ジョンレノンが大絶賛!?ポールマッカートニー ビートルズ時代の名曲8選

ビートルズの曲

世界で一番ビートルズに厳しい男、ジョンレノン。その歯に衣着せぬ物言いで、自分で作った楽曲を含めたビートルズ作品を激辛評価してきました。その辛さ、キャロライナ・リーパーです。ジョンが厳しい評価を下したビートルズ作品は、探せばいとも簡単に見つかります。

辛口なのはわかった。じゃあ、褒めている曲はないの?

少なからず存在します。今回は、ハバネロ・ジョンが絶賛した曲を紹介いたします。実際のところ、まあまああるので、特に厳しい目を向けていたであろう相方ポールマッカートニーの作品に絞ろうと思います。8曲あります。できるだけジョンが残したコメントを紹介しつつ進めていきますので、気楽に見ていってください。それではさっそく!

YouTubeもやっています。こちらものぞいてみてください!

ジョンレノンも大絶賛!さすがポールマッカートニー 編

まずは、辛口ジョンレノンが素直に絶賛している曲を紹介しいたします。バラード系の楽曲が多い印象です。どーんと3曲あります。

残念なことにポールの曲なんだ All My Loving

1曲目は『With The Beatles』収録のAll My Loving です。ビートルズ初期のころ、リーダーのジョンレノンの影に隠れていたポールマッカートニー。そんなポールが突如として世界に送り込んだ大名曲です。アメリカでビートルズブームを引き起こすきっかけとなったテレビ番組『エド・サリバンショウ』でも演奏されていますね。この曲についてジョンは、嫉妬を交えこう語っています。

‘All My Loving’ is Paul, I regret to say. Ha-ha-ha. Because it’s a damn good piece of work. [Singing] ‘All my loving…’ But I play a pretty mean guitar in back.
(悔しいけど All My Loving はポールの作品だ(笑)。めちゃくちゃ良い作品だからね。だけど僕もバックで意地悪くギターを弾いている。)

と、このように大絶賛しています。この発言は1980年の『プレイボーイ』誌のもの。ジョンもアラフォーになって丸くなったのかというとそうではありません。同じくこのインタビューでは、嫌いな曲をゴミと切り捨てています。なので、ここでのAll My Loving の評価は本物。

悔しさのあまり、I play a pretty mean guitar in back(バックで意地悪ギターを弾いている)と言っているのもオモシロいですよね。これは有名な三連符で刻まれているギターのこと。曲の間奏以外のすべてでジョンの演奏しているギターが鳴り響いています。この演奏でポールの大名曲に一矢報いようとしたわけです。

一方、ポールの自己評価は、It was a good show song. It worked well live.(いい曲だね。ライブで映えるんだ。)と、こんな感じです。思いのほか、控えめ。そのほか、この曲については「メロディよりも歌詞を先に作った」ということを強調している発言が多くあります。

ちなみにこの曲で聞けるハモリはポールによるものです。ダブルトラック処理により自分の声に自分の声を重ねています。ジョンによるハモリじゃないんですねー。ライブでの演奏時もハモリはジョンじゃなくジョージハリスン。3連符のギター演奏が難しすぎて、ハモっているどころじゃない説があるのですが、本当でしょうか。ということで All My Loving でした。

満場一致で高評価 Here, There and Everywhere

2曲目は奇跡のアルバム『Revolver』から。『Revolver』収録の曲の中では比較的おとなしい感じのする Here, There and Everywhere です。当時ライバル関係にあったビーチボーイズの God Only Knows からインスピレーションを得て作られた作品とのこと。

この曲、シングル化もされていなければベストアルバムにも収録されていない作品なのですが、激しく評価の高い作品です。各音楽雑誌からの評価もさることながら、ビートルズの身内からの評価も高い。例えば、プロデューサーのジョージマーティンもこの曲が大好きです。作者のポールも自信作であったようで、この曲を「最高傑作のひとつ」としています。さて、ジョンレノンです。

Paul’s song completely, I believe. And one of my favorite songs of The Beatles.
(完全にポールの作品。ビートルズの曲の中でもお気に入りの1曲。)

他の評価とたがわず、ジョンも1980年のインタビューでこのように称賛しています。ポールは2018年に『60ミニッツ』というアメリカのテレビ番組で「(ジョンに)一度だけ褒められた」エピソードを披露しているのですが、その褒められたのが、この曲 Here, There and Everywhere を作った時だったそうです。

「これは本当に素晴らしい曲だよ、僕は大好きな曲だね。」

ポールはそうジョンに伝えられたとしています。なんと言いましょうか、ファンとしては嬉しくて萌えあがる瞬間ですね。それにしても、ビートルズのキャリアを通してジョンに褒められたのはこの1回だけなんですね。さすが「ししとう」でたまにあるやつジョンです。辛口です。ちなみに「当たりのししとう」のあの辛味はストレスが原因だとか。

アルバム『Revolver』のころになると、ポールの存在感がメキメキ増してきます。そんなジョンとポールのパワーバランスが徐々に変化する中で作られた大名曲、 Here, There and Everywhereでした。

