【歌いたくなかった!?】ジョンレノンが好きになれなかったビートルズの6曲

ジョンレノン

世界中で高い評価をされている伝説のバンド、ザ・ビートルズ。彼らの人気は今なお健在で、彼らが作った楽曲は解散から50年を経た今でも聞き継がれています。

楽曲のクオリティは、今さら語るまでもなく、非常に高く、その点では辛口批判者を受け付けないほどですが、ひとりだけものすごく辛口な批判者がいます。

ジョンレノンです。

たぶん、世界一ビートルズに厳しいんじゃないでしょうか。自分で作った楽曲をも批判しています。今回はそんなジョンが嫌いだと公言したジョンレノン作のビートルズの作品を6曲ほど紹介します。気軽に見ていってください。それではさっそく。

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ちょっと厳しすぎやしないかい? It's Only Love

まずは5作目のアルバム『Help!』に収録されているこの作品。1965年の6月ごろレコーディングされた曲です。1964年から65年にかけての超多忙な時期に制作されている楽曲です。歌詞に時間をかける暇がなかったのか、それとも気合いを入れていなかったのか、ジョンはこの曲の歌詞をひどく嫌っています。

That’s the one song I really hate of mine. Terrible lyric.(1972年)
─ 本当に嫌いな曲。歌詞がひどすぎる。

解散後のインタビューでジョンはこのように言っています。そうとう嫌いだったのでしょう。その評価は生涯変わることはありませんでした。

'It’s Only Love’ is mine. I always thought it was a lousy song. The lyrics are abysmal. I always hated that song.(1980年)
─ 「It’s Only Love」は僕の作品だ。お粗末な曲だと思ってる。歌詞がひどい。この曲はずっと嫌いだ。

「ずっと嫌いだ」と言い切っているあたり、憎しみを感じます。とりわけ歌詞が嫌いだったようですね。ここまで嫌っていると歌詞に何が書いてあるのかが気になってきます。

でも、歌詞を見てみると、普通のラブソングなんですよね。私に歌詞を解釈する能力がないからそう感じるのもしれませんが、ちょっと甘めですが、いたってストレートなラブソングなんです。どのあたりがジョン的に気に食わなかったのか…。メロディも良いし、良い曲だと思うんですけどねー。

ここまで嫌う理由は、何なんでしょうね。アルバム『Help!』のころから、ボブディランの影響を受け、ぐいっと内省的な歌詞にシフトしていくジョン。It’s Only Loveのような、ある意味、普通の歌詞では満足できなかったのでしょうか…。ということで It’s Only Love でした。

途中で作るのをやめてしまった!? Run for Your Life

2曲目はアルバム『Rubber Soul』の最後に収録されている曲、Run for Your Life です。この曲もジョンは嫌っています。何だったら、キャリアを通じて一番嫌いぐらいの勢いです。確かに、ビートルズの中期の傑作『Rubber Soul』の締めくくりとしては、少々”弱い”感じはしますが、そこまで嫌われる曲ではない気もします。

I never liked ‘Run For Your Life’, because it was a song I just knocked off. It was inspired from – this is a very vague connection – from ‘Baby, Let’s Play House’.
─ “Run For Your Life”を好きだったことはないね、途中で作るのをやめてしまった曲だから。漠然とだけど、Baby Let's Play House からヒントを得ている。

ジョンはこう語っています。これだけだと、嫌っている理由はよくわからないのですが、とにかく作るのを途中でやめてしまった曲のようです。

ここで登場する Baby, Let’s Play House とはエルヴィス・プレスリーの楽曲のことです。「非常に漠然と(very vague connection)」と、ジョンは言っていますが、歌詞の一部をそのまま引用しています。

さて、ジョンはなぜこの曲を嫌っていたのでしょうか。これは想像でしかないのですが、「プレスリー楽曲から歌詞を引用した」という負い目があったからじゃないかと思うんです。

もしかすると、このプレスリーの部分は、後で変更するつもりだったのかもしれません。ただ、多忙なビートルズには時間がなかった。締め切りが迫る中、大人の事情で、プレスリー状態が修正されることなくリリースされてしまったわけです。

だからジョンはこの曲を「途中でやめてしまった」と言い、ことあるごとにけなしているのかもしれません。これは想像しすぎでしょうか。ということで、Run for Your Lifeでした。ちなみに、ジョンが大嫌いだと公言するこの曲。意外なことにジョージハリスンはお気に入りだったそうです。

嫌っている理由が分からない And Your Bird Can Sing

3曲目は奇跡の名作『Revolver』からです。実験的なこのアルバムの中にあって、一番わかりやすく名曲なんじゃないかと思うAnd Your Bird Can Sing ですが、ジョンレノンは好きじゃないそうです。そして嫌いな理由を明かしていません。

ジョンはこの曲について、「恐怖(a horror)」 だとか「使い捨て(throwaway)」だとか言っています。罵詈雑言のたぐいではありませんが、自分で作っておきながら「さほど興味なし」的な態度です。そのためか、この曲の謎めく歌詞についても何も語っていません。ジョンが語らないものだから、さまざな解釈が存在しているようです。

  • 妻シンシアとの結婚生活が窮屈だと歌った説
  • ミックジャガーの恋人について歌った説
  • いけないお薬の使用感説

などです。ジョンの真意は不明ですが、もっと不明なのはこの曲を嫌いな理由です。ポールマッカートニーとジョージハリスンのギターなんて最高じゃないですか。メロディも良いですし。おそらく作者の評価と世間の評価でいちばんギャップのある曲だと思います。

