ビートルズのアルバム『Let It Be』の評価ってどうなの?なんだかわからないけど"集中力に欠けるアルバム"だとか"散漫なアルバム"だとか聞くけど、本当のところはどうなのでしょう?
気になりますね。
ということで、今回はビートルズのラスト(?)アルバム『Let It Be』の評価と全曲紹介です。『Let It Be』を聞いてみようかなーと思っている人はぜひ参考にしてみてください。まずは、かるく評価に触れた後、全曲紹介です(YouTubeもありますので、よければこちらもどうぞ)。
アルバム『Let It Be』は駄作なの!?評価はどうなの?
『Let It Be』は非常に評価の分かれるアルバムです。集中力にかけるだとか散漫だとか…、なんかネガティブな感じで評価されているのも事実です。
このアルバムの制作にあたり、初期ビートルズのようなレコーディングが試みられました。世にいうゲットバックセッションです。ビートルズのメンバー曰く、このセッションは失敗だったらしく、セッション後しばらく放置されていたようです。
そのセッションをひとつにまとめ上げて作られたのが『Let It Be』です。プロデューサーは、いつものジョージマーチンではなく、フィルスペクター。まあ、そんなこんないろいろとゴタゴタがあってネガティブな評価なのかもしれませんね。
一方で収録曲を見てみると、Get BackありAcross the Universeあり、そしてもちろんLet It Beもある。超有名曲のオンパレードです。それでいて散漫だとか言われてるんです。
ちょっとビートルズに厳しすぎやしませんか?
と、まあこの話は置いておいておきましょう。このアルバムにネガティブな雰囲気がまとわりついているのは、「ビートルズが本気だしてないアルバム」というイメージがあるからだと思います。
このあたり、【Abbey RoadとLet It Be】ビートルズのラストアルバムはどっち?にまとめておりますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
売上とかチャートの成績はどうなの?
実際のところ、『Let It Be』ってどうなんだろう。当時どういう感じで評価されていたのでしょうか。チャートの成績をみてみると、もちろん英米で1位を獲得。イギリスで3週連続、アメリカでは連続ではないですが4週1位でした。
あれ、ビートルズにしては物足らないな…
やはり、アルバムから感じられるそこはかとなく感じられる散漫さが影響しているのかな…。なんて思ってしまいますね。
でも、ネガティブな評価とはウラハラに、『Let It Be』は世界中で爆売れしています。世界で1000万枚以上を余裕で売り上げており、やっぱり無敵のビートルズって感じです。ちなみにアメリカでは予約だけで370万枚に達して、当時の予約販売記録を打ち立てています。
やっぱりスゴイね、ビートルズ!ということで次は全曲紹介です。
佳曲は多いものの、謎の収録曲も多くあるアルバム
Two Of Us
アルバムの1曲目を飾るのは、ポールマッカートニーによるTwo Of Usです。なんとなく牧歌的な感じがする曲で、ジョンレノンとのハモリが嬉しい曲です。
解散に突き進んでいる中、「私たち二人」とはなんとも思わせぶり。この二人は、ジョンとポールのこと?それともポールとその妻リンダのこと?なんて議論ができる曲です。
ポールは「リンダに向けられたもの」とおっしゃっていますが、それだとどうもしっくりこない歌詞もあります。
You and I have memories longer than the road that stretches out ahead
この部分はジョンと考えたほうがしっくりくるんですが…。いかがでしょうか?このあたり詳しくまとめておりますので、興味のある方はぜひ(Two Of Us についてはこちらからどうぞ)。
Dig A Pony
2曲目はジョンレノンによるDig A Ponyです。ジョンには珍しいタイプの曲ですね。ちょっとよくわからない曲です。
ジョン曰く「ゴミのひとつさ」、らしいです。ゲットバックセッションの中で生まれた曲なんだと思いますが、ビートルズ本人たちもあまり思い入れがない様子。このあたりに、集中力に欠けるだとか散漫だとか言われる理由があるのかもしれませんね。
Across the Universe
次は名曲Across the Universeです。でました今なお歌い続けられる名作の登場です。あまりに名作過ぎて、公式発表されているだけでも5つのバージョンが存在します。どれもこれも魅力的です(詳細はこちらから)。
もしかすると50周年記念盤に新しいバージョンが収録されるかもしれませんので、Across the Universeは6バージョンになるかもです。
ジョンはこの曲を作るにあたり、松尾芭蕉の影響を受けたとして語っています。そうなってくると、これはもうヨーコオノの影響だと思います。オノヨーコ、ナイスプレーです。日本人にとって、ジョンのこの発言は嬉しいです!
