隠れた名曲を再発見!ビートルズのシングルB面徹底解説

ジョンレノン

ビートルズのシングルB面曲は、音楽的成長や創作の意欲が感じられる重要な楽曲ばかりです。曲によってはシングルのA面曲以上に重要作品であることも。A面のポップでキャッチーなサウンドに対して、B面には実験的な要素やメンバーの個性が強く表れていて、ビートルズの多面性を楽しめる作品が数多く存在しています。

例えば、「Rain」や「This Boy」などはA面と比べてシンプルな構成ながら、独自の雰囲気やサウンドが魅力的で、知る人ぞ知る隠れた名曲です。

ここでは、ビートルズのシングルB面曲に焦点を当て、A面にはない魅力や音楽的背景を掘り下げて紹介していきます。これにより、ビートルズの世界観がどのように構築され、どのように進化していったのかが見えてくるんじゃないかなと、期待して。

また、B面曲には、当時の時代背景やメンバーの心境が映し出されていることが多く、彼らがどのような価値観を持ち、音楽を通じて何を伝えようとしたのかを理解する手助けにもなるかもしれません。

B面曲を知ることで、私たちはビートルズの音楽の奥深さを感じることができ、もっと夢中になってしまうはずです。まずはこの曲から。

初期ビートルズ 1962年から1965年中頃

P.S. I Love You (Love Me Do のB面)

「P.S. I Love You」は1962年10月5日、ビートルズのデビューシングル「Love Me Do」のB面としてリリースされました。作曲はポールマッカートニーで、アレンジにジョンが加わっています(ジョンは覚えていないと発言していますが…)。リードボーカルはポールが担当。軽やかなリズムが印象的で、恋人への愛のメッセージを素直に綴った歌詞が魅力です。

この曲は、ビートルズ初期の作品として、シンプルながらも情熱的な表現が際立っています。ポールの柔らかくも力強いボーカルと、ジョンとジョージによるハーモニーが美しく重なり合い、温かみのあるサウンドに仕上がっています。

「P.S. I Love You」は、1960年代初頭のラブソングの典型ともいえるシンプルさと純粋さがあり、多くのファンの心を掴みました。その後、さまざまなアーティストによってカバーされ、時代を超えて愛され続けています。

Ask Me Why (Please Please Me のB面)

「Ask Me Why」は、1963年1月11日にイギリスで「Please Please Me」のB面としてリリースされました。この曲は主にジョン作。ポールも手伝っています。リードボーカルはジョンです。

コーラスワークが印象的な楽曲で、歌詞は恋人への愛情を語りかけるような内容で、甘い感じになっています。また、シンプルなメロディーラインがビートルズ初期のエネルギーを象徴しており、彼らの音楽が持つ普遍性を感じさせます。まあ、つまりいい曲です。

この曲はデビュー前からライブで披露されていました。ジョンのボーカルが独特で最高にエネルギッシュです。また、サウンドの面では、当時のアメリカンポップスに影響を受けつつも、ビートルズならではの柔軟なアプローチが見られ、シンプルな構成ながらも飽きのこない曲に仕上がっています。初期ビートルズを感じさせる一曲として、印象深い楽曲ですね。

Thank You Girl (From Me to You のB面)

「Thank You Girl」は、1963年4月11日に「From Me to You」のB面としてリリースされ、ファンへの感謝の気持ちを込めた歌詞が特徴的な楽曲です。この曲はジョンとポールの共作で、リードボーカルは主にジョン。部分的にポールも登場します。ジョンとポールのボーカルとエネルギッシュなサウンドが特徴で、若々しいビートルズのパワーが感じられます。ハーモニカの使用も印象的で、ポップで軽快なリズムと相まって、曲に独自の魅力を加えています。

ジョン曰く「シングルA面曲を書こうとして失敗した作品」とのこと。我々からすると、どのへんが失敗なのやら…という感じですが、そういう経緯でB面になったのだと思います。

