ミュージシャンを描いた映画ってなんか陳腐な感じがしませんか?私だけですかね。半分以上プロモーションなんじゃないかという映画ばかりでストーリーは二の次。提灯映画が多い気がします。
そんな中でも『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』は自信をもっておすすめできる映画です。ビートルズ(The Beatles)を描いた映画というよりも正確には若かりし頃のジョンレノン(John Lennon)を描いた作品です。
2010年に公開されたときには、
- また、この手の映画か…
- ビートルズの名を汚さないでほしいんだけどな
- でも長年ファンやってるからなー
- しゃーない見に行くか
てなことを思っていたのですが、観賞し終えて劇場を出るときにはすっかりこの映画のファンになっていました。
ここでは『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』の魅力を紹介できればと思います。
この映画の「愛にあふれた切なさ」はいったい何なんでしょう。
ジョンレノンという看板がなくても十分に面白いストーリー
1950年年代のリバプールが舞台です。まだ音楽に目覚める前の青年ジョンレノンが主人公。ざっくりとしたストーリーはこうです。
厳格な伯母のもとで育てられた主人公は伯父の葬儀をきっかけに実の母と再会します。 そこで再会した母親は厳格な伯母とは対照的に自由奔放な人物で、 ロックンロールを聞いたり、歌ったり、踊ったり・・・。 主人公は母親と過ごすことをかけがえのない時間と感じるようになります。 一方で主人公は次第に孤独感を積もらせていきます。 「なぜ伯母に育てられているのか?」「母は自分を捨てたのか?」 詰め寄る主人公に伯母はついに真実を告げます。 その告白に傷つきながらも、やがて二人の"母"の愛に気づき、 新しいスタートを踏み出そうとしていた矢先に・・・。
私の拙い文章力ではどこまでストーリーの魅力が伝わったか分かりませんが、魅力的なストーリーだと思いませんか?
「ジョンレノンの生い立ちの物語」だと知らない人が観ても十分に楽しめます。むしろ知らないほうが、次の展開が分からない分、楽しめるかもしれません。
ビートルズの誕生が自然に無理なく描かれている
『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』はバンドの結成や成功していく過程に焦点を当てた映画ではありません。あくまで二人の"母"の愛に葛藤するジョンレノンの物語です。
なので、成功物語によくある「くさい演出」はありません。
主人公のジョンレノンが音楽にのめり込んでいく様もとても自然です。ポールマッカートニー(Paul McCartney)との出会いやジョージハリスン(George Harrison)との出会いも無理なく自然に描かれています。
ジョン、ポール、ジョージが別の名前で出てくれば、ビートルズの物語だと気づかないんじゃないかと思うくらい普遍的な感じに仕上がっています。
ビートルズという唯一無二の存在の物語を普遍的な物語にしているのはやはり監督の手腕でしょう。頼まれたから撮ったのではなく、撮りたいから撮ったという印象を私は受けました。
映画の中で使われている音楽もまたいい!
1950年代半ばが舞台なので、そのころの音楽がふんだんに使われています。ジョンをはじめ、ビートルズ全員が影響をうけたエルヴィス・プレスリーが歌うShake, Rattle & Rollやポールがバンドに加入するきっかけとなったTwenty Flight Rockなど。名曲がたくさん使われています。
特におすすめの曲は、In Spite Of All The Danger です。
作者はなんとMcCartney-Harrison!
主にポールが作った曲で、ジョージがギターソロの部分を作ったようです。それをジョンが歌っています。この映画のために作られたんじゃないかというくらい歌詞がシンクロしています。
多くのビートルズファンはこの『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』でIn Spite Of All The Dangerを再発見したんじゃないでしょうか。そういえば、ポールも最近のツアーでこの曲を披露してくれているので、ポールもこの映画で再発見した可能性はあります。
最後に、この映画の中でジョンがポールを殴るシーンがありますが、そんな事実はなかったそうです。「そんなことされたことない」とポールが怒ってました。
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