ちなみにアメリカ航空宇宙局(NASA)の50周年に北極星に向けて発信されたのがこの曲。その時のポールのコメントがこちら。
「NASAよくやった。 異星人によろしく」
おそらく宇宙人向けに活用されている唯一の曲じゃないかと思います。
I Me Mine
4曲目はビートルズ第三のコンポーザー、ジョージハリスンの楽曲です。なんかシリアスな感じがしていい感じの曲なのですが、中間部分で一転、明るくなります。いったいどういう心境で作った曲なのでしょうか。
いろいろと調べてみると、もともと短い曲だったのをリピートなどをして、アルバム用に強引に引き延ばした作品らしいです。『Let It Be』という映画の公開もあって、収録が要請された結果のようです。
ビートルズ側としては収録は本意ではなかった曲かもしれませんね。なんか私もそう思います。このころのジョージの作品にしては、イマイチな感じがします。
Dig it
これまた謎の収録曲です。ただ、私はこの曲が大好きです。正確にはこの曲の原型が好きなのです。この曲、セッション時には15分を超える大作でした。
ブートなんかできけるのですが、それがまたGoodなのです。良い感じのグルーブ感があり、ポールが素晴らしいコーラスをつけていたり、とにかくやみつきになるものを持っている曲だったのです。
でもそれが『Let It Be』に収録されると、なんと51秒に縮められているではないですか!なんてことを…。フィルスペクターめ(このアルバムのプロデューサー)。
だから私は『Let It Be』の50周年記念盤に期待しているのです。できればDig itは原型のまま収録してほしいと願うばかりです。
Let It Be
説明の必要はないですね。このアルバムの表題曲にして、ビートルズの代表曲でもあります。作者はポールマッカートニー。やっぱり天才ですね。
初めてこの曲を聞いたときは、それはもう衝撃を受けました。世界一の曲だと、素直に思いましたね。ビートルズの世間的な評価って実力と一致してるんだ!「名実ともに…」という言葉を信じた瞬間でした。
話がそれましたね。
ひとつ注意があります。このアルバムに収録されているLet It Beはフィルスペクターがプロデュースしたバージョンで、よく耳にするジョージマーチンのプロデュースしたものとは少し違います。
違いは、ギターがフィーチャーされている点と最後のLet It Be~~♪の部分が1コーラス多い点。好みは分かれますが、私は通常のジョージマーチンプロデュースのもののほうが好きです。ちなみに素材は同じものを使っているようです。
Maggie Mae
7曲目は、突然のカバー曲です。カバーと言ってもMaggie Maeはリバプールの民謡だそうです。なぜ、この曲がこの位置に突然??と思いますが、映画との兼ね合いで収録されたのでしょう。
確かにビートルズはゲットバックセッションで演奏されたのでしょうが、わざわざ収録することもなかろうにと思うのは私だけでしょうか。
ちなみにジョニー・デップの映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』にポールが出演した際に、歌っていたのがこの曲です。こうして強引に伏線回収(?)してくれるんだからビートルズはやっぱりスゴイ!
