまりませんね。注目点はベースをキースが演奏しているところでしょうか。
当初のベース担当は、同じくストーンズのビルワイマンが予定されていたそうですが、なんとキースが横取りしたようです!キースはベーシストではないのですが、このバンドの豪華顔ぶれをみて、ベースでもいいから参加したい!となったのかな。さすがキースです。気持ちは十分にわかります。そしてビルワイマンの気持ちも痛いほど分かります。
ちなみにこの「ザ・ダーティー・マック」というバンド名は、アルバム『噂』で有名なバンドのフリートウッド・マックをもじったものだとか、ポールを揶揄したものだとも言われています。
そんなスパーバンドの演奏が披露されている『ロックンロールサーカス』ですが、公開までに約30年の時を必要としました。さまざまな要因で封印されていたらしいのですが、それにしても30年です。何があったのでしょうかね。ということで Yer Blues でした。
なぜライバルと言われていたのか問題
ローリングストーンズのメンバーが参加したビートルズの楽曲を5曲ほど紹介してきました。どの曲も実に興味深い楽曲ですね。良い曲ばかりです。
さて、ここでちょっとした疑問があります。1960年代、記憶の面でも記録の面でも無敵だったビートルズにとって、ローリングストーンズは本当にライバルだったのでしょうか。各種数字面での記録をみるとビートルズに軍配があがりそうです。たぶん人気の面でもビートルズだったでしょう。それではなぜライバルと言われていたのでしょうか…?
ここからは想像なのですが、ローリングストーンズがライバルと言われたのは、無敵のビートルズに歯止めをかけられる唯一の存在だったからじゃないかなと思います。1964年のイギリスアルバムチャートを見てみると、なんとビートルズとストーンズしか1位を獲っていないんですね。
まさしく、ビートルズとローリングストーンズの2つのバンドで独占状態。
ビートルズと人気を二分しているバンドというイメージはこのあたりで出来上がったのかもしれませんね。それにしてもこの時期のビートルズの記録はすごい!!
以上、「ライバル!?ローリングストーンズが参加しているビートルズの5曲」でした。おしまい。
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もう少しビートルズを詳しく知りたい方は、歴史を押さえておきましょう。10分で分かるバージョンを用意しております。そして、忘れちゃいけない名曲ぞろいのシングルの歴史もあります。
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