歌詞にはシンプルな表現が多用されています。ファンへの感謝を伝える曲なので、それがかえって良かったのかもしれませんね。この曲は後にハーモニカのパートが追加され、シングルバージョンとは異なるバージョンがリリースされました。ビートルズが当時の音楽シーンにおいて、革新を求めると同時に、ファンとの絆を大切にする姿勢がよく現れた楽曲です。

I'll Get You (She Loves You のB面)

「I'll Get You」は、1963年8月23日に「She Loves You」のB面としてリリースされました。ジョンとポールの共作で、2人が互いにボーカルを担当しています。キャッチーなサウンドが印象的で、ビートルズ初期の勢いと情熱が感じられ、メロディアスなラインとリフレインが、聴く者を引き込む魅力を放っています。特に、サビの部分のジョンとポールのハモリが最高です。A面シングルになっていてもおかしくない作品だと思います。

「I'll Get You」は、ビートルズがコンサートで演奏することもあった曲です。この楽曲では、ジョンとポールがサウンドやリズムに変化をつける試みが見られ、個人的に「Yes, I will」のフレーズが印象的です。「Yeah Yeah」サウンド、手拍子、ジョンとポールのハモリなど、この時期のビートルズの特徴がてんこ盛りな作品です。

This Boy (I Want to Hold Your Hand のB面)

「This Boy」は、1963年11月29日にイギリスで「I Want to Hold Your Hand」のB面としてリリースされました。この曲は、ジョン、ポール、ジョージの3人が織りなす美しいハーモニーが特徴で、彼らの初期のコーラスワークが最もよく表現された一曲です。

作曲者は主にジョンレノン。リードボーカルもジョンが務めています。「This Boy」の複雑で美しいハーモニーは、多くのリスナーを魅了しました。ジョンとポール、そしてジョージがそれぞれの声域でハーモニーを重ねることで、ポップソングの枠に収まらない深みのあるサウンドとなっています。

サビ部分のジョンのボーカルは最高です。失恋の切なさと感傷をテーマにした歌詞が、メロディーと絶妙にマッチしており、心揺さぶられる楽曲です。リスナーに強い印象を残すと同時に、ビートルズがいかに幅広い音楽性を持っていたかを如実に表しています。

この巧みなボーカルアレンジは、当時の音楽シーンにも影響を与えたとされ、ビートルズのハーモニー構成が他のアーティストにとっても大きな刺激となりました。1960年代初期のポップロックシーンでは、こうした高度なコーラスワークは珍しかったため、「This Boy」は他のバンドにも影響を及ぼし、ビートルズの革新性を象徴する作品の一つと評価されています。

You Can't Do That (Can't Buy Me Love のB面)

「You Can't Do That」は、1964年3月20日に「Can't Buy Me Love」のB面としてリリースされました。ジョンが作曲しリードボーカルを担当し、彼の個人的な感情が投影された一曲です。この楽曲はジョンの激しい嫉妬や不安、束縛や独占欲をテーマにしており、当時のビートルズの楽曲としては異色のもの。恋愛におけるネガティブな感情がストレートに表現されていて、怖いジョンレノンが出現しています。

軽快なギターリフと独特のリズムが特徴的で、リンゴスターのボンゴがサウンドにリズムの変化を加え、スリリングな雰囲気を引き立てています。この曲のエネルギッシュなサウンドとジョンの鋭い歌声は、ビートルズの初期の勢いを象徴するものと言えるかもしれません。

ちなみに、この曲のギターソロはジョンが演奏しています。イントロを作ったのはジョージ。「何かしなければ!」という思いで作ったらしいです。

Things We Said Today (A Hard Day's Night のB面)

「Things We Said Today」は、1964年7月10日にリリースされた「A Hard Day's Night」のB面として登場しました。ポールが作曲し、リードボーカルも担当しています。ポールが当時の恋人であり、ビートルズの映画にも出演した女優ジェーン・アッシャーへの気持ちを表現した曲とされています。

軽快でいながらもややミステリアスなコード進行が特徴で、特に中間部の転調はリスナーの心を掴む力があります。ポールはその後もライブでこの曲を披露することがあり、長年にわたり彼の演奏レパートリーとしても愛されている楽曲です。