レコードだとここまでがA面です。次からはB面です。
最後まで気を吐き続けるポールマッカートニー
I've Got A Feeling
B面の1曲目はジョンとポールの共同作品、I've Got A Feelingです。お互いが作ってきたまったく別の曲をどーんとまとめて1曲にしている作品です。こういう作曲方法をジョンとポールはたまに用います。そして名曲を生み出しています。
この曲もそんな合体ソングの1曲です。
もうこのころになると、ジョンとポールが一緒に歌っているだけで、ファンとしては涙腺が緩む感じです。特に最後の部分、ジョンとポールが別々のパートを同時に歌う部分なんて最高です。やっぱり仲良かったんだなーみたいな感情があふれて、聞くたびに涙がでそうになります。
個人的な感想でした。
One After 909
続くOne After 909はジョンとポールがデビュー前の若かりし頃に作った作品です。作者は、実のところ不明。ジョンは自分の作品だと言っていますが、ポールは共作だと言っています。どっちが真実なんでしょうかね。
若かりし頃に作っただけあって、曲調はストレートなロックンロールです。こういう音楽に惹かれてビートルズは始まったんだなー、なんて感傷に浸れます。そうかと思えば、Across the UniverseやLet It Beのような洗練された曲もあったりして、『Let It Be』はなんとも心をざわつかせるアルバムです。
The Long And Winding Road
名曲の登場です。アルバム『Let It Be』はどう評価したらいいんでしょうか。謎の収録曲があったかと思えば、こんな名曲をさらりと収録してくる。当時の評論家もさぞこまったことでしょう。
この曲、作者はポールマッカートニーです。本国イギリスではシングルカットされていないのですが、あまりにクオリティが高いもんだから、アメリカではシングルカットしてリリースされています(日本でもシングルカットされたようです)。
当然、ビルボードチャートは1位。そういうわけで、ビートルズの1位シングルを集めたベスト盤『The Beatles 1』に収録されています。
For You Blue
ジョージハリスン作の作品です。なんとなくオモシロイ感じの曲です。調べてみると、当時の妻のパティへのラブソングだそうですね。
正直にいうとそこまでこの曲に注目はしていませんでした。この時期のジョージの曲にしては、インパクトがないと言いますかね、なんかもっと他にあっただろうというのが本音です。
実際に、ジョージは曲のストックを持っていたと思います。だって1970年の11月にはソロアルバム『All Things Must Pass』をリリースしていますからね。控えめに言ってもこのソロアルバムに収録されている曲は名曲ぞろいです。
出し惜しみをしたんじゃないか?
そんな疑惑が生まれます。『All Things Must Pass』のプロデューサーが『Let It Be』と同じフィルスペクターというのも疑惑を深めています。怪しい…。
Get Back
その点、惜しみなく佳曲を提供し続けてくれたのがポールマッカートニーですね。Let It Beもそう、The Long And Winding Roadそう、そしてこのGet Backもポールの作品です。
1969年の4月に既にリリースしていたこの曲は爆売れしています。なんでも世界で1000万枚以上売り上げているとか。うーん、やっぱりビートルズって化け物ですね。
個人的には、『Let It Be』に収録されているバージョンよりも、『The Beatles Anthology 3』に収録されているルーフトップでのバージョンが好きです。たまらなくハードでワイルド。特にエンディングのアドリブの箇所なんて最高です!
話がそれました。
この『Let It Be』というアルバムは、もともとGet Back(原点回帰)がコンセプトでした。もし、あのゲットバックセッションが実現していれば、この曲が表題曲となり、また違った形のアルバムが出来上がっていたかもしれませんね。
以上、アルバム『Let It Be』の全曲紹介でした。
それにしても、Get Back(原点回帰)に失敗して、いつのまにやらLet It Be(なすがまま)に。そしてビートルズは解散してしまいます。なんかもうプロットがあるんじゃないかというくらいの出来事です。
やっぱりビートルズの存在は、見えざる何かによるものなのかもしれませんね。考えすぎでしょうか。たぶん考えすぎですね。
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もう少しビートルズを詳しく知りたい方は、歴史を押さえておきましょう。10分で分かるバージョンを用意しております。そして、忘れちゃいけない名曲ぞろいのシングルの歴史もあります。
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