ビートルズの曲のイメージって、明るく楽しい!ポップで元気いっぱい!みたいなイメージがありませんか。現役で活動していた1960年では、大人が眉をひそめる存在だった彼らは、今やレジェンドとなっています。
パンクロックやハードなラップをやるミュージシャンに比べると、イメージは「安心と安全、信頼のビートルズ」ではないでしょうか。
ただ、そんな安心・安全なイメージはビートルズの一側面です。過去、キリスト教に喧嘩を売ったビートルズ。ダークでハードの部分も盛りだくさん。影響力の大きさを考えると、ある意味、世界で最も危ない奴らなのです。
今回はそんなビートルズがくらった放送禁曲を5曲ほど紹介いたします。ビートルズの危ない部分を知っていただければと思います。
Youtubeもやってますので、こちらも見てください。
怪しい薬を連想してしまう A Day in the Life
1曲目はアルバム『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』に収録されている作品です。この曲はビートルズの最高傑作とも評されている一方で、イギリスの国営放送局BBCから放送禁止処分を受けています。怪しいドラッグを連想させるというのが理由で、どこが連想させるのかというと、Turn You onとhad a smokeという歌詞の部分だそうです。
Turn on という言葉は、"覚醒させる"という意味で、1960年代当時、かなり挑発的なワードでした。当の作者、ジョンレノンとポールマッカートニーは、この言葉を意識的に使ったと述べており、言ってみれば、炎上覚悟で制作した楽曲です。
Turn onという言葉の伏線があり、おまけに、サウンドがもう幻覚そのものを表現しています。そこに had a smoke(一服した)とくれば、これはもうおのずと"怪しいドラッグ"です。ということでアウト!放送禁止の処分となっています。
ちょっぴりヤラシイ感じ Happiness Is A Warm Gun & I Am The Walrus
この2曲もBBCから放送禁止をくらってしまっています。理由は、歌詞に性的な表現があるからというものです。深読みしすぎじゃないかと思うのですが、当時のBBCがダメだと言うんだから仕方がありません。
問題だったのは、Happiness Is A Warm だと "When I hold you ~~ on your trigger" の箇所で、I Am The Walrus だと"You let your knickers down"の箇所だそうです。
両曲ともに、ヤラシイ感じがすると言えばしますが、さほどでもないという印象です。特にI Am The Walrusは、パンツをズラすと言ってるだけのような気がします。まあ、とにかくBBCの職員がヤラシイと判断したため、アウト!放送禁止となっています。
余談ですが、こういう系のビートルズの曲は他にもあって、有名なところだと、Penny Laneのfinger pies、Girlという曲にでてくるTitという表現です。ともにリバプールのスラングで、教育上けしからん意味となるようです。ちなみにGirlのTitはおっぱいの俗語。サビの部分の印象的なコーラスで使われています。ビートルズ流のイタズラですね。
炎上覚悟の The Ballad Of John And Yoko
基本的にはジョンレノンとオノヨーコとの結婚顛末を歌っているのですが、この曲もしっかりと放送禁止をくらっています。しかもイギリスのBBCにとどまらず、ワールドワイドに放送禁止をくらっています。
理由は歌詞。Christ, you know it ain’t easy~~の部分です。キリストという言葉を使っていることに加え、「はりつけにする/酷評する」という意味を持つcrucifyを使っているのが問題となったようです。これはさすがに危なっかしい感じです。
The Ballad Of John And Yokoがリリースされたのが1969年。歴史を振り返れば、ジョンが「ビートルズはキリストより人気がある」と発言して大炎上したのが1966年です。炎上から3年、さっそく危険な発言です。
もちろんイギリスのBBCでは放送禁止。アメリカでも多くのラジオ局が放送禁止にしています。南アフリカでは、The Ballad Of John And Yokoのみならず、ビートルズの曲が放送禁止となる怒りっぷりです。それにしても、一緒にレコーディングしたポールは何も言わなかったのだろうか…。
コカ・コーラがダメだった Come Together
ラストはアルバム『Abeey Road』収録のこの曲です。アルバムのオープニングを飾る曲ですが、この曲もBBCから放送禁止の憂き目にあっています。理由は歌詞にコカ・コーラが登場するからです。
イギリスの国営放送であるBBCにとって、商品名であるコカ・コーラは問題ありとの判断だったわけですね。これはまあ、仕方がないと言えば仕方がないかな。
作者のジョンレノンは、なぜこの曲にコカ・コーラという商品名を入れたのでしょうかね。もともとナンセンスな歌詞なので意味はないといえばそれまでなのですが、ひょっとすると何かの隠語かもしれません。一筋縄ではいかないジョンレノン、聞く者をハラハラさせてきます。
もともとカリフォルニア州知事に立候補予定だったティモシーリアリーの選挙キャンペーンソングとして作られたこの曲。その曲の冒頭の歌詞がShoot me(撃て!)ってすごくないですか。
放送禁止楽曲の作者はだいたいジョンレノン
- A Day in the Life
- Happiness Is A Warm Gun
- I Am The Walrus
- The Ballad Of John And Yoko
- Come Together
A Day in the Life はポールとの共作ですが、ほかの4曲は見事にジョンレノンですね。さすがジョンレノンです。危なっかしい曲を作らせたらすごい!
ここであげた5曲以外にも、放送禁止になってはいないけど、怪しい曲はまだまだたくさんあります。Doctor RobertやFixing a Hole、Lucy In The Sky With Diamondsも怪しいドラッグ系の曲ですね。もしかしたらYellow Submarineもここにカテゴライズされるかもしれません。
ビートルズって結構ギリギリを攻めています。
最後に、ビートルズの曲ではないけど放送禁止になったジョンの曲を紹介します。1970年にリリースされたMotherです。放送禁止の理由がこちら。
狂気を感じるから。
すごい理由ですね。確かに狂気は感じますが…。以上、「放送禁止になったビートルズの5曲」でした。おしまい。
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もう少しビートルズを詳しく知りたい方は、歴史を押さえておきましょう。10分で分かるバージョンを用意しております。そして、忘れちゃいけない名曲ぞろいのシングルの歴史もあります。
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