She's a Woman (I Feel Fine のB面)

「She's a Woman」は、1964年11月27日に「I Feel Fine」のB面としてリリースされました。この曲はポールが作曲し、リードボーカルも彼が担当しています。アップテンポでシャウトが際立つボーカルスタイルは、ポールが影響を受けたリトル・リチャードを彷彿とさせ、ポールならではのパワフルでエネルギッシュな表現がキラリと光る楽曲です。

この曲はビートルズがリズム&ブルースやロックンロールの影響を取り入れたもので、ビートルズの「ロックンロールの原点」とも言える作品。リズムギターとベースが生み出す力強いビートに、ジョンが演奏するリズムギターによりエネルギッシュなサウンドに仕上がっています。また、ポールの力強いボーカルはビートルズの他の楽曲に比べてひときわ激しい印象を与えます。

「She's a Woman」のシンプルなコード進行と印象的なリズムは、ビートルズのメンバーが愛したロックンロールに対するオマージュでもあります。ポールの曲作りの幅広さを示す一曲ですね。この曲は、例えばジェフ・ベックなど、のちにさまざまなミュージシャンにカバーされています。

Yes It Is

「Yes It Is」は、1965年4月9日に「Ticket to Ride」のB面としてリリースされました。ジョンが作曲し、ポールとジョージとの三重唱が聴きどころです。ジョンの感傷的なリードボーカルに加えて、ポールとジョージが美しいハーモニーを奏でることで、ビートルズのボーカルアレンジの高度さが際立っています。

「Yes It Is」は、ビートルズの初期から中期にかけての音楽的成長を示す楽曲のひとつです。この曲では、特にジョンが繊細な感情表現を追求しており、歌詞には失恋の悲しみと深い後悔を綴っています。冒頭から3人のハーモニーが重なり合い、やや物悲しい雰囲気を漂わせる音楽が、曲全体に独特の緊張感をもたらしていると思いませんか?

音楽的には、ジョージがフルで使用したボリュームペダルによって、ギターの音にやや夢幻的な効果が加えられ、全体の雰囲気を柔らかくしています。これにより、歌詞の内容に寄り添うようなサウンドが生まれ、聞く者にジョンの感情をより深く伝えています。

この楽曲はジョンが「This Boy」のハーモニーアレンジを踏襲しつつ、さらに複雑なものへと発展させたものであり、ビートルズのコーラスワークの成長を象徴する一曲でもあります。

I'm Down

「I'm Down」は、1965年7月23日に「Help!」のB面としてリリースされ、ポールが作曲し、リードボーカルも担当しています。ビートルズの楽曲の中でも特にロックンロールの影響が強く、ポールが敬愛するリトル・リチャードを彷彿とさせる激しいシャウトが特徴的です。ライブパフォーマンスでは観客を熱狂させました。

この曲は、1965年のシェイ・スタジアム公演での演奏が特に有名ですね。ジョンがピアノを叩きながら楽しそうに演奏している姿が印象的で、このエネルギッシュなシーンはファンの間で語り継がれています。ヒジでオルガンを演奏するジョンのパフォーマンスは宇宙一です!

ポールはシャウトボーカルで情熱的なパフォーマンスを披露しており、ロックンロール精神が感じられます。また、この曲は後にエアロスミスやビースティー・ボーイズなどがカバーしています。ビートルズが持つポップな一面とは異なる、ロックンロールへの情熱が詰まったこの楽曲は、ビートルズのライブの代表曲といっても過言ではありません。

中期ビートルズ(1965年末から1967年)

Rain

「Rain」は、ビートルズのシングル「Paperback Writer」のB面として1966年5月30日にイギリスでリリースされました。作曲はジョンによるもので、リードボーカルも彼が担当しています。この曲はビートルズが音楽的に大きな進化を遂げた時期を象徴する一曲で、特にサイケデリックな方向へと進化していく過渡期の曲です。

