「ビートルズ(The Beatles)しか聞かないもんね」と、原理主義にはしる人もいますが、多くの人はビートルズ好きが高じると、ルーツを探ったりフォロワーを発見したりするようになります。
ルーツを探るというのは、ビートルズのメンバーが10代だったころの1950年代のロックンロールをさかのぼって聞くことです。エルヴィス・プレスリーやバディ・ホリー、チャックベリーなんかですね。フォロワーというのは、ビートルズから多大な影響を受けたミュージシャンのこと。オアシスなんかが分かりやすいですね。
かく言う私はどっちの道を歩んでいるかというと、ルーツを探るほうです。しっかりと学生時代にオアシスなんかも聞いていましたが、ハッと気づけばルーツを探訪しておりました。
理由は、なんだかいい雰囲気だからです。1950年代のロックンロールっていい感じで時代を感じれるんです。BGMにしておくだけでタイムスリップできます。
ということで、今回はビートルズのルーツを探るロックンロールなアルバムの紹介です。なんとも都合がいいことに、ジョンレノン(John Lennon)とポールマッカートニー(Paul McCartney)、本人たちが自身のルーツであるロックンロールをカバーしている作品がありますので、そちらをざくっと紹介いたします。
ジョンレノン 『Rock 'n' Roll(ロックンロール)』
Stand By Me
まずは、ジョンレノンの『Rock 'n' Roll(ロックンロール)』です。1975年にリリースしたジョンのソロ作品です。制作からリリースまで、すったもんだあった作品。
当初プロデューサーだったフィル・スペクターがマスターテープを持ち逃げした時にはどうなるものかと思ったものです。まだ生まれてませんでしたけど。
リリースしてくれて本当に良かった。
収録曲も渋いですね。一番の有名どころは、Stand By Meでしょうか。オリジナルのベン・E・キングのバージョンもしびれますが、ビートルズっ子の私はこっちのジョンの声のバージョンのほうが好きです。
まあ、好みは分かれますが、どちらも一聴の価値ありです。
You Can't Catch Me
それからチャックベリーのYou Can't Catch Meも収録されていますね。というか、この曲をレコードでリリースするために、『Rock 'n' Roll(ロックンロール)』は作られたのかもしれませんね。
チャックベリー側がCome Togetherがこの曲に似ていることから、盗作として訴訟しないかわりにジョンにカバーすることを求めたらしいです。うーん、そういえば似てるかも。
当のジョンはこの件について深く考えていないようで、「いいものはパクれ!」と言っていたとか。出典は思い出せません。違っていたらすみません。でも、このくらいのスタンスじゃないとロックンローラーじゃないですね。
ということで、Come TogetherとYou Can't Catch Meを聞き比べるのもいいかもしれません。他にもBe-Bop-A-Lula、Ain't That A Shame、Sweet Little Sixteenといったしびれる名曲をジョンレノンがカバーしてくれています。
ジョンレノン、おすすめのカバーアルバム『Rock 'n' Roll(ロックンロール)』でした。
ポールマッカートニー 『Run Devil Run(ラン デヴィル ラン)』
Run Devil Run
絶えることなく新作を世に送り出してきた天才ポールマッカートニーが、自身のルーツを振り返った作品。私は、この作品が圧倒的に好きです。
1950年代の雰囲気を残しつつも、現代風にアレンジされていると言いましょうか。時代も感じれるし、非常に聞きやすくもある。また、いわゆる王道的な曲もありますが、少しマニアックな曲も収録されている点がGoodですね。
そして、どさくさに紛れて新曲を3曲も放り込んでいるのがポールらしいです。新曲なんだけどどこか懐かしい。タイトル曲のRun Devil Runなんて'50年代のどこのミュージシャンが歌っているの?って調べようもんなら、ポールによる堂々たる新曲だったりします。
これがまた良いんです。
たぶん、ポールは活躍の時代が1950年代であっても名前を残しているでしょう。何をやっても一流なんです。凄い!ちなみに新曲はRun Devil Runの他、Try Not to Cry、What It Isです。
All Shook Up
アルバムの3曲目がこの曲、All Shook Upです。これはポール作曲の作品じゃなくカバー曲。オリジナルは、あのエルヴィス・プレスリーです。ビートルズのメンバー全員が憧れたロックンロールのキングです。
まあまあのアレンジがほどこされて収録されていますが、肝心かなめの50年代感は残っています。この辺の匙加減(さじかげん)の上手さはポールならではでしょうか。一段とハードなロックンロールに仕上がっています。
曲もさることながら注目はポールの声です。とても57歳(当時)の人の声じゃない。若さがあふれています。ポール自身、若いころに聞いて作品だから気合いが入っていたのかな。
ちなみにこのアルバムにはキング・エルヴィスの曲が3曲も収録されています。やはり彼のビートルズへの影響度はかなり大きいようです。
Lonesome Town
勉強不足で申し訳ございません。よく知らない曲なのですが、とてもいい曲なので紹介いたします。オリジナルは、リッキー・ネルソンという方で、1959年にリリースされている曲のようです。
これもポールのオリジナル?と思ってしまうほど、曲とポールの声がマッチしています。曲調は、ロックンロールというよりもスローバラードです。なんかムーディーで、1950年代の曲にありそうで、時代を感じられる名曲です。
一聴の価値あり、ぜひ聞いてみてください。
ビートルズのルーツの探り方はいろいろ
以上、ジョンとポールによるロックンロールカバーアルバムの紹介でした。ここで紹介した収録曲以外にも名曲がたくさん入っていますので、ぜひ聞いてみてください。
最後に、ビートルズのルーツ探訪のやり方はいろいろとあると思います。今回のようにビートルズのメンバー本人が歌うルーツなロックンロールを聞くのもありだと思います。『アンソロジー 1』でもちょっと聞けますし、『ザ・ビートルズ・ライヴ!! アット・ザ・BBC』ならしっかりと聞くことができます。
そしてもちろんオリジナルを聞くのもありです。おすすめはやっぱり、キング・エルヴィスとバディ・ホリー、チャックベリーといったところでしょうか。
ビートルズって結構マニアックなところをルーツにもっていたりするので、これはこれで十分に楽しめるようになっています。
以上、【ビートルズのルーツ】ジョンとポールのロックンロール・カバーアルバムでした。
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もう少しビートルズを詳しく知りたい方は、歴史を押さえておきましょう。10分で分かるバージョンを用意しております。そして、忘れちゃいけない名曲ぞろいのシングルの歴史もあります。
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