Yesterday 並みの名曲じゃないでしょうか For No One

続く3曲目もアルバム『Revolver』からです。この曲もHere, There and Everywhereに劣らず名曲です。どちらか選べと言われれば、私は For No One のほうを選びますかねー。どっちも好きですが。

恋人との別れをテーマにしたこの楽曲、想定しているのは当時の恋人ジェーン・アッシャーでしょうか。前作のアルバム『Rubber Soul』あたりからポールの書く恋愛の歌は、ほぼジェーンとのもので、ほぼ上手くいかない嘆きを題材にしています。そんな苦めのラブバラードをジョンはどのように評価しているのか、気になるところです。

One of my favorites of his – a nice piece of work.
(彼の書いた曲の中で一番好きなもののひとつ)

見事に褒めていますね。やはり名曲の前ではジョンの辛口も甘口に変化せざるを得ないわけです。ちなみにこの曲のレコーディングにジョンとジョージは参加していないようです。ということで、For No One でした。この曲もシングル化もされていなければベストアルバムにも収録されていません。こんなにも名曲なのに…。ミステリーです。

ジョンレノンが歌いたがったほどの名作編

素直に称賛編の次は、「俺に歌わせたほうがもっといい曲になるぜ」という変化球的な褒め方をしている作品です。2曲あります。確かにジョンが歌ったほうが似合ってるかも…。

インドでワイルドな作品 Why Don't We Do It in the Road?

まずは二枚組の超大作アルバム『The Beatles』収録の作品です。1分42秒ほどの短い曲で、歌詞もシンプル、9割 Why Don't We Do It in the Road? で構成されています。瞑想のために訪れたインドで見た猿をモチーフにしているとのこと。つまりポールによるインド関連楽曲ですね。この曲についてジョンはこう述べています。

Paul. One of his best.(ポールの良い作品だ)

ぶっきらぼうだけれども、評価しておりますね。また別のインタビューでは、「俺が歌ってればもっといい曲になっていたはずだ」とも発言しております。短くシンプルな歌詞のこの曲のどのあたりがジョンの琴線に触れたのでしょうか。きっと、曲の持つワイルドな感じがジョンのハートを射たのでしょう。

このように曲自体を称賛している一方で、ポールによるレコーディングの仕方にはちょっと気分を害していた模様。ベースはもちろんのこと、ギターからピアノからハンドクラップまですべて独りで録音してしまったポールに対して「ポールめ、こそこそと気分が悪い」と怒っていたようです。ジョンにしてみれば Why Don't We Do It in the Road?(どうして堂々とやらないんだ?)状態だったわけです。

アルバム『The Beatles』のレコーディングがギスギスしていると言われるのはこういうところにあるんでしょうね。と言うことでWhy Don't We Do It in the Road? でした。

ジョンが歌ったバージョンも存在!? Oh! Darling

続いては涙のラストアルバム『Abbey Road』収録の曲です。ビートルズの時代から10年ほどさかのぼった1950年代を感じさせるナイスな楽曲です。注目点はポールのボーカル。ちょっとハスキーな感じの実にワイルドな声です。

ポールはこの声を出すために、メンバーの誰よりも早くスタジオに来て歌っていたのだとか。一番いい状態の声で録音したいとの思いから、ボーカルの録音は朝の一番搾りのみ。1日1回だけの録音というこだわりよう。さらにハンドマイクを使ったりスタンドマイクを使ったりと、歌い方も様々に試しており、苦心の末に生み出された楽曲です。そんなポールの渾身の楽曲に対してジョンは…、

'Oh ! Darling’ was a great one of Paul’s but he didn’t sing too well. I always thought that I could’ve done it better– it was more my style than his. He wrote it, so what the hell, he’s going to sing it. If he’d had any sense he should have let me sing it.(laughs)
( Oh ! Darling はポールの凄い曲だ。でも上手く歌えていなかったな。どちらかと言うと、俺のスタイルに近い曲だから、俺が歌ったほうが良かったんじゃないか。でも彼が書いたしね。彼が歌うことになった。仕方がないことだけど。もし彼にセンスがあったら、俺に歌わせたね(笑))

称賛している一方で、冗談交じりではありますが、「上手く歌えていない」「自分に歌わせたほうが良かった」と言っています。ポールの頑張りを知ってか知らずか…、この発言、手厳しい。プロの世界は厳しいですねー。

ちなみに『The Beatles Anthology 3』にジョンとポールがツインボーカル気味に歌っているリハーサル音源が収録されています。たしかにこの音源のジョンの声はカッコイイ!後半、Oh! Darling ジョンのソロボーカルバージョンを聞くことができるのですが、そこでジョンは I'm free at last (ついに自由だ)と歌詞を変えて歌っています。これはオノヨーコと前夫との離婚が成立して喜んでいるところ。ということで、Oh! Darling でした。