「Rain」の最大の聞きどころは、逆回転のテープ技法を用いたボーカルエフェクトにあります。ジョンは録音後にテープの逆回転を偶然聞いた際、そのサイケデリックな音響に魅了され、このエフェクトを曲に取り入れることを提案しました。曲のエンディングでの逆回転ボーカルは、新鮮で不思議な感覚を生み出し、1960年代後半のサイケデリックムーブメントの代表的な技法として、後の多くのアーティストたちに影響を与えることになりました。

ポールの印象的なベースラインも、「Rain」を聴く上での大きな魅力の一つです。ポールのベースは、ドライブ感抜群です。このベースラインは、ロックにおけるベースの役割を大きく変え、後のベーシストたちに多大な影響を与えました。「Rain」におけるポールのベースラインは、彼のベースプレイの幅広さと独創性を示す一例と言えるでしょう。

また、リンゴのドラムも非常に力強く、この曲での演奏を「自身の最高のドラムパフォーマンス」と評しています。リンゴのリズミカルで切れのあるビートは、曲に深みとグルーヴ感を与え、サウンド全体を引き締めています。

歌詞もまたいい。「雨」が持つ象徴性を通して、困難な状況に屈しないことや、他人の価値観に流されない姿勢を歌っています。この楽曲はビートルズがポップスの枠を超えて芸術的表現を追求し、後世の音楽シーンに大きな影響を及ぼした作品として位置付けられています。つまり、「Rain」は単なるB面曲以上の価値を持つ作品なのです。

Baby, You’re A Rich Man

「Baby, You’re A Rich Man」は、1967年7月7日にイギリスで「All You Need Is Love」のB面としてリリースされたビートルズの楽曲で、ジョンとポールの共作です。別々に作った曲を合体させて完成させたパターンの曲ですね。

この曲の聞きどころは、まず独特のサウンドにあります。この曲には、ジョンが演奏するクラヴィオリンという鍵盤楽器が使われ、独特の電子的な音色を生み出しています。この楽器のサウンドは、ビートルズが新しい音色を探求していたことを象徴しています。リズミカルでキャッチーなメロディーにジョンのウィットに富んだ歌詞が加わり、強い魅力を放つ曲です。

歌詞には、物質的な豊かさに対する皮肉と、内面的な充実への問いかけが込められています。ジョンは、一見成功者を称えるような歌詞で、当時の物質主義的な社会に対する皮肉を込めているんですね。自己の内面と世間の評価とのギャップとでもいいましょうか。ヒッピームーブメントど真ん中な楽曲です。

I Am the Walrus

「I Am the Walrus」は、1967年11月24日にイギリスでリリースされたシングル「Hello, Goodbye」のB面の楽曲です。ジョンが作詞作曲を手掛けたこの曲は、ユニーク(わけのわからない)な歌詞と実験的な音楽性が存分に発揮された作品として知られています。「I Am the Walrus」のサイケデリックなサウンドと奇妙な歌詞は、今なお人気で、100年経っても飽きない何かがあります。

この曲の聞きどころは、謎めいた歌詞と大胆なサウンドアレンジにあります。ジョンは、この歌詞をシュールレアリズムの影響を受けて書き上げ、無意味でナンセンスな表現を多用しました。フレーズの背後には、何か意味があるんじゃないかと思わせるものがあり、深読みを誘います。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』からインスピレーションを得て書いた曲で、歌詞には文学的な遊び心も感じられます。

サウンド面では、オーケストラが絶妙な感じで奇妙な雰囲気を醸し出しています。それがジョンのボーカルと混ざり合って、さらに不気味で不安定なサウンドに。また、エンディングには、BBCラジオから流れるシェイクスピアの「リア王」の朗読が爆音で挿入され、サイケデリックで幻想的な世界観をさらに強調しています。

「I Am the Walrus」は、後の多くのアーティストやバンドに強い影響を与えました。特にオアシスのカバーは有名ですね。ジョンの意図的なナンセンス性や型破りな表現方法は、音楽の枠を超え、アートとしての音楽表現の新しい可能性を示したものとして評価されています。ビートルズは、この曲をB面扱いしてしまうほど、バケモノバンドなのです。