ちなみにこの曲、アウトテイクでかなりアレンジが違うバージョンを聞くことができます。その中のひとつにジョンとポールが爆笑しながら歌っているバージョンがあります。何に笑っていたのかは分からないのですが、これはこれで良い曲に仕上がっています。あんなに笑いながらレコーディングしているのに、この曲が嫌いだなんて…、にわかには信じられません。

インドで書いたガラクタシリーズ

1968年、超瞑想を学ぶためビートルズのメンバーはインドを訪問しました。そこでの生活は彼らにおおいにインスピレーションを与え、ビートルズはそこで数々の名曲を生み出しています。ただ一方で、ジョンが「ガラクタ」だと言っている曲も…。そんな曲をサクサクっと2曲紹介します。

Mean Mr. Mustard

まずは『Abbey Road』収録のこの曲。The Long One と呼ばれるかの有名なアビーロード後半のメドレーを構成する一曲です。メドレーとなっている以上、この一曲だけを取り上げて、うんぬんかんぬん言うのは間違っている気もしますが、作者のジョンはこのように言っています。

a bit of crap I wrote in India.
─ インドで書いたガラクタのひとつ

厳しい評価です。どのあたりがガラクタだったのかは推して知るしかないのですが、1曲として完成させることなくメドレーに使用している点を考えると、途中で制作をやめたのかなと思います。ちなみに、歌詞にでてくる「パン(His sister Pam)」という人物はもともと「シャーリー(Shirley)」という名前で作られていたそうです。変更理由は、次に紹介するの曲とのつながりを作るため。

Polythene Pam

次は、アビーロードメドレーでMean Mr. Mustardの次の曲 Polythene Pamです。この曲もまた、ジョンレノンに言わせると、

a bit of crap I wrote in India.
─ インドで書いたガラクタのひとつ

とのこと。Mean Mr. Mustard同様、厳しい評価を下しています。私の中ではメドレーの中の光る一曲としてお馴染みだったのですが、やはりジョンは評価していませんでした。ちなみに「ポリシーン(Polythene)」とはポリエチレンのことだそうです。だから訳すと「ポリエチレンのパンさん」となります。

このあたりどういう思いでジョンが曲を書いていたのか分かりませんが、いろんなところで曲のネタを探していたのは事実だそうです。

ジョンが嫌ったアビーロードメドレーのMean Mr. Mustard と Polythene Pam ですが、実のところポールとジョージは気に入っていたようです。Mean Mr. Mustard についてポールは、

’Mean Mr. Mustard’ was very John. I liked that. A nice quirky song.
─ まさにジョンといった曲だ。それが好きなんだ。良い感じに風変りだ。

と言い、 Polythene Pam についてジョージは、コミカルでシリアスなところがリバプールっぽくてお気に入りだったそうです。ということで「インドで作ったガラクタシリーズ」でした。

ツンデレ・ジョンを発動 I Wanna Be Your Man

最後に紹介するのは、嫌いなのか、そうでもないのか、判定が難しいけど興味深い発言をしている曲を紹介します。アルバム『With The Beatles』収録、リンゴスターが歌うI Wanna Be Your Man です。この曲はポールとの共作なのですが、取り上げます。

ローリングストーンズに提供したレノンマッカートニーソングとして有名なこの曲。ジョンはこの曲について次のように言っています。

It was a throwaway. The only two versions of the song were Ringo and the Rolling Stones. That shows how much importance we put on it: We weren't going to give them anything great, right?
─ 使い捨ての曲だね。リンゴとローリングストーンズが歌う2バージョンがあるけど、これでこの曲を俺たちがどう思っていたかが分かるだろ。良い曲をあげるわけないよね。

「使い捨ての曲」だと名言しています。そしてその説明として、リンゴとローリングストーンズの名前をあげています。リンゴとローリングストーンズにとっては、巻き込み事故としか言いようがないのですが、ジョンはたまにこういうことを言います。

「いい曲をあげるわけがない」と言っていますが、この点どうなんでしょうかね。ローリングストーンズのバージョンなんて、かなりワイルドな感じに仕上がっており、名曲度が増していると思います。他にもイギリスのバンドのザ・フォーモストに提供した I'm in Love なんかも非常に良い曲です。

いい曲をあげるわけがない。

この発言の真意や如何に!?リンゴとローリングストーンズのメンバーとの関係性を考慮すると、このジョンの発言は額面通りに受け取れない気がします。ツンデレ・ジョンを発動させている可能性は高いと思うのですが、いかがでしょうか。ということで I Wanna Be Your Man でした。

ジョンは嫌っていてもファンは好き!

今回紹介したジョンが嫌いな自分の作品はこの6曲!

  • It's Only Love
  • Run for Your Life
  • And Your Bird Can Sing
  • Mean Mr. Mustard
  • Polythene Pam
  • I Wanna Be Your Man

なかなかの名曲ぞろいだと思いませんか。作者の評価と世間の評価が大きく違っています。特に、And Your Bird Can Sing なんて好きな人たくさんいると思うんですけどねー。ジョンは嫌いなんですって。天才の気持ちは、わからないもんです。

以上、【歌いたくなかった!?】ジョンレノンが好きになれなかったビートルズの6曲でした。おしまい。

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