ジョンレノン、ポールの歌詞をほめる編

俺に歌わせろ編の次は、歌詞をほめてる編です。稀代のメロディーメーカーのポールは、あまり歌詞で聞かせるイメージはないのですが、ジョンが歌詞をほめている曲もあります。ここでは3曲紹介します。

楽しげだけど危険! Got to Get You into My Life

アルバム『Revolver』収録のこの曲です。今回『Revolver』からの楽曲が多いですねー。この曲をいれて3曲もあります。『Revolver』にポールが提供した作品が6曲なので、実に半分もの曲がジョンに褒められています。それだけ名盤だということですね。

さて、Got to Get You into My Life です。アップテンポな曲調、ふんだんに加えられたブラス・セクションが印象的なこの楽曲、実は歌詞もかなーり印象的。怪しい葉っぱを題材にした曲です。歌詞の字面だけ見ても、なかなか分かりにくいものがありますが、後年、ポールが怪しい葉っぱ関連の曲だとネタばらししています。ジョンレノン、こういうの好きそうだけど、どうなんでしょうか。

Paul. I think that was one of his best songs, too, because the lyrics are good and I didn’t write them. You see? When I say that he could write lyrics if he took the effort– here’s an example.
(ポールの曲。これも彼のベストソングのひとつだね。歌詞が良い。俺が書いたんじゃないよ。わかるかい?彼だって頑張れば書けるんだ、例えばこんな感じにね。)

やっぱり歌詞をほめていますね。このころのジョンレノン、怪しい関連の曲が大好きです。自分でもこれ系の曲をたくさん作っています。いわゆるドラッグソングというやつですね。これも時代でしょうか。今は絶対NGですね。ということで、Got to Get You into My Life でした。

丘の上の天才 The Fool on the Hill

続いてはアルバム『Magical Mystery Tour』からです。これも名曲ですねー。一般には理解されない孤独な賢人を題材にした楽曲とのこと。オランダのデザイナー集団「ザ・フール」やビートルズの瞑想の師匠マハリシがモデルだと言われていますね。

この曲、実はジョンのお気に入り。『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に収録される With a Little Help from My Friends の制作途中で、ポールが未完成のこの曲 The Fool on the Hill をジョンに聞かせたところ、いたく気に入ったらしいのです。

歌詞は未完成だったのですが、光るものを感じたのか、ジョンはポールにメモに残しておくように言ったとか。それから時が経ち、完成した曲へのジョンの評価がこちら。

Now that’s Paul. Another good lyric. Shows he’s capable of writing complete songs.
(これはポールの作品だ。歌詞が良いね。彼は完璧な曲を作る能力を持ってるんだ。)

高く評価していますね。高いどころか、ポールに対しては、完璧な曲を作る能力があるとまで言っています。べた褒めの部類と言っていいでしょう。ジョンもポールの音楽的な才能を認めていたことが分かる発言ですね。ポールは天才です。ということで The Fool on the Hill でした。

ビートルズからの最後のメッセージ The End

最後は『Abbey Road』のフィナーレを飾るこの楽曲です。メンバーそれぞれのソロ演奏が聞ける唯一のビートルズ作品ですね。曲の長さは2分19秒ありますが、ソロ演奏があるため、歌詞自体は短いです。ジョンレノン、この歌詞をほめています。

He had a line in it,  'And in the end the love you take is equal to the love you make,’ which is a very cosmic, philosophical line… which again proves that if he wants to, he can think.
(歌詞に「結局、受け取る愛は与える愛の量と一緒なんだ」とある。ここは非常に宇宙的で哲学的だ。彼だってやろうと思えばできるんだ。)

最後の一言、ちょっと皮肉っぽいかなと思いますが、大枠では褒めていますね。結局、このThe End の歌詞がビートルズからの最後のメッセージとなり、壮大なビートルズの歴史は幕を閉じます。Her Majesty もありますが、あれはハプニング的なおまけだと捉えてください。最後までカッコいいですね、ビートルズ。そして最後の歌詞をジョンが褒めているっていうのもなんだかいいです。ということでThe End でした。

やっぱりジョンレノンはポールマッカートニーが好き

今回、紹介したジョンが褒めたポールの楽曲はこちらの8曲。

  • All My Loving
  • Here, There and Everywhere
  • For No One
  • Why Don't We Do It in the Road?
  • Oh! Darling
  • Got to Get You into My Life
  • The Fool on the Hill
  • The End

結構、たくさんありますね。探せばまだまだ出てきそうですが。これらの楽曲に対するジョンの発言を見ると、中には皮肉めいたものもありますが、やっぱりポールを認めていたんだということがわかります。

1970年にビートルズは解散して、その後しばらく二人は仲悪い時期がありましたが、それでもやっぱり何か特別な絆的なものがあったように思います。ぶりぶりに喧嘩していた時期にジョンは、とあるインタビューでこう言っています。

I’m the only person who is allowed to say nasty things about Paul. I don’t like it when other people do so.(ポールのことを悪く言っていいのは俺だけだ。他の奴が言うのは許せない。)

以上、「ジョンレノンが大絶賛したポールマッカートニー 珠玉の8曲」でした。おしまい。

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