後期ビートルズ(1968年から1970年)

The Inner Light

「The Inner Light」は、1968年3月15日に「Lady Madonna」のB面としてリリースされ、ジョージの作曲によるビートルズインド関連楽曲です。インド哲学的の思想と精神性が反映され、インド楽器とインド古典音楽の要素を取り入れたメロディーが特徴的です。歌詞は「老子道徳経」の一節を基にしており、ジョージの深い内面と精神性が伝わる内容となっています。

B面ではあるものの、ビートルズのシングルとして初めてジョージがリードボーカルを担当した作品です。ジョンとポールもこの曲を高く評価していたようで、ジョンはこの曲のために「Across The Universe」をシングル候補から外したとも言われ、ポールはメロディーが美しいと絶賛しています。

「The Inner Light」は、ビートルズの音楽における実験的な側面を示す重要な楽曲の一つです。インド音楽を取り入れたことで、ビートルズの音楽は新たな境地を開き、後の音楽シーンに大きな影響を与えました。ジョージのスピリチュアルな探求心と、インド文化への深い理解が融合したこの曲は、ビートルズの音楽史において、そしてロック音楽史においても重要な位置を占めています。

Revolution

「Revolution」は、1968年8月26日に「Hey Jude」のB面としてリリースされています。作者はジョンレノン。ジョンの強い個性と政治的な考えが色濃く反映されています。この曲は、ジョンの鋭いギターリフと攻撃的なビートに加え、当時の社会や政治情勢への批判的な視点を表現した歌詞が特徴的です。

歌詞の中でジョンは、平和的な変革の重要性を強調しつつも、暴力を伴う革命には慎重な姿勢を示しています。だから、この曲は単なる社会への抗議ソングではないんですね。暴力による解決を避けることで平和を追求するジョンの価値観が強く伝わってきます。さらに、「Revolution」はそのメッセージ性から、当時の若者に強い影響を与え、ジョンが社会問題に関心を持ち、自身の音楽を通して意見を表明していたことが広く知られるきっかけにもなりました。

また、「Revolution」の大胆なサウンドやメッセージ性の強さは、後の世代のアーティストに大きな影響を与え、ロック音楽における社会批判の重要性を改めて提示したといえるでしょう。

Don't Let Me Down

「Don't Let Me Down」は、1969年4月11日に「Get Back」のB面としてリリースされたビートルズの楽曲で、ジョンによる情熱的なラブソングです。この曲は、オノヨーコへの深い愛と依存を歌ったもので、ジョンの感情が率直に表現されており、彼の心の内が垣間見える作品となっています。リハーサルやレコーディングでは、ビートルズのメンバーがそれぞれのパートを重ねながら、自由で自然な音を追求し、心のこもった演奏に仕上げているのがわかります。

「Don't Let Me Down」は、スローなテンポとソウルフルなメロディが特徴で、ジョンの切迫したボーカルはこの曲のハイライトの一つです。迫力のある歌声を披露してくれています。また、ポールとジョージが巧みに絡み合うバックボーカルも曲の印象を強くしており、ビートルズ全員の一体感が感じられる演奏となっています。

ビートルズが行ったルーフトップ・コンサートでも披露され、冷たいロンドンの空の下で歌い上げたジョンの姿は、とても印象的。このルーフトップ・コンサートでの演奏は、ビートルズがスタジオで練り上げた音楽を、ライブで情熱的に再現できるバンドであることを証明しました。この曲はジョンの心の叫びが詰まった作品であり、彼の愛情と不安が音楽という形で表現されることで、ビートルズの音楽の奥深さを感じさせる一曲です。

Old Brown Shoe

「Old Brown Shoe」は、1969年5月30日に「The Ballad of John and Yoko」のB面としてリリースされた、ジョージ作曲のエネルギッシュな楽曲です。この時期、ジョージはビートルズ内でソングライターとしての地位を確立しつつあり、「Old Brown Shoe」は彼の音楽的成長と個性が際立つ一曲として知られています。曲の中でジョージはリードギターとボーカルを担当。力強く重厚なベースラインとリズムが全体を支えています。この曲のベースの演奏について、ジョージ説、ポール説、二人が演奏している説とあるようですが、どうなんでしょうね。ともあれこのベースが、曲全体のグルーヴ感を引き立てています。

