ビートルズを令和の今の時代に聞いても新しく感じるのは何故なのでしょうか。それは曲のはしばしにまで抜かりなく工夫を凝らしているからだと思います。今回は、ビートルズの曲のイントロ部分に焦点をあてて、ビートルズの工夫の数々を紹介したいと思います。そして
「すごいぞ!ビートルズ」を伝えたいと思います。
まずはビートルズの曲のイントロのパターンです。
- 印象的なフレーズのイントロパターン
- フェードインパターン
- カウントパターン
- サウンドエフェクトパターン
- フランス国歌パターン
- 番外編 イントロなしパターン
他にもあるかな。あると思いますが、今回はこれらパターンの曲をいくつか紹介します。ビートルズの"斬新さ"に少しでも触れていただければと思います。
ドラム、フィードバック奏法、ギター 一発フレーズパターン
最初にご紹介するのは、イントロがなんとも印象的な名曲たちです。イントロだけでビートルズの曲だとわかるものばかり。中でも以下の3曲がもっとも有名じゃないでしょうか。
A Hard Day's Night She Loves You I Feel Fine
A Hard Day's Nightはお馴染みの「じゃ~ん」です。イントロギター一発。これほど潔いイントロの曲はないんじゃないでしょうか。音の出し方については長年謎とされています。ビートルズ本人たちもどう出したの忘れてしまった様子。インパクト絶大なのに忘れちゃうとは…。
She Loves Youはリンゴスターのドラムがイントロ。疾走感あふれるこの曲にぴったりです。インパクト大ですよね。私の浅い音楽知識の中でお話しさせていただくと、ドラムオンリーのイントロの曲はShe Loves You以外聞いたことがないです。
I Feel Fineは有名なフォードバック奏法のイントロです。ギターノイズです。1960年代当時から、ジミヘンドリクスなど、様々なミュージシャンが取り入れてきた方法ですが、世界初はビートルズです。ジョンレノンがそう言ってましたので、間違いないです。
ボリュームが徐々に上がってくるフェードインパターン
フェードインパターンもビートルズならではのものだと思います。
Eight Days a Week I Want to Tell You Dig it
この3曲がフェードインパターンを採用しています。最も有名なのはEight Days a Weekですね。コーラスが美しいこの曲は実はイントロも斬新でした。アルバム『ビートルズフォーセール』に収録されています。ライブ再現不可能なイントロを初期のアルバムにぶっこんでくるあたりが、さすがビートルズだなと。
ワン、ツー、スリー、フォー!で始まるカウントパターン
カウントパターンはとことんカッコイイ!ビートルズのファーストアルバムの一曲目I Saw Her Standing Thereがこのパターンを採用しています。ポールによるこのカウントから世界は変わったと考えると、ゾクゾクしませんか?
I Saw Her Standing There Taxman Yer Blues
I Saw Her Standing Thereの他にもカウントで始まる曲はあります。どれもカッコイイですよね。私のお気に入りはYer Bluesです。ジョンのけだるい感じのカウントもまたGood。
劇場のざわめき、飛行機の音、鳥の羽ばたき サウンドエフェクトバージョン
これもビートルズならではのもの。1960年代当時にサウンドエフェクトを使ったイントロを考え出しているのです。斬新!
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band Back in the U.S.S.R Across the Universe
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandでは劇場のざわめき、Back in the U.S.S.Rは飛行機の音がそれぞれ用いられています。Across the Universeはアルバム『レットイットビー』のバージョンではなく、『パスとマスターズvol.2』に収録されているものに鳥のさえずりと羽ばたきが用いられています。通称バードバージョンです。
そういえば、Good Mornig Good Mornigにもニワトリの鳴き声が使われていますね。サウンドエフェクトかどうかわかりませんが、シングル盤のReal Loveに収録されているYellow Submarineにはリンゴスターの語りがイントロに使われています。
フランス国歌 ラ・マルセイエーズがイントロに使われている!
All You Need Is Loveだけなのでパターンとは言えませんが、インパクトは大きいので取り上げました。古今東西、ラ・マルセイエーズをイントロに使ったのはビートルズだけだと思います。国歌ですよ。しかも自国イギリスのではなく、フランスの。ジョージマーチン含め、ビートルズチームってなんてやんちゃなんでしょう。
All You Need Is Loveは、約3億人が見たと言われる通信衛星を使った世界同時放送『OUR WORLD』用に作られた曲。この番組でビートルズはイギリス代表として出演しています。そこでフランスの国歌ラ・マルセイエーズをイントロに使った曲を歌うのですから、ずぶといと言うかなんと言うか。
サッカーワールドカップなどでフランス代表の試合に流されるラ・マルセイエーズを聞くと、一瞬「あれ?ビートルズ?」と思うのは、私だけじゃないはずです。
番外編 イントロなしパターン
イントロではないですが、曲の始まりという意味では同じなので、イントロなしパターンも取り上げます。このイントロなし「いきなり歌から」パターンはビートルズが得意とするところ。
All My Loving No Reply Help We Can Work it Out Girl Hey Jude
などの曲がこのパターンを採用しています。こちらもインパクトが絶大です。このパターンはアップテンポのロックンロールに採用されているイメージがあったのですが、こう書き並べてみると、No Reply、Girl、Hey Judeといったミドルテンポの曲で使われていますね。意外です。
聞くと忘れられないインパクトのあるイントロで世界をつかむ
今回は、イントロのパターンあれこれをご紹介してきました。どれもこれもインパクトが大きいものばかりです。イントロ一つをとっても様々な工夫がなされており、聞けば一発で「あ、ビートルズだ!」と思わせるすごさを持っています。聞く者の心を一瞬でつかみ、そこから放さない凄みがあります。
制作の過程で、試行錯誤は数多くやったのでしょう。『アンソロジー1』に収録されているEight Days a Weekを聞くと、そのこだわりがよくわかります(こっちのバージョンも良い!)。すでに超有名であったにもかかわらず、世界中の人々に自分たちの歌を届けようとあちこちに仕掛けをほどこしているのです。頭があがりません。ビートルズは常に進化していたのだと思います。
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