歌詞には、ジョージが日々の逆境や困難に対して楽観的な姿勢を持つ人生観が映し出されており、希望や信念が垣間見える内容となっています。彼はポジティブな視点から物事を捉え、自分の道を歩む決意を表現しています。

「Old Brown Shoe」は、ビートルズ後期の音楽スタイルを象徴する楽曲であり、ジョージがどれほど多才なアーティストであったかを物語る作品です。ジョージの個性と創造力が存分に発揮されたこの楽曲は、ビートルズの楽曲群の中でも異彩を放っていると思いませんか?不思議な魅力でファンを魅了している楽曲です。

You Know My Name (Look Up the Number)

「You Know My Name (Look Up the Number)」は、1970年3月6日に「Let It Be」のB面としてリリースされたビートルズのユーモラスでユニークな楽曲です。ジョンとポールの共同作業によって生まれたこの曲は、実験的でコメディ色が強いサウンドが特徴であり、通常のポップソングとは一線を画す仕上がりです。この曲は1967年に最初のレコーディングが行われ、数年間にわたり複数回に分けて完成されました。曲には当時のビートルズの創作の自由さや遊び心が存分に反映されています。

楽曲構成も非常にユニークで、異なるスタイルやテンポが曲の途中で次々と展開され、聴く人を飽きさせない工夫が施されています。スウィングジャズのようなセクションや、パロディ的なボーカル、ささやき声などが入り混じり、ビートルズのメンバーが楽しみながら音楽に取り組んでいる様子がうかがえます。ジョンとポールのアイディアが次々と表現される中、歌詞そのものは「You know my name, look up the number(君は僕の名前を知っている、電話帳で調べてみて)」というフレーズの繰り返しが中心であり、シンプルでありながらユーモアに満ちています。

「You Know My Name (Look Up the Number)」には、ビートルズが音楽を純粋に楽しんでいる姿勢が詰まっており、彼らの自由で創造的な精神を強く感じさせる一曲です。この曲は商業的成功を意図したものではなく、メンバーが音楽の枠にとらわれずに楽しむことを目的としており、そのために実験的な要素や遊び心が強調されています。こうしたアプローチは、後にプログレッシブロックやアバンギャルドな音楽シーンにも影響を与え、ファンの間でカルト的な人気を誇る楽曲となっています。

まとめ B面のクオリティも異常なビートルズ

ビートルズのB面曲を改めて振り返ってみると、彼らがいかに多彩で柔軟なアーティストだったかが実感できますね。A面の華々しいヒット曲とは異なり、B面にはより実験的な試みや、メンバーそれぞれの個性が色濃く表れた楽曲が収められています。ジョンのシュールで深い表現力、ポールの多様な音楽的感性、ジョージのスピリチュアルな世界観など、ビートルズの音楽の幅広さを垣間見ることができます。

B面曲は、ビートルズが単に商業的成功を目指すだけでなく、音楽そのものを追求し、リスナーに新たな刺激を提供しようとする姿勢を如実に表しています。また、彼らが新しい技術やサウンドに挑戦する過程で、後世のアーティストに影響を与え、音楽シーンを変革していった点も見逃せません。こうしてビートルズは、A面・B面を問わず常に革新を追い求め、その過程で生み出された楽曲が、今なお多くの人々に愛され続けているのです。

B面の名曲を知ることで、ビートルズの世界観や音楽への真摯な姿勢がより一層感じられるはずです。A面の代表曲とはまた違う一面を知ることで、ビートルズが持つ「奥深さ」に触れることができます。ぜひB面曲も聴き直し、新たな発見を楽しみながら、ビートルズの音楽の世界を堪能してみてください。

以上、「隠れた名曲を再発見!ビートルズのシングルB面徹底解説」でした。おしまい!

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